今回の解散は「憲政史上最低・最悪の解散(郷原信郎氏)」であり、森友学園・加計学園疑惑の追及から逃げ、いまが一番のタイミングだからとする党利党略で、大義など全くないものであることは明らかです。
18日以降“政権の広報係”である田崎史郎・時事通信社特別解説委員が各テレビ局をはしごして、「解散総選挙の大義は、安倍政権の力を強めること」、「政治はね、しょせん党利党略なんですよ。党利党略考えない人こそおかしい」、「森友・加計問題については選挙を通して説明していく」などと、呆れるしかないことをしゃべりまくったということです。
その一言ひとことがあまりにもデタラメで品性がなく、まさに安倍内閣の品格そのものを現していると考えるしかありません。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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田崎史郎が“大義なき解散”に珍擁護連発!
「大義は安倍政権の力を強めること」「ミサイル発射は数日前にわかる」
LITERA 2017年9月19日
突如もち上がった今月28日の臨時国会冒頭での衆院解散の動き。安倍首相は今週末にアメリカから帰国するが、その週明け25日に解散の事前表明の記者会見をおこなうと見られている。
しかし、今回の解散に大義などないことは明々白々だ。安倍首相が「熟読しろ」と言う御用メディアや安倍応援団すら、解散の理由や選挙の争点について、「消費税率10%への引き上げで全世代型社会保障に目指す」「北朝鮮へ圧力強化継続」「憲法に自衛隊明記」「すでに施行された安保法制の是非」などなど、てんでバラバラのことを主張。ようするに、安倍応援団が一生懸命忖度しても、解散の目的がよくわからないのだ。
そんな安倍応援団ですら困惑するなか、嬉々として安倍首相に代わり詭弁を垂れ流しているのが、ご存じ“政権の広報係”である田崎史郎・時事通信社特別解説委員だ。
昨日から田崎氏は、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)、『ひるおび!』(TBS)、『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)など各局のワイドショーをはしご出演。国会の冒頭解散については「99%間違いない」と断言し、その上で、「解散の大義は?」という質問に、こんなことを言い出した。
「大義は、安倍政権の力を強めること」
「経済政策を推進する上でも、ここで一回力を得て、信任を得たいと。信任を得ることが力になっていく」(『ひるおび!』18日放送での発言)
いつものこととは言え、「安倍首相ガンバレ」脳とはここまでご都合主義を正当化できるものなのか……と呆れて開いた口が塞がらない。
今回の解散に大義などなく、結局、北朝鮮情勢によって支持率が回復したことと、森友・加計問題を臨時国会で蒸し返されたくない思惑があったところに、民進党内部のゴタゴタが起こったため一気に解散を決めたということは、小学生でもわかるだろう。
「森友・加計問題は選挙を通して説明」とトンデモ擁護する田崎氏
森友・加計疑惑封じをはじめ、自分たちの党利党略で約600億円もかかるといわれる衆院選に踏み切る。この暴挙について、本日放送の『ひるおび!』では片山善博・前鳥取県知事が「権力乱用・憲法違反解散と名付けたい」と強く批判。昨日の同番組でも政治評論家の伊藤惇夫が「解散権をこれだけ自由に振るえる国って世界中見てもそんなにない」と批判したが、すると田崎氏はいけしゃあしゃあと「じゃあ憲法改正しますか(笑)」などと返答。その上、きょうもこのように言い放ったのだ。
「政治はね、しょせん党利党略なんですよ。党利党略考えない人こそおかしい」
しかも、田崎氏は「森友・加計疑惑隠しのための解散では?」という声に対しても、「(選挙は)加計隠しということで闘うわけじゃない」(『モーニングショー』18日放送)とトンチンカンな反論。安倍首相自ら「選挙の目的は、加計隠し」などと掲げないのは当たり前だろう。しかし、田崎氏は「モリカケ疑惑隠し」という批判は野党の作戦だとして、「(安倍首相は)森友・加計問題については選挙を通して説明していく」「総理の演説のなかで少し触れるんじゃないか」と言うのだ。
まったくバカを言え。限られた人相手に一方的に話すだけの演説で少し触れることのどこが説明なのか。説明をすると言うのなら正々堂々と国会でやればいいし、実際、そのために野党は臨時国会の開催を憲法に基づいて要求してきた。そうした憲法を無視して国会も開かずに、その上、国会冒頭で解散して選挙で説明するなど、言語道断だろう。
事実、田崎氏は一方で内閣支持率回復の理由について、「国会開いていないこと」とし、笑みを浮かべながらこう語っている。
「野党が追及する場面がないわけですから。そういう報道も少ないでしょ?」(『グッディ!』18日放送)
「野党が安倍総理を追及して、安倍総理がちょっと変な発言してしまう。そういうことがなかったことが大きいと思いますね」(『モーニングショー』19日放送)
つまり、解散の理由は「モリカケ疑惑隠し」が第一ではないと言いながら、その一方では、国会で疑惑の追及がおこなわれなかったからこそ支持率は回復したと認めているのだ。挙げ句、「報道も少ないでしょ?」などとメディアによる追及が少なくなり、疑惑隠しに成功したことを喜んでいるのである。
“北朝鮮のミサイル発射は数日前にわかっているから大丈夫”と強弁
田崎氏はほかにも「解散は北朝鮮による攻撃の空白期間をつくってしまう」という声に対しても、「あんまり大っぴらに上がってないんですけど、ミサイル撃つ数日前にはね、この辺りに撃ちそうだっていう情報はね、取れているんですよ」などと各番組でアピール。田崎氏にしてみれば安倍政権の盤石の構えを強調したかったのだろうが、『グッディ!』では司会の安藤優子が「だったらわたしたちにも教えてほしいですけどね」とすかさずツッコミを入れていた。
いくら田崎氏が吠えても、大義のない、安倍首相の自己都合のための解散であることは間違いないが、しかし、恐ろしいのは、選挙に向けて安倍政権の暴挙を正当化する意見を発するコメンテーターは田崎氏だけではない、ということだろう。
実際、『ひるおび!』では、やはり田崎氏と並ぶ政権ヨイショ派の八代英輝弁護士が、今回の解散を正当化。「モリカケ疑惑隠し」の意見に対しては「(森友・加計問題の安倍首相の説明は)おそらく納得できないという方は、臨時国会での説明を聞いても納得できないんだろうと思う」などと言い、解散総選挙について「(北朝鮮の)いままでの緊張状態に対する対応への評価の場でもあるのではないか」「安保法制をつくっていたから対応できたのでは」ともち上げた。
今後、メディアではきっと、安倍政権の息がかかったコメンテーターたちが、「森友・加計疑惑の追及ばかりでは政策議論ができない」という、まさに疑惑隠しの詭弁を強調するようになっていくだろう。しかも、前回の2014年衆院選では、安倍政権はメディアに対して“自民党に批判的な報道はするな”という露骨な圧力をかけた。その結果生まれた“萎縮”は、いまもはっきり効力をもっている。
だからこそ、メディアには「萎縮するな」と訴えていく必要がある。今後、本サイトでは、安倍首相による自己都合解散をめぐる報道を、つぶさにチェックしていきたいと思う。
(編集部)