記者会見での鋭い追及ぶりで菅官房長官らから目の敵にされ異常ないじめを受けている東京新聞記者・望月衣塑子氏が書いたノンフィクション「新聞記者」を原案にした映画「新聞記者」が28日から公開されるということです。
試写を見た業界関係者の間で大変な話題になっているということで、映画批評家の前田有一氏は、
「映画はもはや“安倍政権の闇”とでも題したくなるほど現政権の疑惑を網羅した内容。
本作は現政権の現在進行中の未解決事件を映画化した点で前代未聞。社会派映画史に刻まれるべき偉業」と激賞しています。
映画には、あらゆる手段で政権を守ろうとする内閣情報調査室から激しい妨害にあう様子や、実名こそ出さないものの伊藤詩織さん暴行揉み消しや、公文書偽造を強いられた官僚の自殺などの現実とリンクしているエピソードが網羅されているということです。
安倍政権のもと、ここまで危険水域に踏み込んだ日本映画はかつてなく、これほどの映画がもしヒットしなかったら、もう日本で社会派映画に挑戦する映画人なんていなくなってしまうというほどの出来栄え(前田有一氏)だということです。
大ヒットして安倍政権に引導を渡して欲しいものです。
「内閣調査室」や「権力とメディア」をテーマにした望月氏、前川喜平氏、南彰氏(司会者)らの座談会の動画が公開されていますので紹介します。
動画「内閣情報調査室」 (6分36秒) ハフポスト日本版 2019/05/23公開
動画「権力とメディア」(10分28秒) ハフポスト日本版 2019/05/31公開
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批評家が絶賛 映画「新聞記者」が暴いた安倍政権の“暗部”
日刊ゲンダイ 2019/06/21
老後資金2000万円不足問題や、ずさんなイージス・アショア候補地調査など、参院選を前に国民の怒りをかきたてる不祥事が続く安倍政権だが、28日から公開される映画「新聞記者」のキョーレツな内容は、さらに彼らを悩ませることになりそうだ。
東京新聞記者・望月衣塑子氏(44)のノンフィクションを原案に、「デイアンドナイト」など本格的な人間ドラマで定評ある藤井道人監督が、映画オリジナルの脚本を練り上げて実写化したポリティカルドラマ。これが今、試写を見た業界関係者の間で大変な話題になっているのだ。その内容を、映画批評家の前田有一氏が驚きを隠せぬ様子で語る。
「タイトルこそ著書に合わせていますが、映画版はもはや“安倍政権の闇”とでも題したくなるほど現政権の疑惑を網羅した内容です。最近ハリウッドでは、チェイニー副大統領を描いた『バイス』など政治批判の映画が話題ですが、しょせんは過去の話。本作は現政権の、現在進行中の未解決事件を映画化した点で前代未聞です。ハリウッドでさえ、こんなことをしようという無謀な映画人はいない。社会派映画史に刻まれるべき偉業です」
映画は女記者(シム・ウンギョン)が、加計学園がモデルとおぼしき特区の新設大学にまつわる内部告発を受け取材を始めたところ、あらゆる手段で政権を守ろうとする内閣情報調査室から激しい妨害にあう様子を、重厚な演出で描く。実名こそ出さないものの、伊藤詩織さん暴行揉み消しや、公文書偽造を強いられた官僚の自殺をはじめ、これでもかと出てくるエピソードが現実とリンクしていることは誰が見てもすぐにわかるようになっている。
■「ここまで危険水域に踏み込んだ日本映画はかつてない」
「藤井監督ら3人の脚本チームの力作ですが、感情的にならず、報道等で判明しているファクト中心に構成した点に誠実さを感じます。数年分の事件を凝縮した2時間を見終えた時、我々はなんと異常な政権の元で生きてきたのかと愕然とさせられます。芸能界全般が忖度ムードに包まれる中、松坂桃李や本田翼をはじめ、出演した人気俳優たちの勇気も称えるべきです。安倍政権のもと、ここまで危険水域に踏み込んだ日本映画はかつてなく、映画としての出来もすこぶる良い。これほどの映画がもしヒットしなかったら、もう日本で社会派映画に挑戦する映画人なんていなくなってしまいますよ」(前田氏)
日本映画界からの痛烈な一撃が、いよいよ安倍政権に引導を渡すことになるか。