2019年6月24日月曜日

「再びTBS山口強姦魔」(本澤二郎氏)

 TBS元記者の山口氏にかかわる強姦疑惑の内容は実に卑劣なもので、これまで多くの人たちが非難して来ました。
 ジャーナリストの本澤二郎氏が、「再びTBS山口強姦魔」と題して取り上げました。
 それは事件の卑劣さという面からではなく、正当な犯罪捜査と裁判所の判断に基づいて出された山口氏の逮捕状が、執行される直前に行政官である警視庁刑事部中村部の一存で停止させられ、改めて捜査一課に無罪捜査を強いたという構造に問題を絞ったものです。
 
 それは途方もない刑事訴訟法違反事件であり、三権分立という憲法の根幹を破壊する行為だとして、それを中村氏に指示したのが首相官邸である点で、独裁政権法治を破壊するものであることを示した典型的な事例であると指摘しています(中村氏は国家公務員法違反であるとも)。
 まさに「国家犯罪そのものである」という指摘です。
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再びTBS山口強姦魔
本澤二郎の「日本の風景」(3353 2019-06-23
<司法による逮捕状を握りつぶした警視庁刑事部長の行方>
 日本にはいたるところに強姦魔がいる。TBS山口強姦魔に限らない。悲劇的なことは、被害者が沈黙して、自ら性凶悪犯を見逃しているレイプ文化にある。国民すべてが認知しているが、すべてが沈黙している。唯一の例外が、伊藤詩織さんで、騙されて襲い掛かった強姦魔を警察に訴え、警視庁の高輪署が徹底捜査、それを東京地方裁判所判事が評価して、犯人の山口強姦魔に対して逮捕状をだした。この過程に誤りはない。正当な犯罪捜査と裁判所の判断である。
 
 ところが、逮捕寸前のところで、警視庁刑事部長が逮捕状の行使を止めて、なんと握りつぶし、改めて捜査一課に無罪捜査を強いた。これは途方もない刑事訴訟法違反事件である。国家公務員法にも違反する大罪である。それだけではない、三権分立という憲法の根幹を破壊する行為だ。
 結果、刑事部長の中村は警察庁へと大出世した。森友事件で嘘をついて、国税庁長官に大出世した佐川と同じである。
 毎日のように連絡をくれる事情通は、伊藤さんとの面識は全くない。筆者もそうであるが、この重大犯罪を黙認したりすることは、決して許されるものではないと叫んで、筆者のお尻をたたく。要は、この事件こそが、この国の今を、鋭く映し出している。暴政の一角を露呈しているといっていい。
 法治国家を破壊した違法行為を中村に指示した黒幕が、首相官邸である。誰もが、安倍と菅の悪政を象徴する事件だと認識している。
 
<三権分立の破壊行為に沈黙する最高裁と議会と言論>
 権力が一本にまとまると、独裁の始まりである。人々が知らない間に強権的独裁・ファシズムに呑み込まれて、身動きできなくなる。今がそうで「100年安心」の年金制度が、当の昔に破損して、2000万円ないと95歳まで生きられないと政府審議会が公表して、老いも若きも大半の国民が右往左往している。
 どうするか、武器弾薬の爆買いをやめる、財閥の500兆預金を吐き出させればいいのだが、このことを議会人も政党も、学者文化人も声を上げようとしていない。
 10%消費税どころか消費税をなくして、富者から吐き出すのである。これしかない。そうすれば、弱者がジタバタすることもない。そのような政党と議会人を選べばいい。選挙目前ではないか。
 話が横道に反れてしまったが、独裁政権は無法無天、何でもやる、法治を破壊する。TBS山口強姦魔もみ消し事件こそが、その典型的な事例である。
 これに法の番人である最高裁が沈黙している。議会・政党も。そして「自由の言論」を吹聴する言論界が沈黙している
 特定秘密保護法・集団的自衛権の行使による自衛隊参戦法制・共謀罪の成果の前に、沈黙している日本の現在である。自由で民主主義が消滅してしまった日本であろう。
 
<出世した中村という行政官は国家公務員法違反>
 伊藤詩織さん事件は、この国の法治が機能していないことを露呈している。中村は、たかが行政官にすぎない。司法官では全くない。それでいながら、犯罪を、女性最大の敵である強姦魔を救済して、世界に衝撃を与えている。
 行政官が司法の分野に介入することができる日本を、だれが想定したであろうか。中村の犯罪がどこまで続くのであろうか。法の下の平等が泣いている日本である。
 日本国民のすべてが中村の今後を注視している。同時に、彼を操る官邸の黒幕の行方にも。
 それでも、この国の前途は、主権者たる国民が、必死になって担わなければならない。伊藤詩織さんは、救世主の一人になるかもしれない。予言しておく。
 
2019年6月23日記東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)