今回の参院選では自民党に対する逆風が日々強くなっているということで、自民党の大幅議席減を実現する絶好の機会です。
しかしながら別記事で紹介しましたように、政治評論家の本澤二郎氏は、12年前と決定的に違うのは野党が政権批判の“受け皿”になりきれていないことであるとして、それは立民党の枝野幸男代表が結束を邪魔しているためだと述べています。
この千載一遇のチャンスを生かせないのは残念なことです。
これに関連して18日付の植草一秀氏のブログ「知られざる真実」を紹介します。
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凋落民主党を分離・分割した原点に戻れ
植草一秀の『知られざる真実』 2019年6月18日
野党の再編について考えてみよう。
2009年8月の衆院総選挙で、日本の主権者は鳩山由紀夫内閣を誕生させた。
鳩山民主党は圧倒的な主権者の支持を得て樹立された政権である。
鳩山内閣は日本政治を刷新する明確な政策公約を掲げていた。
米国に対してもモノを言う。辺野古米軍基地建設を認めない。官僚の天下り利権を根絶する。これを完遂するまでは消費税増税を認めない。企業団体献金を全面禁止する。
この鳩山内閣に対する主権者の期待は極めて大きかった。しかし、期待は裏切られてしまった。
鳩山内閣は普天間の県外、国外移設を断念してしまったが、この責任を鳩山首相だけに押し付けるのは酷である。鳩山内閣の閣僚が面従腹背だった。
外務省は捏造した極秘文書を鳩山首相に提示して県外移設を断念させた。
より重大な問題は鳩山内閣を破壊した「工作員」が民主党内部に潜んでいたことだ。
鳩山内閣は民主党の内部から破壊された。
後継政権となった菅直人内閣と野田佳彦内閣は主権者が創出した革新政権ではなかった。
「天下り利権を根絶しない限り消費税の増税は認めない」という方針が破壊された。
破壊した中心人物が菅直人氏と野田佳彦氏である。野田佳彦のシロアリ演説が有名になった。
2009年8月15日に、野田氏が大阪の街頭で述べたものだ。「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と絶叫した演説である。
この野田佳彦氏が消費税増税法を強行制定した。企業団体献金の全面禁止も立ち消えになった。民主党のなかに既得権勢力とつながる勢力が存在していたのである。
これを「水と油の同居体」と表現してきた。同じ政党のなかに「革新勢力」と「既得権勢力」が同居していたのだ。
民主党が主権者の支持を完全に失ったのは、民主党内の「既得権勢力」が「革新勢力」を排除してしまったからだ。
菅直人内閣も野田佳彦内閣も、対米従属、財務省従属、大資本による政治支配の構造に完全に回帰した政権だった。民主党が完全に変質し、主権者は民主党に対する支持を完全に放棄したのである。
この「水と油の混合物」、伝説上の妖怪である「鵺(ぬえ)」の存在である民主党の解体が求められた。
その民主党の解体、分離、分割が、2017年の総選挙の際に図らずも実現しかけたのである。民主党の前原誠司代表が小池百合子氏と策謀して民主党を「隠れ自公政党」に改変しようとして、民主党の分離・分割が実現した。
この政変によって誕生したのが立憲民主党であった。「隠れ自公勢力」としての民主党を拒絶していた主権者が、この立憲民主党に期待を寄せた。その結果として、設立されたばかりの立憲民主党が多数議席を獲得し、野党第一党に躍進した。
しかし、この「ブーム」は枝野幸男氏に対する「ブーム」ではなかった。「隠れ自公」勢力と決別し、主権者の側に立つ革新野党が誕生したとの認識に基づくブームだったのだ。
ところが、枝野立憲民主党が、主権者の声にまったく応えずに今日に至っている。その結果、立憲民主党に対する期待が失望に転じている。
安倍政治に対峙する明確な政策公約を明示することが必要不可欠だ。
その上で、政策公約を共有する勢力の大同団結をこの政党が推進するべきだった。
ところが、枝野幸男氏は立憲民主党を私物化し、革新勢力としての旗幟も鮮明にせず、安倍政治に対峙する政治勢力の大同団結も推進してこなかった。
立憲民主党はじり貧状態に陥っている。
(以下は有料ブログのため非公開)