2019年6月29日土曜日

29- 大阪G20サミットに外交成果は皆無 参院選こそ最重要

 安倍首相は消費増税を掲げて参院選に突入することになりました。消費増税を掲げても折よく「G20」を主催するので、「外交の安倍」の『威光』で勝てるとでも思ったのでしょうか。トランプ氏の横暴が目立って「G20」が形骸化しつつあるというのが世界の認識で、NHKがどんなに時間を割いて報道したとしても別に「G20」の価値など伝わってきません。参院選の焦点をぼかすためのお祭り騒ぎなら論外です。
 
 現実に、ここにきて安倍外交の破綻が一層明らかになってきました。そもそも世界からの信頼を失墜しているトランプ氏に「ひたすら追随」しているだけではとても世界に通用しません。
 肝心のアメリカとの関係でも、参院選後に明らかになる日米FTA交渉や安保条約の「不平等性」批判して止まないトランプ氏からの新たな金銭的要求の可能性など、想定されるのは「大波瀾」でしかありません。
 
 植草一秀氏が、
日本の主権者は、自分たちの未来を定める国政選挙に集中しなければならないこの選挙の最大争点は消費税増税の是非であり、徹底的な論議が必要だ
「自民党が選挙で負けないという見立ては完全な誤りになるだろう。安倍内閣が消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進めば、日本の主権者にとっての最大のチャンスになる。このチャンスを必ずものにしなければならない」
と述べました
 同氏の二つのブログを紹介します。
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外交成果皆無の大阪G20会合と最重要の参院選
植草一秀の「知られざる真実」 2019年6月28日
大阪でG20首脳会議が開催されるが、日本外交はほとんど成果のない状況だ。
安倍首相は米国とイランの対話の橋渡しをすると意気込んでイランを訪問したが、このイラン訪問を契機に米国とイランの関係が激烈に悪化した。
また、安倍首相のイラン訪問に合わせて日本船籍のタンカーがホルムズ海峡で飛翔体の攻撃を受けた。米国のトランプ大統領は日本船籍の安全は日本が独自に確保せよとのメッセージを発した
 
安倍首相はイランのハメネイ師と会談したが、ハメネイ師が安倍首相に述べたのは米国への不信感だけだった。
イランの主要メディア、ファルース通信はハメネイ師の発言を次のように伝えた。
「イランの最高指導者ハメネイ師は安倍普三首相に対し、イランは米国と交渉するという「苦い経験」を繰り返さないと述べた。
安倍首相はトランプ米大統領からイラン指導部へのメッセージを預かっていたが、ハメネイ師は「トランプ(大統領)とメッセージを交換する価値はない。今も今後も返答することは何もない」と述べた。
 
ハメネイ師は、イランの体制変更を求めないというトランプ大統領の約束は「うそ」だとも発言。米国がイランに「率直な交渉」を提案したことについては、信用しないと述べた。
ハメネイ師は「イランは米国を信頼しておらず、JCPOA(包括的共同作業計画=イラン核合意)の枠組みにおける米国との交渉での苦い経験を絶対繰り返さない」とし、「賢明で誇りを持った国は圧力のもとでの交渉を受け入れないものだ」と語った。」
得点を挙げるどころか大量失点献上というのが安倍外交の実態である。
 
ロシアと平和条約締結と意気込んでいたが、日本政府は4島返還の主張を2島返還の主張に一方的に切り下げたあげく、2島での交渉も進展ゼロという大失態を演じている。
これも得点どころか大量失点献上の外交失敗である。
 
安倍内閣は日米FTA交渉をしないと国会で明言したが、4月に始まった日米交渉はれっきとしたFTA交渉である
FTA交渉でなければ、日米2国間だけの関税率引き下げを実施することはWTO規約によってできない。
米国は2国間の関税率変更を求めており、この要求を実現させるためには日米交渉がFTA交渉でなければならないのだ。
そのFTA交渉に関して、日本政府は米国に大幅譲歩したと見られる。
すでに合意は成立しているが、発表を参院選後にすることだけが米国の譲歩点であると見られる。
 
日本は米国を含むTPPを米国抜きのTPP11に切り替える際に、日本の輸入枠に関して、米国からの輸入相当分を圧縮しなかった。米国からの輸入増大を想定した輸入枠を維持したのである。
米国がTPP11と別枠で対日輸出枠を求めるのは確実だ。これを受け入れると、日本の輸入枠はTPPを完全に超える。
日本政府はTPPで認めた水準が上限としているが、この公約が破棄されることは確実な情勢である。
また、トランプ大統領は、米国はTPPを離脱しており、TPP合意内容には縛られないことを明言し、安倍首相はこれにまったく反論を示すことができていない
 
韓国大統領が訪日したが、安倍内閣は日韓首脳会談も日韓外相会談も設営しないと伝えられている。
問題があるときこそコミュニケーションを密にするのが外交の鉄則である。
韓国の主張が気に入らないとして接触を断つというのは幼稚園児以下の対応である。
このような幼児外交では日本の信用は失墜し、国家の安全保障も確保できない。
 
G20で注目されているのは米中首脳会談で、日本は開催国、議長国でありながら、単に場所を提供するだけの存在で終わる。
安倍内閣はG20を選挙対策に活用しようとしているが、成果が皆無の外交では選挙対策としての効果を期待することは不可能である。
 
日本の主権者は、私たちの未来を定める国政選挙に集中しなければならない
この選挙の最大争点は消費税増税の是非である。徹底的な論議が必要だ。
その上で、主権者は全員選挙に行くべきだ。
選挙に行って消費税増税の是非について、自分の判断を示す必要がある。
それが国政選挙の役割だ。
消費税増税の是非を最大争点にし、主権者の9割が投票に参加すれば日本が変わる。
選挙に行って日本を変えよう
(以下は有料ブログのため非公開)
 
死んだふり解散なしなら安倍政治崩落最大チャンス
植草一秀の『知られざる真実』  2019年6月26日
(前 略)老後資金2000万円不足問題がクローズアップされて敗色が濃厚になったから衆参ダブル選を回避したとの見方がある。
年金問題が選挙でクローズアップされる可能性は高いから、その懸念は理解できる。
しかし、その判断があるなかで、消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進むことは理解に苦しむ。
自民党は選挙情勢調査を行って、消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進んでも、議席を大きくは失わないとの見通しを得て、この路線に突き進んだとの見方もある。
しかし、この場合、自民党が選挙で負けないという見立ては完全な誤りになるだろう。
(中 略)
安倍内閣が消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進む場合にどうするか。
これは日本の主権者にとっての最大のチャンスになる。このチャンスを必ずものにしなければならない。
チャンスというのは、目の前にあるときには、必ず両手でしっかりとつかまねばならないものだ。チャンスをものにするか否かは、この行動にかかる
チャンスが目の前にあるのに、両手でしっかりとつかみ取る行動を取らないからチャンスを逃すのだ。
 
野党陣営には大いなる問題があるが、消費税増税の阻止では、公約の一本化が実現した。
参院選を消費税増税の是非を問う選挙にする。
消費税率10%を認めるのか。それとも、断じて消費税増税を認めないのか。これを問う選挙にするのだ
 
日本のメディアは消費税問題を取り上げたことがない
消費税率が引き上げられた場合の対応については時間を割くが、消費税増税の是非を問うことがない。理由は単純だ。財務省のTPR=情報工作活動が、消費税増税の是非についての論議、検討、論争を、一切マスメディアに許していないからなのだ。
これに全面協力しているのがNHK=日本偏向協会である。
この誤りを正さねばならない。参院選を消費税増税の是非を問う選挙にする。
 
そして、何よりも重要なことは主権者が全員、選挙に行くことだ。
主権者が全員選挙に行けば日本が変わる。
投票率90%超を目指す。投票率が90%を超えれば、間違いなく消費税増税NOが勝つ。
これを既得権益勢力は、ポピュリズムであると攻撃するだろう。
ポピュリズムという表現自体は間違いではない。
間違いは、これを「大衆迎合主義」とする翻訳にある。ポピュリズムの正しい翻訳は「草の根民主主義」である。日本の主権者の力を示す最大のチャンスになる。
(中 略)
野党は消費税減税を共通公約にするべきである。
繰り返すが、安倍内閣が消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進む場合、日本の主権者にとって最大のチャンスが提供されることをしっかりと認識しよう。
この点を明確にしておかねばならない。
(以下は有料ブログのため非公開)