2017年9月5日火曜日

いまこそ「対話を」と言う勇気を/安倍首相が“対北朝鮮戦争”参加を約束!

 安倍首相は安保法制をつくるにあたり、国会でも何度も「紛争を未然に防止する力、抑止力を高める」「日本が攻撃を受けるリスクを減少させる」などと宣伝してきました。それではいま首相自身が煽って止まない北朝鮮の脅威は一体なぜ起きたのでしょうか。

 首相は国内で北朝鮮の危機を煽るだけでなく、連日トランプ大統領と電話会談を行って「北朝鮮に対する圧力をより強めていかなくてはならない」と煽ったうえに、なんと日米両首脳は2国間の断固たる相互防衛の約束を確認した(米国発表のペーパー)」ということです(日本政府の発表にはその文言が抜けています)。
 両首脳の会談について米国が内容を偽る筈はないので、日本側が発表するのは都合が悪いと判断して隠蔽したものと思われます。

「相互防衛」の意味するところは、米国が北朝鮮を攻撃した時には日本も参戦するということです。安倍首相はそうなった方が自らの政権の延命に好都合だと思っているのでしょうか、まことに驚くべき好戦性です。
 今起きていることは明らかに米朝間のイシュー(事柄)なのに、なぜ日本が計り知れないダメージを受ける危険を抱えながら、そこに参戦しなければならないのでしょうか。

 天木直人氏が、元内閣官房副長官補の柳沢協二氏が「いま必要なことは、北朝鮮の体制を武力で崩壊させることはないという保証を与えることで、そうすれば北朝鮮はミサイルを撃たない」と述べたことを紹介しました
 安倍氏に頭を冷やさせるのは簡単ではないかも知れませんが、せめてこうした正論を日本のメディアや有識者たちは勇気をもって主張すべきです。

 併せて「安倍首相がトランプ大統領と “対北朝鮮戦争” への参加を勝手に約束!」とするLITERAのビッグニュースを紹介します。 
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いまこそ「圧力」より「対話」だと断言する勇気
天木直人のブログ 2017年9月4日
 北朝鮮がついに核実験に踏み切った。
 しかも大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な水爆だという。
 今度こそ国際社会は北朝鮮の暴挙を許さないだろう。
 あすにも開かれる我が国の国会閉会中審査でも、共産党を含め北朝鮮への非難一色になるだろう。
 そんな時こそ、「圧力」より「対話」であると断言できる勇者が出て来なければいけない。

 そう思ってきょうの新聞を探してみたら見つかった。
 毎日新聞紙上で元内閣官房副長官補の柳沢協二氏が語っていた。
 日本が考えるべきは「ミサイル発射に備える」事ではない。「ミサイルを撃たせないことだ」と。
 そのためには、北朝鮮が核を使う動機をなくさなければならないと。
 それは北朝鮮の体制を武力で崩壊させることはないという保証を与えることだと。
 この「安心の供与」は決して弱腰な戦略ではないと。
 いまこそ米朝の緊張緩和に向けて、日本は働きかけるべきであり、外交・安全保障上の目標もそこに置くべきであると。

 見事な主張だ。
 柳沢氏は現役を退いた元官僚だ。
 しかし、防衛官僚や内閣官房副長官という要職を経験し、日本の外交・安保政策の最前線にいた人物だ。
 その人物が、北朝鮮の暴挙に対する非難の大合唱の中で、ここまで断言するのは並大抵の覚悟がないと出来ない。
 柳沢氏は真の勇者だ。
 壊れたれレコードのように制裁強化しか発する言葉を持たない安倍首相とは大きな違いだ。

 願わくば彼のような主張を堂々と行う者が、現役の官僚、政治家の中から出てくる事を願う。
 いや、そうでなければ日本は終わる。
 願わくば米国の中枢からそのような主張が出てくる事を願う。
 いや、そうでなければ世界は終わる。
 はたして事態はどう進展していくのだろう。
 私は、日米の間で、やがてそういう動きが出て来て、北朝鮮の核開発凍結と北朝鮮の体制保証のディールが実現する方に賭ける。
 いや、危機が起きる前に何としてでも新党憲法9条を実現し、憲法9条の力でそのディールを実現させて見せる(了)

安倍首相がトランプ大統領と“対北朝鮮戦争”への参加を勝手に約束!
米国との軍事一体化で日本も攻撃対象に
LITERA 2017年9月4日
 昨日3日、北朝鮮が6回目の核実験を行なった。大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載できる水素爆弾の実験を成功させたと主張している北朝鮮に対し、アメリカのマティス国防長官は「我々は北朝鮮という国家を完全に壊滅させようとは思っていないが、そうするための選択肢は多数ある」「米本土またはグアムを含む海外領土、あるいは同盟諸国に対するいかなる脅威も大規模な軍事対応をもって迎えられる」と警告。米朝軍事衝突の危機は高まっている。
 最初に言っておくが、もちろん今回の北朝鮮による核実験の強行は、国際情勢の緊張をやみくもに煽るものであり、強く批判されねばならない。だが、それ以上に恐ろしいのは、安倍首相が、国民の知らぬところで、勝手に“米朝戦争”での「相互防衛」を約束していたことだろう。

 この間、北朝鮮情勢についてアメリカ側と協議してきた安倍首相は、昨日の核実験後もトランプ大統領と電話会談を行なったが、時事通信によれば、ホワイトハウスが本日書面で発表した日米首脳電話会談の内容には「両首脳は2国間の断固たる相互防衛の約束を確認した」と説明されていたという。他方、日本政府は、核実験後の電話会談で「相互防衛」について話したことを明かしていなかった
 ようするに、安倍首相はトランプ大統領に対し、北朝鮮と米国の軍事衝突が発生した場合、日本が安保法制に基づいて集団的自衛権を行使し、自衛隊が軍事的な作戦に参加することを確約した。日本政府が「相互防衛」の詳細について隠している以上はっきりはしないが、当然、そういったやりとりがあったと考えられる。

 実際、8月10日の閉会中審査では、小野寺五典防衛相が、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合に「米側の抑止力・打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとも言えない」として、集団的自衛権を行使できると答弁している。少なくとも、米側への攻撃を日本の自衛隊が防衛するというミッションは、すでに既定路線になっているはずだ。
 だが、本サイトで以前、指摘したとおり、仮に北朝鮮のミサイルがグアム基地に着弾したとしても、米軍は反撃能力をもった部隊や艦船を朝鮮半島に展開しており、抑止力や打撃力が欠如するなんてあり得ず、政府の定義した「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」に当たるわけがない。にもかかわらず、国民の知らないところで、勝手にトランプ大統領に集団的自衛権の行使を約束していたのだとしたら、これは憲法違反かつ重大な民主主義の破壊にほかならない。

“安保法制は抑止力”はやっぱり嘘だった!米国との軍事一体化で、日本も攻撃対象に
 だいたい、安倍首相は安保法制をつくるにあたり、国会でも何度も「紛争を未然に防止する力、抑止力を高める」「日本が攻撃を受けるリスクを減少させる」などと宣伝してきたのではなかったか。
「今回のグレーゾーンから集団的自衛権の一部行使容認を含む平和安全法制は、まさに切れ目のない法制を進めていくことによってしっかりと未然に紛争を防いでいく、言わば抑止力を向上させ、より平和で安定した地域につながっていくと、こう確信をしているところでございます」(2015年8月4日参院特別委員会)
 それがどうか。北朝鮮のミサイル発射や核開発に対し、トランプ大統領は「世界史に類をみない炎と怒りで報いを受けるだろう」と発言をエスカレート。そして本来、同盟国の首相としてトランプをなだめ、平和的解決へ向けた交渉の仲介役を買ってでなければならない安倍首相は「私たちもさらなる行動をとっていかなければならないとの認識でトランプ大統領と完全に一致した」などと言って追従するばかり。軍事行動も辞さないとする米国の激昂に同調し、先週のミサイル発射の際も「わが国を飛び越えるミサイル発射という暴挙はこれまでにない深刻かつ重大な脅威」と述べるなど、自ら軍事衝突を煽りに煽っている。たとえばドイツのメルケル首相が「米国と北朝鮮の対立に軍事的な解決策はない」と表明したのとは対照的だ。

 しかも、このタイミングでわざわざ米側と「相互防衛」を確認したということは、仮に米国が軍事行動に出た場合、日本の米軍基地を攻撃の拠点とすることや、海上の米艦隊を自衛隊艦が援護することも、すでに決定しているという見方もできる。いや、北朝鮮からICBMが発射されれば、米国が軍事行動に出る以前に、日本がそのミサイルを迎撃することを約束した可能性もある。当然、北朝鮮が報復として在日米軍基地のある日本の都市を攻撃したり、自衛隊員が米軍と北朝鮮との戦闘に巻き込まれて戦死する可能性も高まっていく。
 これのなにが「抑止力」か。安倍政権が米国に恭順の意を示し、軍事的に一体化した結果、そのために日本が攻撃対象となるのだ。
 そもそも、今回の緊張の背景の本質は、核・ミサイルを交渉材料にして、1953年の休戦協定以降も続く朝鮮戦争を終わらせる平和条約の締結をしたい北朝鮮側と、それを認めないアメリカ側との対立にあり、究極的に言えば核・ミサイル問題は米朝関係のイシューなのだ。にもかかわらず、安倍政権はその仲介に乗り出すことを一切せず、トランプと一緒に軍事的緊張を高め続ける姿勢をとってきた。あげくは、国民の知らないところで、集団的自衛権の行使まで約束するとは、まさに“亡国の首相”というほかない。

読売と産経は、“戦争への準備をせよ”と北朝鮮危機を煽る
 だが、最悪なことに、日本のマスコミは、米国の戦争に日本を巻き込もうとしている安倍首相を批判するどころか、政権が宣伝する“北朝鮮危機”に丸乗りし、トランプによる軍事攻撃に期待すらしてみせている。
 たとえば、本日の全国5紙朝刊の社説では各紙とも北朝鮮核実験を取り上げたが、朝日が〈軍事行動は選択肢になりえない〉、毎日が〈軍事衝突は、絶対に避けなければならない〉と戦争回避への努力を明確に説いた一方、読売と産経は逆に、「戦争の準備を進めよ」と号令をかけんばかりの書き振りだった。

〈米国と北朝鮮の今後の動きが不透明な中で、朝鮮半島情勢が緊迫度を高めることが予想される。日本は、北朝鮮の更なる挑発や偶発的な軍事衝突などに備え、厳戒態勢を敷く必要がある。〉(読売)
〈国民の生命と平穏な暮らしが、極めて危うい状態に置かれようとしている。日本は戦後最大の国難に見舞われているといえる。(略)
 口先だけで平和を唱えていれば危機は訪れないという、独りよがりの「戦後平和主義」は無力かつ有害である。日本のとるべき対応について、国民的な合意が必要だが、忘れてはならないのは、眼前の危機を直視した発想と対応が欠かせない点である。〉(産経)

 もはや「開戦前夜」のようですらある。しかし、繰り返すが、北朝鮮の核問題の本質は米朝関係にある。本来ならば、国際社会は米朝の“雪解け”に尽力せねばならず、実際、中国やロシアだけでなくドイツなどもトランプ大統領に自制を求めているのに、これを率先してやるべき日本の安倍首相だけは「トランプ大統領と完全に一致」「日米は100パーセントともにある」などと言い続け、軍事的一体化まで求めるような「相互防衛」をわざわざ確認した。しかも、国民の声をまるで無視したまま、だ。
 専門家のなかでは、依然として、米朝の軍事衝突があるならば米側の先制攻撃で始まるとの見方が強い。安倍首相は、政権浮揚のためにアメリカの仕掛ける戦争に日本を巻き込ませるのか。わたしたちがなすべきことは、ミサイルの恐怖に屈して好戦的世論を醸成することではなく、なんとしても戦争を回避するため、冷静に対話と外交努力を続けるよう、政府に異を唱え続けることに他ならない。(編集部)