2019年6月24日月曜日

24- 消費税を凍結・減税すべし! (15) (藤井聡 教授)

 藤井聡・京大教授によるシリーズ「消費税を凍結・減税すべし!」「<15> 消費増税で「世界中の嗤い者」になるニッポン」を紹介します。
 
 今の日本の状況の中で、消費増税れば「リーマンショック級の経済打撃」がもたらされるという認識を持つのは何も日本国民だけではなく、海外のメディアも同じ認識を持っているとしています。そしていま何よりも恐ろしいのは、消費増税そのものよりもその恐ろしい破壊力を隠蔽し続ける、真実を伝えない「メディア空間」の方かもしれないと述べています。 
 ( 註 文中の太字強調部分は原文に拠っています)
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<15>消費増税で「世界中の嗤い者」になるニッポン

日刊ゲンダイ 2019/06/21
 今の日本はデフレ真っ最中。しかも今後、世界経済が冷え込んでいくことが必至の中で、消費増税などするととてつもなく経済が冷え込み、まさに日本に「リーマンショック級の経済打撃」がもたらされる――筆者を含めた多くの有識者がこうした警告を発し続けてきたわけだが、こうした認識を持つのは何も、日本の内側にいる日本国民だけではない
 考えてみれば当たり前だが、これほど「常識外れ」の消費増税については、日本経済の状況をウォッチしてきた海外の方々も当然、同じ認識を形成しているのである。

 たとえば米国「ブルームバーグ」紙(2月21日付)は、米中経済戦争が各国に激しい経済ダメージをもたらす状況の中で、消費増税など行うなぞ、トンデモない話だと強く批判している。
 あるいは、アメリカの代表的経済誌、「ウォールストリート・ジャーナル」(6月12日付)は、「消費増税は失策、日本は回避のチャンス台無しに」という記事の中で、自民党が「7日、7月の参議院選挙に向けた公約を発表。その中で10月に消費税を8%から10%に引き上げる方針を改めて表明した」という報道を紹介した上で、「日本は不要かつ経済に打撃を与える消費増税を回避する最後のチャンスを台無しにしている」と、自民党の判断の愚かしさを批判している。

 それと同時に同紙は「日本の銀行さらに弱体化か 消費増税なら再び試練」という記事(5月20日付)で「日本の銀行は同国経済の枠組みの中で、最も影響を受けやすいぜい弱な存在だ。安倍晋三首相が消費増税の断行を主張しているが、増税でさらに弱体化しかねない」と述べ、このタイミングでの消費増税が、日本中の銀行をさらに弱体化するであろうと警告している。
 そもそも「ウォールストリート・ジャーナル」がここまで消費増税を激しく批判しているのは、消費増税が「アベノミクス第二の矢を折る」ものだからだ。

「ウォールストリート・ジャーナル」は、まさに「アベノミクス第二の矢を折る消費増税」と題した記事(4月10日付)の中で、アベノミクスの第二の矢、すなわち機動的な財政政策が、消費増税によって台無しになれば、「日本が引き続き直面している最大のリスク」である「成長停滞」が確実にもたらされるであろうことを指摘している。
 そしてあげ句の果てに「ウォールストリート・ジャーナル」(4月5日付)は、その社説の中で、「増税は自傷行為になろう」とまで皮肉って見せている。

 ここまで言われながらわが国が本当に消費増税をしてしまったら、それはまさに世界中の嗤い者となってしまうだろう。
 
 ……一方で誠に遺憾ながら、わが国の大手新聞社の中には、こうした当たり前の消費増税についての議論がまったくなされていないのが実態だ。
 わが国は、まるで中国が天安門事件をかたくなに隠蔽し続けているように、「どこかの誰かの意志」で、消費増税を巡る「真実」の報道が、大手メディア空間から完全に消去され、隠蔽されてしまっているかのようだ。
 その点に思いをいたせば、いま何よりも恐ろしいのは、消費増税そのものよりも、その恐ろしい破壊力を隠蔽し続ける、真実を伝えない「メディア空間」の方かもしれない
 
 藤井聡  京都大学大学院工学部研究科教授
1968年、奈良県生まれ。。ニューディール政策等についての安倍晋三政権内閣官房参与に2012年着任、10%消費税増税の深刻な問題を指摘しつつ2018年12月28日に辞職。著書に『経済レジリエンス宣言』(編著・日本評論社)『国民所得を80万円増やす経済政策──アベノミクスに対する5つの提案 』『「10%消費税」が日本経済を破壊する──今こそ真の「税と社会保障の一体改革」を』(いずれも晶文社)など多数。