2013年6月25日火曜日

韓国紙も「慰安婦強制連行」証拠資料を隠ぺい と

 
 安倍内閣が18日、答弁書で「慰安婦問題に関して日本軍による強制連行を示す証拠が政府の発見した資料の中にある」と認めたことに関連して、複数の韓国メディアが24日、第1次安倍晋三内閣が従軍慰安婦の強制連行を示す証拠があることを知りながら、虚偽の答弁書を閣議決定していたと非難しました。
      2013年6月20日「慰安婦問題 政府資料に強制連行の証拠」 
 政府としてはその批判を甘受するしかありません。

 上記の記事でも触れましたが、従軍慰安婦に関する一連の橋下発言は、第1次安倍内閣の答弁書を最大の根拠にしていました。橋下氏はその後も「閣議決定された文書こそは何にも勝る真実の書、最高の証拠」だと盛んに強調していましたが、こうなってみるとなんとも空しい言辞を吐いたものです。「総理大臣が言うことだから真実だ」などという論理はいまどき小学生にも通用しません。

 それにオランダ人女性に関する「スマラン事件」については、中大の吉見教授が6月4日に出した公開質問状の「第5 1~3」でも触れています。もしも自分に出された書類に目を通していれば、その後に「閣議決定の文書こそが真実」などとは言えなかった筈です。
 総じて彼の場合はぶら下がり会見などではポンポンと威勢のいいことは言うし、ツィッターではなおさら雄弁になるようですが、これまでも数多く出されてきた「精緻な論理で組み立てられている」公開質問状などにキチンと答えたという話は聞きません。
 これでは、昨年末の総選挙で突如マスメディアが「第3極」と持ち上げて躍進した維新の会が、僅か半年で都議選の結果に見るような凋落を見せたのもまたムベなるかなです。

 以下にサーチナニュース(中国電子網)を紹介します。
    (追記 吉見教授の「公開質問状」には前記の記事からアクセスすることができます)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安倍内閣、「慰安婦強制連行」証拠資料を隠ぺい=韓国
サーチナニュース 2013624
 複数の韓国メディアは24日、第1次安倍晋三内閣(200607年)が従軍慰安婦の強制連行を示す証拠があることを知りながら、07年に「強制連行を直接的に示す記述はない」との答弁書を閣議決定していたと伝えた。各メディアは、安倍内閣が強制動員の証拠を「黙殺」したと非難した。
 報道によると、安倍内閣は18日、1993年に河野洋平官房長官談話を発表するにあたって日本政府が収集した資料の中に、日本軍による慰安婦の強制連行を示す資料である「バタビア臨時軍法会議の記録」が含まれていたことを、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員への答弁書で認めた。
 バタビア臨時軍法会議は、日本軍が1944年2月から約2カ月間に渡り、ジャワ島スマランなどの抑留所に収容していたオランダ人女性24人を慰安所に連行し買春を強要させた事件を裁くため、48年にインドネシアのバタビアで開かれた軍事裁判。同裁判では、日本軍将校7人と軍属4人が有罪、うち1人は死刑判決を受けた。日本は1951年のサンフランシスコ講和条約を通じて判決を受け入れた。
 安倍内閣は答弁書で、バタビア臨時軍法会議の記録に「慰安所に連行、宿泊させ、脅すなどして買春を強要するなどした」との記述があることも認めた。
 第1次安倍内閣は07年3月、慰安婦問題に関連し、「政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」との答弁書を国会に提出。安倍内閣は最近も同様の主張を繰り返している。
 赤嶺議員は、第1次安倍内閣が閣議決定した07年の答弁書は橋下徹大阪市長など「慰安婦」強制否定派が最大限に活用してきたと指摘し、政府が発見した資料に「バタビア臨時軍法会議の記録」があることを認めた以上、安倍内閣は07年の答弁書を撤回するべきだと主張した。(編集担当:新川悠)
 
 

2013年6月24日月曜日

自己責任論者の責任の取り方は??

 
 ニュースキャスターの辛坊治郎という人が、全盲のヨットマンと二人でアメリカに向けて航海を始めた6日目の22日に、小型ヨットが浸水したために海上自衛隊に救助を要請し、1200km沖の現場に向かった2機目の飛行艇で救出されました。
 その後に、その突飛な航海が日テレの24時間TV(8月24・25日)のハイライト用であったことや、ヨットは大阪から小名浜港への回航中にも浸水が確認されたのに、それを修理もせずにあたふたと出港したことなどが分かりました。
 そうであれば不注意による人騒がせな事件であり、救助費用(国費)を無駄遣いしたとの謗りは免れませんが、同氏はそうした批判を避けようとしていち早くブログを削除したということです。

 インターネットではもうひとつ、同氏が折に触れて唱えていた「自己責任論」とどう折り合いをつけるのかが注目されています。
 2004年にイラクで、市民活動家の高遠菜穂子さん、今井さん、ジャーナリストの郡山んら3人が、続いてジャーナリストの2名がイラク人武装グループに拘束され、一時生命危ぶまれる事態に陥った事件がありました。
 幸いにして5人の人たちは、武装グループ彼らのイラク入りの目的を理解したので無事解放されましたが、彼らとは別に武装勢力に誘拐され日本人青年、自衛隊撤退を要求された小泉首相が拒否したために、帰らぬ人となりました。

 折りしも小泉政権下では新自由主義者たちが自己責任論を強調し、救出された人たちに対して救出の費用を負担させるべきだという意見が公然と出されました。そして人材派遣会社の女性社長がしばしばTVに登場しては、「経済的弱者は努力が足りない人たちで、貧乏は自己責任」だと繰り返すなどしていました。
 そうした中で辛坊氏は率先して「自己責任論」を叫んでいました。従って彼がその自己責任論と自衛隊による救助とをどう整合させようとするのかは当然に注目されるところです。(辛坊氏はまたTVを通じて橋下徹氏を世の中に送り出した人でもありました)

 ところが世の中には頭の切れる人がいて、忙しい本人に代わってちゃんと同氏の名誉回復の方法を考えてくれました。村野瀬玲奈(多分仮名でしょう)という人で、22日付のブログで発表しています。(^○^)
 以下にその一部を抜粋して紹介します。全文は下記のURLをクリックしてご覧ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
村野瀬玲奈の秘書課広報室」(6月22日) より

 (前 略) 二人の人命が救助されたことに安堵するとともに、「この国の国民であったためにイラクで日本政府やテレビ局がつくった『自己責任論』の世論によって見殺しにされた青年」がいたことを私は決して忘れません。彼に危機に陥った何らかの責任があるとしても、彼を救助せず見殺しにする理由には全くならないからです。

 ところで、辛坊治郎氏が自分で自分の名誉を回復する手段がいくつかあると思います。

その一。他人からあれこれ言われる前に自分で救助費を全額日本政府に払う。
その二。極端な自己責任論をテレビで流すことによって日本政府がイラクで見殺しにすることに辛坊氏自身が手を貸したことになる日本人青年の遺族に謝罪に行く。
その三。海外で危機に陥って「救助費」を日本政府から「請求」されて払わされた人々に対しては辛坊氏が自腹で補償し、納税者である国民なのだから救助費を政府に払う必要はなかったことを公の場で表明する。
その四。テレビで自らが流してきた「自己責任論」は誤りであったことを認め、謝罪す
      る。
その五。「自己責任をとらない自己責任論者」橋下徹を自ら世に送り出したことを悔い、謝罪するメッセージを出す。
その六。テレビ界から完全に引退し、本を書くなどの手段で「自己責任論」の誤りを伝道することに残りの人生を捧げる。
その七。自分を救助したのは直接には海上自衛隊、海上保安庁ではあったが、それらの政府組織は日本国民が払う税金で運営されており、日本国民全員によって救助されたものであることを表明する。

 辛坊治郎さん。私には私個人があなたに迷惑をかけられたという意識はありません。
 いろいろな場面で危機にあるほかの多くの人の生命や生活を救うために本来使われるべき税金が生きるか死ぬかの状況に陥ったあなたのために使われたということは、正しい税金の使い方だからです。
 しかし、「自己責任論者」がどうやって「自己責任」をとるか、多くの人が、日本に大勢いるあなた同様の冷酷な自己責任論者たちを代表するあなたに注目しています。

 私個人は過去のあなたを尊敬することは全然できませんが、あなたの今後の言動によってあなたが尊敬の対象となるかどうかが決まるでしょう。どうぞ彼らの手本をお示しくださるよう、お願いいたします。(後 略)
 
 

「軍は住民を守らず」は心の深い傷に

 沖縄戦で旧日本軍の組織的戦闘が終結した1945年6月23日の沖縄の全戦没者の霊を慰める「慰霊の日」に、琉球新報は「軍は住民守らず」と題する社説掲げました。
 軍は国家を守るものであって住民(国民)を守るものではないと言われますが、沖縄戦におけるその実態は悲惨を極めたもので、住民の4分の1に当たる20万人の命が失われました。

 は沖縄県民を守る視点は全くなく、南下させられたおびただしい非戦闘員が戦火に巻き込まれ犠牲になりました。日本兵による食料強奪、壕からの追い出し、壕内で泣く子の殺害、住民をスパイ視しての殺害継ぎました

 また住民から機密が漏れるのを防ぐため住民が米軍に投降することを認めず、軍による命令や、強制、誘導によって親子、親類、友人、知人同士が殺し合う惨劇も起きました

 国防軍を設置し、軍事裁判所を設け、機密保護法を制定することを本気で考えている安倍政権が誕生したこのときに、改めて68年前に何が起きたのかを見つめ直してみる必要があります。(記事の下線は事務局が施しました)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 慰霊の日 軍は住民守らず 「心の傷」抜本調査を
琉球新報 2013年6月23日
 沖縄戦の組織的戦闘の終結から68年を迎えた。
 「ありったけの地獄を集めた」と表現される過酷な戦場から針の穴をくぐるように生還した方々が戦後、肉体だけでなく心がひどくむしばまれ、その傷が癒やされることなく生きてきたことが、ようやく実証された。
 沖縄戦トラウマ研究会が調査した沖縄戦体験者のうち、約4割が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しているか、発症する可能性が高い深刻な心の傷(トラウマ)を抱えていた。

フラッシュバック
 比較可能なベトナム戦争に従軍した米兵、阪神・淡路大震災後の被災者の約2倍だという。その理由の一つが、沖縄に駐留し続ける米軍の存在だ。
 女性暴行や殺人など米兵が引き起こす犯罪によって、戦争時の記憶が突然よみがえるフラッシュバックにさいなまれる。米軍機や、強行配備された新型輸送機MV22オスプレイの爆音も同様だ。
 体験者にとって戦争はまだ終わっていない。私たちはこの現実を直視しなければならない。
 日本政府は、早急に全ての体験者を対象にしたPTSD調査を実施すべきだ。深刻な心の傷を抱えている方々に、適切な治療を施す責任がある。
 同時にPTSD発症の一因とされる米軍被害をなくすためにも、普天間飛行場の閉鎖・県外移設、日米地位協定の改定は不可欠だ。
 沖縄戦は「本土決戦」準備が整うまで、米軍を一日でも長く沖縄に引きつけておく「出血持久戦」(「帝国陸海軍作戦計画大綱」)だった。第32軍が司令部のある首里で降伏せず、沖縄本島南部の摩文仁、喜屋武一帯に撤退したのは、当時の大本営の方針に従ったからだ。

 第32軍は沖縄県民を守るために配備されたのではないので、住民保護の視点は決定的に欠落していた。「出血持久戦」によって、南下した非戦闘員が戦火に巻き込まれ、おびただしい人々が犠牲になった。日本兵による食料強奪、壕追い出し、壕内で泣く子の殺害、住民をスパイ視しての殺害が相次いだ。
 日本軍は住民から機密が漏れるのを防ぐため、住民が米軍に投降することを許さず軍と共に生き、軍と共に死ぬ「共生共死」の指導方針(「報道宣伝防諜(ぼうちょう)等に関する県民指導要綱」)を発令していた。そのため戦場で日本軍による命令や、強制、誘導によって親子、親類、友人、知人同士が殺し合う惨劇が発生した。県民にとって沖縄戦の教訓は「軍隊は住民を守らない」だ。

離島奪還訓練
 尖閣諸島をめぐる日中の対立が高まる中で、自衛隊幹部が隊内誌に、沖縄戦を含む太平洋戦争中の島しょ防衛戦を分析、今後の作戦の教訓にしている。沖縄戦は「特別攻撃、進攻遅延海・空戦闘と地上戦闘により一定の(米軍を沖縄に引き止める)遅延効果は認められた」という内容だ。
 「出血持久戦」を「一定の効果」があったと評価している。だが実態は、暗号を解読されて作戦は筒抜け、生還が許されない海と空からの特攻、急造爆弾を抱えて突撃を繰り返した揚げ句、住民を巻き込んだ無残な戦争だ。自衛隊幹部の「評価」に違和感を禁じ得ない。
 別の論文によると、自衛隊が想定する島しょ防衛戦は、敵に離島(南西諸島)を占領された後、強襲上陸し奪還する。「領域保全を優先」するため「住民混在」の「国土防衛戦」を行うと明記しているのだ。沖縄戦を想起させる。この考え方に沿って現在、米国で陸海空3自衛隊と米軍による離島奪還訓練が行われているとみられる。
 安倍政権は、改憲して自衛隊を国防軍に変更し、集団的自衛権の行使を容認し「戦争ができる国」づくりを進めようとしている。沖縄戦を体験し、引き続き過重な米軍基地負担を強いられている私たちとしては、到底認められない。
 無念の死を遂げた方々に思いをはせ不戦の誓いを新たにしたい。
 
 

2013年6月23日日曜日

憲法9条の改定は軍備競争につながる と


 シンガポール南洋理工大学胡教授は、日本の月の参院選が憲法改正を後押しするだろうとの強い懸念を示しました。
 
 そして憲法9条が改定されれば日本は軍国主義の道を再び歩むことになる。そうなれば周辺国との間で軍備競争が始まり相互不信が増すので、武力衝突が発生する確率まる。やがては核兵器の研究開発と配備に向かうので、世界の平和と安全にとっても非常に危険なことになる、と述べました。
 簡明な論理で説得力があります。

 以下に日本語版サーチナニュースを紹介します。
 (註.下線を施した2箇所で日本語訳の意味が逆になっていましたので、事務局で修正しました。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本の憲法改正は軍備競争を後押しする=シンガポール識者
サーチナニュース 2013622
 マレーシア首相の前政治秘書でシンガポール南洋理工大学教授の胡逸山氏はこのほど、7月に行われる参議院選挙は日本の右翼勢力による憲法改正」を後押しすると見られるとして強い懸念を示した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 胡逸山教授によると、日本の一部の政治家は、憲法改正は日本が第2次世界大戦後に「二等国」になったという非正常的な状況から脱するためであり、「正常化」で実際の主権と尊厳を持つ国にすると何度も主張している。この理由は立派に聞こえるが、本当の目的は現行の憲法第9条、つまり「日本が戦争を発動させて国際紛争を解決する権力無条件放棄」を撤回することにある。

 胡逸山教授は、「日本の右翼勢力は憲法改正によって軍事力と権力の拡大を企んでおり、これにより日本は第2次世界大戦時の軍国主義の道を再び歩むことになる。そのため、日本の周辺国、なかでも中国、韓国、北朝鮮が心配するのも無理はない」との見解を示した。
 「地域戦略の角度から言えば、日本の憲法改正という好戦的な行動は同地域の新たな軍備競争を引き起こすことになる。歴史と現実の要素に基づけば、日本側が憲法改正によって戦争発動の権力を取り戻した場合、比較的良好な技術と工業の基礎がある隣国は軍備の発展を加速させ、技術力が低い国も外国から軍備を買い足すだろう。それにより、互いの邪推と懸念は高まり、同地域で武力衝突が発生する確率、対立がエスカレートする確率も高くなる」と、胡逸山教授は主張した。
 日本が戦争発動の権力を取り戻すことは、核兵器の研究開発と配備を意味するのではないかということが懸念される。その場合、朝鮮半島の無核化に深刻な影響をもたらすことになる。核軍備競争は日本自身の長期的な安全だけでなく、世界の平和と安全にとっても非常に危険なことである。(編集担当:米原裕子) 
 

2013年6月22日土曜日

朝日新聞・沖縄タイムスが自民の公約を批判 +

 朝日新聞が「有権者を甘く見るな」と自民党の参院選の公約を批判しました。 曰く
  ・アベノミクスの先行きは不安なのに、威勢のいい数字を並べても実現の道筋が見えない。
  ・消費税率の引き上げに触れていない
  ・社会保障改革の内容を示していない
  ・先の総選挙で「原子力に依存しない経済・社会構造」を公約したのに半年で再稼動に転換した
  ・憲法改正や集団的自衛権行使などを正面に強く打ち出していない
・・・・・・・・・・
 そして、参院選が終わったら「白紙委任」を得たとばかり走り出すのではないかと。
 
 沖縄タイムスも同様に、「世論を二分する重要対立案件は控えめに公約に盛り込み、選挙の結果をみて本格的に取り組む、という二段構えの姿勢、二股こう薬」だとする社説を掲げました。

 以下に朝日新聞と沖縄タイムスの社説を紹介します。 
(+ 両社説ともTPP問題には触れていませんが、TPPに関しては、「守るべきは守り、攻めるべきは攻めることで、国益にかなう最善の道を追求する」とするだけで何を守るかは書いてありません、公約と同時に発表した総合政策集「Jファイル」には「農林水産分野の重要5品目などの聖域を確保する」「確保できない場合は、(交渉から)脱退も辞さないものとする」などとしましたが、その位置づけは高市氏曰く「公約とは分けて考えてほしい」ということで、正に語るに落ちています)
              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【社説】 自民党の公約―有権者を甘くみるな
朝日新聞 2013年6月22日
 自民党が発表した参院選の公約の冒頭に、安倍首相はこうつづっている。 
 日本を覆っていた暗く重い空気は一変しました――。 
 本当にそうだろうか。 
 出足こそ好調だったアベノミクスだが、このところの市場乱調で先行きには不安が漂う。首相の認識は楽観的すぎる。 
 個別の政策目標でも、政府の成長戦略そのままの威勢のいい数字が並ぶ。 
 ▽今後3年間で設備投資を年間70兆円に回復 
 ▽17年度末までに約40万人の保育の受け皿を新たに確保 
 ▽20年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円に 
 しかし、これまでにも指摘してきたようにいずれもハードルは高く、実現の道筋は描けていない。 
 一方で、来年4月の消費税率引き上げに一切触れていないのはどうしたことか。社会保障改革も「国民会議の結果を踏まえて必要な見直しをする」とするにとどめた。 
 ともに国民に負担を強いるテーマだ。選挙に不利になるから盛り込まなかったとすれば、これほど有権者をばかにした話はない。 
 09年の総選挙で、民主党は実現不能なバラ色のマニフェストを掲げ、破綻につながった。野党としてそれを批判してきた自民党が、いままた同じ轍を踏もうというのか。 
 看過できないのが、原発をめぐる政策転換だ。 
 先の総選挙で自民党は「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立をめざす」と公約していた。たった半年前のことである。 
 それが今回は「地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をする」と、休止中の原発の再稼働推進に踏み込んだ。 
 3・11から2年が過ぎ、安全より経済優先で理解が得られると思っているのか。首相は衆院選公約との整合性をきちんと説明する責任がある。 
 この参院選を機に、与党は衆参両院で過半数を得て「政治の安定」を実現しようとしている。そうなれば、今後の政策を進めるうえで与党の力は格段に強まる。 
 私たちが、自民党の公約に注目するのはそのためだ。 
 公約では、憲法改正や集団的自衛権行使など、いわゆる「安倍カラー」を強く打ち出してはいない。だが、参院選が終わったら「白紙委任」を得たとばかり走り出すようでは困る。 
 この公約には、そんな危うさがつきまとう。

社説】 [自民党参院選公約]普天間は二股こう薬か
沖縄タイムス 2013年6月22日
 自民党は20日、参院選公約を発表した。国内外から安倍政権の右傾化を懸念する声が上がっていることを念頭に、保守色の強い安倍カラーを抑え、国民の支持の高い経済政策「アベノミクス」を前面に押し出している。
 参議院で過半数を獲得し、国会の「ねじれ」を解消することを最優先にした公約である。世論を二分する重要対立案件は、控えめに公約に盛り込み、選挙の結果をみて、本格的に取り組む、という二段構えの姿勢がうかがえる。
 だが、政権党が中央と地方組織の政策のねじれを放置したまま選挙戦に突入するのは、有権者を欺く「二股こう薬」のようなものである。あってはならないことだ。
 米軍普天間飛行場の移設問題について参院選公約は、こんなふうに書いている。
 「抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現するため、『日米合意』に基づく普天間飛行場の名護市辺野古への移設を推進し、在日米軍再編を着実に進めます」

 これに対し、自民党県連は、「辺野古移設容認では選挙は戦えない」と、県外移設を堅持。5月27日に開いた県議団による議員総会で、「県外移設を求めて固定化阻止に取り組む」との地域公約(ローカルマニフェスト)を全会一致で承認している。
 自民公認・公明推薦で立候補する予定の安里政晃氏は、5月31日の出馬表明会見で、「ウチナーンチュの声を代弁し、県外を求めてまいりたい」と明言した。もはや後には引けない状態だ。
■    ■
 ねじれたまま選挙戦に突入したら、どういうことになるのか。自民党は有権者の立場にたって、ことの深刻さをよくよく考えてもらいたい。
 Aさんという有権者がいたとしよう。Aさんは候補者の主張を聞き、公約集を読み、「これなら支持できる」と投票前に考えをまとめた。ところが、安倍晋三首相をはじめ党幹部から聞こえてくるのは「辺野古移設推進」の声だけ。一体、誰を信じて投票すればいいのか。
 二股こう薬とは「自分の利益や都合だけを考え、状況によって態度や立場を変えること」(集英社国語辞典)である。昨年12月の衆院選後、自民党の当選組の中から、公然と公約撤回を主張する議員が現れ、有権者のひんしゅくを買った。今回、二股こう薬的な選挙公約に嫌気がさして投票を見あわせる有権者もいるのではないか。
 党中央と地方組織の政策の食い違いが投票率の低下を招くようなことがあれば、政権党の罪は大きい。統治能力の欠如を意味するからだ。
■    ■
 憲法改正に関して公約は、一番最後に取り上げ、「発議要件を『衆参それぞれの過半数』に緩和」することを明らかにしている。連立を組む公明党に配慮し、いかにも忍び足の風情だ。
 憲法96条の先行改正を明記していないのは、先行改正はしないという意味なのか、選挙結果次第では先行改正も辞さずという意味なのか。そこがあいまいだ。最重要課題があいまいでは困る。
 
 

日本ペンクラブが憲法96条改定に反対の声明

 
 日本ペンクラブは21日、自民党が参院選の公約に掲げる憲法96条の改に反対する声明を発表しました
 
 声明は「政治的に強い力を持った者たちが一方的に憲法を変えることを可能にする今回の改変の動きは、多様な言論のなかから合意を作り上げていく主権在民の豊かな可能性をふさぎ、民主主義の根幹を危うくするもの」であり、「戦前戦中、活動停止に追い込まれた痛恨の歴史を持つ日本ペンクラブは、憲法第九十六条の改変に強く反対する」と述べています。

 以下に時事通信の記事と日本ペンクラブの声明を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
憲法96条改正に反対=ペンクラブ
時事通信 2013年6月21日
 日本ペンクラブ(浅田次郎会長)は21日、自民党が参院選の公約に掲げる憲法96条の改正に反対する声明を発表した。
 憲法改正の発議要件を衆参各議院の3分の2以上の賛成から過半数に緩めることは「多様な言論の中から合意を作り上げる主権在民の可能性をふさぎ、(国家権力を制限する)立憲主義の否定につながる。民主主義の根幹を危うくするものだ」と批判している。
 記者会見した浅田会長は「改憲の是非以前に、手続きから変えてしまうことの無謀さに反対する。見過ごしてはいけない」と訴えた。

日本ペンクラブ声明 「憲法第九十六条改変に反対する」

 いま政権与党と政界の一部には、日本国憲法第九十六条を改変し、憲法を改正しやすくしようという動きがある。私たち日本ペンクラブは、これが憲法と日本社会の根幹を揺るがす重大問題であると考え、強く反対する。日本国憲法制定の背後には、自由にものも言えず、時の強権と、強権が振りまく虚偽を疑うことすら許されないまま、悲惨な戦争へと突き進んでいった戦前戦中の歴史がある。国内外に甚大な被害をもたらしたこの苦い経験から、私たちは、国家権力を握った者たちを勝手に振る舞わせてはいけない、ということを学んだのではなかったか。

 この教訓から、日本国憲法はその前文で主権在民を謳い、行政・立法・司法と、その立場に就いた者たちの恣意と専横を退けるとともに、平和の希求と人権尊重を定めた憲法に基づいた政治(立憲主義)が行われることを明確に求めている。第九十六条が憲法改正の要件として、衆参各議院の三分の二以上の賛成と、さらに国民投票による過半数の賛成を求めるという高いハードルを課しているのも、その重要な一環である。

 ところが、いま見られる第九十六条改変の動きは、憲法改正を一般の法律と同じように各議院の半数の賛成によって発議できるようにし、憲法それ自体の内容を容易に変えられるようにするものである。さらにその先に、憲法の平和主義を変更し、言論・表現・結社の自由を制約することをも視野に入れている。

 政治的に強い力を持った者たちが一方的に憲法を変えることを可能にする今回の改変の動きは、いかなる問題であれ、多様な言論のなかから合意を作り上げていく主権在民の豊かな可能性をふさぎ、立憲主義を否定することにつながると判断せざるを得ない。これは単なる手続きの問題ではなく、日本社会にようやく根づいた民主主義の根幹を危うくするものである。

 戦前戦中、思想と言論の自由を奪われ、活動停止に追い込まれた痛恨の歴史を持つ日本ペンクラブは、憲法第九十六条の改変に強く反対する。
二〇一三年六月二十一日
一般社団法人日本ペンクラブ会長
浅田次郎
 
 

2013年6月21日金曜日

毎日新聞が首相のFBを批判 高市氏の暴言も

          FB = フェイスブック  

 毎日新聞が20日付で、安倍首相が元官僚の田中均氏を名指しで批判した一件と、高市氏が「福島原発事故で、死亡者が出ている状況ではない」などと講演で語ったことについて批判する社説を掲げました。高市氏は首相と価値観が一致しているために政調会長に抜擢されたといわれています。

 朝日新聞も首相がFBで田中氏に対して反論したことについて18日付の社説で批判しました。
 この程度の比較的些細な事柄ではマスメディアもさすがに首相を批判しますが、こと官僚が絡む基本方針的なものになると、マスメディアは権力側を一切批判しません。
 「社会の木鐸」であるならば、天下国家の正しいあり方について堂々と論じ政府を批判しなければならない筈ですが・・・

 それにしても安倍政権が誕生して以降のメディアの沈黙はまことに不自然です。戦時中、政権に盲目的に従った大政翼賛会的な姿勢を終戦後に自己批判した、あの新聞の声明は一体何だったのでしょうか。「進駐軍」の前ではそうしたポーズを取ることが有利だと判断したからだったのか? このところの新聞界(実際にはTV界をも支配)の挙動を見ているとそんな気になります。

 安倍首相の批判者に対する異常な対応については、既に本ブログや、「原発をなくす湯沢の会」のブログ( http://yuzawagenpatu.blogspot.jp/)でも取り上げましたが、比較的些細なこととはいえマスメディアが首相を批判する社説を掲げるのは珍しいことなので、もういちど取り上げることにします。

 高市氏の「死亡者が出ていない」の発言に対しては、福島民友ニュースが「謝罪ではすまない。被災地の苦しい思いを知らない政治家には辞めてもらいたい」という県民の怒りの声を伝えています。いかにも考えが浅く言葉も軽い政治家たちがのさばり、碌に出処進退も弁えていないという実情には寒々とするものがあります。

 以下に毎日新聞の社説と福島民友ニュースの記事を紹介します。
                              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説】 首相らの言葉 著しく思慮欠く罪深さ
毎日新聞 2013年06月20日
 どうしてここまで思慮に欠ける言葉が政治家から飛び出すのだろう。最近、その傾向は一段と顕著になっていると思われる。

 まず指摘しなくてはならないのは安倍晋三首相がインターネットの「フェイスブック」で、2002年の小泉純一郎首相(当時)の訪朝にかかわった田中均元外務審議官を名指しで批判した一件である。
 きっかけは田中氏が毎日新聞のインタビューで「国際会議などで日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる」と懸念を示したことだ。これに対し、安倍首相は自らのフェイスブックで、なぜか右傾化問題には直接触れずに、官房副長官だった11年前、拉致被害者5人を北朝鮮側の要求に沿って北朝鮮に戻すべきだとする田中氏の主張を自らが覆したとの話を持ち出して、当時の田中氏の主張について「外交官として決定的な判断ミス」と批判した。
 当時、政権内で激しい対立があったのは事実だ。しかし、首相が「彼に外交を語る資格はない」と元官僚をばっさりと切り捨てるのは、やはり個人攻撃というべきで最高権力者の発言として自制心を欠いている。

 小泉訪朝後、田中氏は「売国奴」呼ばわりされ、自宅に爆発物が仕掛けられる事件も起きた。単純に敵と味方に色分けし、敵と見なせば激しくののしるような言葉がネット上ではますます横行している。今回の首相の発言がこうしたネットなどでの傾向をさらに助長しないか心配だ。
 自民党の若手、小泉進次郎氏が「首相は何をやっても批判はある。宿命と思いながら結果を出すことに専念した方がいい」と首相をいさめている。その通りだ。異論に対して即座にネットで一方的に攻撃されるのでは、今後、首相に誰も意見が言えなくなる。批判を受け止める度量を持つのが真に強い指導者のはずだ。

 19日になって謝罪したものの、高市早苗自民党政調会長が「福島第1原発で事故が起きたが、死亡者が出ている状況ではない。安全性を確保しながら(原発を)活用するしかない」と講演で語った発言も驚く。
 東日本大震災を契機に体調不良などで亡くなり、自治体が「震災関連死」と認定した人は福島県が圧倒的に多い。ふるさとを追われ、人生が大きく変わってしまった人たちは数知れない。そんな被災者たちがどんな思いで発言を受け止めるか。高市氏はまったく考えもせずに軽々しく口にしたとしか思えない。

 攻撃的な言葉を歓迎する風潮が今の社会にある。本音をあけすけに語るのが大事だという人も多い。だが人には、とりわけ政治家には越えてはいけない一線がある。中でも他者を思いやるのは最低限のルールだ。

高市氏が発言撤回、陳謝 県民「謝罪で済まない」
福島民友ニュース 2013620
 自民党の高市早苗政調会長は19日、東京電力福島第1原発事故で死者が出ていないとして原発再稼働に意欲を示した自身の発言について「全てを撤回し、おわび申し上げる」と陳謝した。

被災者は厄介者か 謝罪では済まない/県民の声
 自民党の高市早苗政調会長が東京電力福島第1原発事故で死者が出ていないと発言した問題で、19日の発言撤回、陳謝を受けてもなお、原発事故の影響に苦しむ県民の憤りは収まらなかった。
 郡山市の仮設住宅に避難する双葉町の小川貴永さん(42)は「震災関連死が交通事故より高い確率で相次いでいる現実に対し、あまりに非人道的な発言。国民の安全や命より、経済効率を優先する国の姿勢が見えた」と断じた。その上で「原発事故の原因究明もないまま、国内原発の再稼働を探り、海外に原発を売るため、国にとっては原発事故の被災者がもはや厄介者ということなのか」と政府・与党の対応に疑念を抱いた様子だ。
 自宅の避難指示が解けず、仮設住宅で暮らす川内村の小野悦子さん(71)は「自宅を目の前にして今も帰れない人たちもいる。あまりにも配慮に欠けた発言ではなかったか」と話した。
 また政治家の資質を問う意見も。いわき市の管野博さん(57)は「政治家の発言の重みを知っているのか。謝れば済む問題ではない」と指摘。会津若松市の仮設住宅に避難する大熊町の高瀬重子さん(65)は「双葉病院の患者は原発事故の避難の中で50人も亡くなった。被災地の苦しい思いを知らない政治家には辞めてもらいたい」と語気を強めた。