2019年6月23日日曜日

<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(2) (東京新聞)

 東京新聞のシリーズ<ファクトチェック 安倍政治の6年半>の第2弾です。
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<ファクトチェック 安倍政治の6年半>
(2)経済 GDP・勤労統計・求人倍率… 「成果」実情触れず
東京新聞 2019年6月22日
 安倍政権が六年半、経済政策で最も重視してきたのは、「成果」の見せ方だ。さまざまな解釈や表現を駆使し、いかに経済成長を実現したかを国民に印象付けることに腐心してきた。
 「しっかりと経済を成長させている」。安倍晋三首相は十九日の党首討論で、立憲民主党の枝野幸男代表に向けこう強調した。民主党政権時代の国内総生産(GDP)の実質成長率が安倍政権を上回っていたと訴えた枝野氏に対し、「一点だけ申し上げる」と強く反論した。
 枝野氏は物価変動の影響を除いた実質成長率を「経済の総合成績」と主張した一方、安倍首相は変動分を含んだ名目成長率を前提にした。どの指標を扱うか。解釈一つで、アベノミクスの代表的な「成果」とされるGDPでさえも評価が大きく変わる。両者の主張がかみ合わなかったのは、「物差し」の違いが大きい。
 
 政権が「名目GDP六百兆円」を目標に掲げたのは二〇一五年。首相は同年十一月、「二〇年ごろに十分達成できる」と宣言した。一五年度の実額は当初、五百兆円程度にとどまり、専門家から「不可能」との意見が相次いだ。しかし、その後に数値は急伸。一八年度には五百五十兆円まで伸ばした。
 伸長のからくりは、GDPの計算方法の変更だった。目標を掲げた後の一六年十二月に計算法を変え、一五年度は基準変更前と比べGDPを三十兆円以上伸ばし。「後出しじゃんけん」との批判も招いたが、一連の事象を首相が率先して説明する姿はみられない。
 首相がアベノミクスの成果を誇る際、紹介した数字の裏側にある実情を丁寧に説明しない場面が多くみられる。賃金の伸びは春闘の実績を使い、基幹統計として重要性が高い「毎月勤労統計」の結果には触れず。勤労統計の一八年実績が、政府の不正や算出方法の変更により、かさ上げされていることも背景にある。
 
 頻繁に取り上げる雇用の改善でも説明不足の構図は同じだ。今国会でも「有効求人倍率は史上初めて全都道府県で一倍を超えた」と繰り返す首相。この数字は事実だが、団塊世代の一斉退職や生産年齢人口の減少という特殊要因には触れず、増えた雇用は高齢者ら短時間労働者が多いという中身は語らない
 看板に掲げた金融政策「異次元緩和」でも、その理由と結果を十分に説明したとは言い難い。当時、首相はデフレの原因は金融緩和の不足にあるとして、任命した日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁による「二年で物価上昇率2%」に強くこだわった。
 それが六年かけても達成できず、地方銀行の経営悪化など副作用が相次ぐと発言は一変。今月の国会では「2%は一応目的だが、本当の目的は雇用」と転じた。 (渥美龍太)
 
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