自民党本部が野党やメディアを「乱心」「偏向」などと攻撃する冊子を、各議員事務所に1人25冊と大量に送付し、「関係者と共有し、参院選に向けた演説資料としてご活用ください」との添え書きが付いていたということです。
冊子の名前は『フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識』。
記事の内容は「安倍首相応援団」の主張そのもので、実に品性に欠けていて「ゴミ捨て場に山のように捨ててある」ようなシロモノだということです。
公党としてあまりにも品位に欠けた話です。
しんぶん赤旗と日刊ゲンダイが取り上げました。
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野党攻撃冊子 自民が配布
身内からも「品性欠く」「こんなもの誰が読む」
しんぶん赤旗 2019年6月26日
自民党本部が野党やメディアを「乱心」「偏向」などと攻撃する冊子を参院選対策として所属国会議員に配布しています。これには、党内からも批判が出ています。
冊子の名前は『フェイク情報が蝕(むしば)むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識』。その中では立党以来、国民主権と民主主義の旗を掲げてきた日本共産党について「民主主義を認めない」とし、野党共闘は「“日本を破壊する”活動」などと述べて、デマを振りまいています。挿絵に描かれた日本共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表とおぼしき人物たちは、よだれを垂らしたり、犬のような姿で青筋を立てるなど下品極まりない描写です。
「朝日」や「東京」、「沖縄タイムス」などに対しては「フェイクこそが本流のメディア」などと攻撃。その一方で安倍政権の実績を延々と強調しています。沖縄2紙をはじめ世論の批判が高まっています。
自民党本部は11日付で各議員事務所に1人25冊と大量に送付。通知では「関係者と共有し、参院選に向けた演説資料としてご活用ください」としています。冊子を受け取ったある党関係者は「品性に欠けている」と批判。別の関係者は「ゴミ捨て場に山のように捨ててある。こんなもの誰が読むのか」と嘆きます。
報道によると、同党の加藤勝信総務会長は「(本の)中身は読んでいない。どういう趣旨で配られたか承知していない」(21日、記者会見)と述べましたが、極めて無責任な対応です。
編集・発行は「テラスプレス」で、インターネットサイト「terracePRESS」に掲載された記事を加筆修正してまとめたとしますが、同サイトにも執筆者や運営主体の記載はなく、実態は不明です。
過去にも関与…自民「ネトウヨ冊子」ネタ元は身内の可能性
日刊ゲンダイ 2019/06/24
自民党本部が所属国会議員に配布していた「ネトウヨ冊子」が波紋を広げている。
本紙が15日発売号で、〈フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識〉と題された冊子について報じて以降、ネットメディアやテレビ、地方紙も問題視。偏った内容の冊子の“ネタ元”が「自民党周辺」だった可能性が浮上している。
冊子は、野党や安倍政権に批判的なメディアに対する誹謗中傷が満載。参院選対策として議員1人当たり25部ずつ配られたという。
内容は、「テラスプレス」なる情報サイトに掲載された記事が基になっているが、当サイトには運営者の詳細について記載がなく、ネット検索してもヒットしない。正体不明のサイトなのだ。本紙の質問に、党本部は〈『テラスプレス』は、そのときどきの時局テーマについて、非常に簡潔にわかりやすく解説している〉と回答したものの、テラスプレスの詳細については答えなかった。
この問題を取り上げた琉球新報に党本部は〈テラスプレスは1年ほど前から、広く一般にネット上で閲覧されて〉いるとしたが、17日時点でテラスプレスのツイッターアカウントのフォロワーはたった18人。参考資料として利用できるレベルの一般的な情報サイトとは思えない。
さらに北海道新聞は、加藤勝信総務会長が21日の会見で「どういう趣旨で配られたか承知していない」と発言したと報道。党幹部すら詳細を知らないとは驚くしかない。TBS系「上田晋也のサタデージャーナル」では、党の内情に詳しいとされる人物が〈この件だけはコメントしたくない〉と逃げた様子を伝えていた。怪しさは深まるばかりなのだ。
■過去にも「党周辺」がデマ、誹謗中傷を拡散
あらゆるメディアの追及に、不自然なほどかたくなに口を閉ざす自民党。過去、野党議員のデマを流したサイト「政治知新」を自民党地方議員の弟が運営し、野党批判を繰り返した「宇予くん」なるツイッターを、党と関係が深い日本青年会議所が運営していたことが明らかになっている。今回も運営に“党周辺”が関与しているのではないか。
元自民党職員の政治アナリスト・伊藤惇夫氏はこう言う。
「テラスプレスの記事内容は『安倍首相応援団』の主張そのものです。自民党や安倍首相とつながりを持った人物や組織がサイトを運営していると受け止めざるを得ません。こういった偏った内容の冊子を党本部が選挙対策で配布する感覚は、到底理解できません。かつての自民党はもっと良識がありました」
政権政党なのに随分と卑怯な参院選対策である。