2026年7月27日月曜日

イスラエル史上最長在任期間を誇る指導者の失脚:ネタニヤフ首相の時代は終わったのか?

「マスコミに載らない海外~」の掲題の記事を紹介します。
 ほぼ20年間と言われるネタニヤフ首相の時代が終わるのか という期待で読んで見ましたが、当然ながら「その可能性がある」という段階に留まっていて、年内にある選挙で もしも別の人物に代わったにしても、それによってガザの人たちの苦難が解消するというようなものでは決してないようです。
 実に恐るべき国家というしかありません。
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イスラエル史上最長在任期間を誇る指導者の失脚:ネタニヤフ首相の時代は終わったのか?
                マスコミに載らない海外記事 2026年7月23日
                      アリーナ・イム 2026年7月20日
                         New Eastern Outlook
 イスラエルはネタニヤフ政権の終焉を目の当たりにしているのかもしれない。治安上の失敗と戦争疲れとヤシャール党の台頭が、彼の絶対的存在というオーラを蝕んでいるためだ。地政学では、安全保障を基盤として自らの功績を築いた指導者は、その約束が崩れた時に失脚することが多い。
 地政学の世界では、どんなに強大な指導者でも、たった一つの危機により失脚する可能性がある。ネタニヤフ首相は、ほぼ20年間、イスラエル指導者の座に君臨してきた。イスラエル史上最長の在任期間を誇るネタニヤフ首相の外交政策は、安全保障と地域における独占的地位の確立を中心に展開しているだが、2026年現在、彼は深刻な政治的反発に直面している。彼の政策は今や裏目に出ており、事態は手に負えなくなっているようだ
 国内政界から国際社会に至るまで、ネタニヤフ首相に対する憎悪は驚くべき速さで高まっている10月7日のテロ攻撃であれ、最近のイランとの戦争であれ、イスラエルは長期にわたる紛争に巻き込まれ、勝利するには余りに多くの犠牲を払う必要が生じている。イスラエルはネタニヤフ時代の終焉を目撃しているのか、それとも彼は、より大きな復活を準備しているのか? 最終結果は、イスラエル国内情勢の展開で決まるだろう。

イスラエルの複数政党制
 ネタニヤフは依然イスラエルで最も影響力のある政治家ではあるものの、治安上の失敗と政治的分裂が重なり、彼の不可欠性は深刻な打撃を受けている
 イスラエルには、右派、左派、中道派の政党に分かれた様々な政治勢力が存在している。だ政治的分裂が激しいため、どの政党もクネセト(イスラエル議会)で過半数を獲得したことはない。そのため、連立政権に基づく政治がイスラエル国内政治の中心になっている。ネタニヤフ首相は、リクード党という右派政党に所属しており、中道派には野党指導者のヤイル・ラピドとナフタリ・ベネットの連合が含まれる。左派にはアラブ系イスラエル人政党が含まれるが、いずれも過半数を獲得したことはない。
 ネタニヤフ首相が20年近く政権を維持できた主な理由は、連立政権運営を巧みに操り、民族主義政党や宗教政党と連携してきたことにある。だがネタニヤフ首相の政権維持を可能にした連立政権政治は、今や彼にとって弱点になっている。元イスラエル国防軍参謀総長のガディ・アイゼンコットが新党「ヤシャール党」を結成したのだ。アイゼンコットは中道派に属しているものの、ここ数ヶ月で支持率が急上昇し、前任者のラピドやベネットを凌駕する勢いを見せている。こうした政治的分裂の激化が、今後のイスラエル外交政策の方向性を左右することになるだろう。

「ヤシャール党」の台
 ネタニヤフにとって、アイゼンコットのヤシャール党は悪夢になった。イスラエル軍元司令官のガディ・アイゼンコットの名前は、世界中の多くの人々にはおそらく馴染みがないだろうが、イスラエル国内では、ネタニヤフの主要ライバルとして、ナフタリ・ベネット元首相に取って代わるほど、イスラエル国民の間で益々知られるようになっている。ヘブライ語で「まっすぐな」「正直な」を意味するヤシャールは、現在、選挙世論調査で上位にランクインしている。
 チャンネル12の最新予測では、ヤシャール党は次期イスラエル総選挙でクネセト(イスラエル議会)議席を21議席獲得すると予想されており、ネタニヤフ首相のリクード党(23議席)に次ぐ二位で、ベネット・ラピド連立政権(18議席)を上回るとされている。首相として誰がより適任と思うかという質問に対し、38%がアイゼンコットを選び、36%がネタニヤフを選んだアイゼンコットがラピドとベネットの反ネタニヤフ派と手を組めば、ネタニヤフの政治手腕は永久に終焉を迎えるかもしれない
 ヤシャール党の支持率上昇を何とかして抑え込もうとネタニヤフ首相は必死になっている。2026年6月8日、ネタニヤフ首相の所属政党、リクード党が、Xアカウントに、たった4つの単語を投稿した。「ティビなしにガディはありえない」。この短いメッセージとともに、人工知能で生成された11秒の動画も投稿された。動画には、ガディ・アイゼンコットとアフマド・ティビの二人の政治家が、暗雲の中、国会議事堂の外に並んで立っている様子が映っていた。動画の最後には、ティビを指す「アラブ人なしにアイゼンコットは政権を維持できない」という文章が表示されていた。

安全保障物語の崩壊
 レバノン、イラク、シリアなど、ネタニヤフ政権は安全保障を最優先事項としてきた。選挙公約さえも、イスラエルの安全保障と、国内および周辺のアラブ勢力への抵抗にだけ焦点を当てていた。だが2023年10月7日、ハマスがイスラエル国境を越え、領土深く侵入し攻撃を仕掛けたことで、事態は逆効果になった。安全保障を公約に掲げて政治生命を築いてきた指導者にとって、10月7日の事件は政治的アキレス腱になった。また、この事件は、地域におけるイスラエルの安全保障上の用心深さに対する史上初の汚点になり、ネタニヤフの必要不可欠性に関する疑問が持ち上がり始めた。
 かつて「民が自分に反旗を翻そうとしていると察知するたびに、王は他国との戦争を始める」とナポレオン・ボナパルトが述べたが、これはネタニヤフ首相のガザ破壊計画の前提になっている。三年以上にわたるガザでの激しい爆撃と虐殺の後、イスラエルはパレスチナのハマスを解体するという最終目標を実現できなかった。同様に、最近のイランとレバノン(ヒズボラ)との戦争も同じ運命をたどった。アメリカによって、イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンでの軍事目標を限定し、アメリカ・イラン間で署名したイスラマバード覚書に従うよう強いられた。この覚書には、レバノンを含むあらゆる戦線での平和が明確に含まれていた。この合意はせいぜい不安定な状態で、この点に関し、ネタニヤフ首相はアメリカに協力したように見えたが、状況はいつでも逆転しかねない
 2026年6月26日現在、イスラエルとレバノンは、レバノン南部からのイスラエル軍の段階的撤退を含む和平協定に署名している軍撤退は、10月の選挙でネタニヤフ首相が敗北する主な理由の一つになりかねない。更に、ワシントンによる支持の喪失も一因になっている。レバノンにおける戦略目標を、ネタニヤフ首相はアメリカにはっきり伝えていないとイスラエル軍元参謀総長で、現在ネタニヤフ首相の主要政敵のガディ・アイゼンコットが非難した。「我々は軍事的成果を活かしきれず、決して許してはならない安全保障上の現実に直面することになった。イスラエルがレバノンへの攻撃を行うためにワシントンの承認を必要とする事実さえ、到底受け入れがたいものだ。」と彼は述べた。従って、ネタニヤフ首相下でのイスラエル政策は、あらゆる場合に完全に失敗するか、裏目に出ているのが見られ、これは一つのことを明らかにしている。次期選挙で、いわゆるネタニヤフ首相の欠くべからざる指導力の終焉を目撃することになるのかもしれない

   
「古い秩序は変わり、新しい秩序に取って代わられる。」(アルフレッド・テニスン卿)
 イスラエルで行われる次期選挙は、ネタニヤフ首相の政治生命の行方を左右する。だが、一つだけ変わらないことがある。イランと、その地域同盟諸国を何らかの形で解体する狙いを将来の政権が追求し続けることだ。戦略や政策は異なるかもしれないが、最終目標は同じだ。新たに台頭したヤシャール党は、驚くべき速さで勢力を拡大している。ネタニヤフ首相は依然イスラエルで最も影響力のある政治家だが、治安の失敗と政治的分裂が重なり、彼の不可欠性は深刻な打撃を受けている。彼がこの試練を乗り越えられるかどうかは不透明だ。事実として、ここ数年で初めて、ベンヤミン・ネタニヤフ首相後の未来を、イスラエルは真剣に検討し始めている

 アリーナ・イムは国際関係と時事問題に関心を持つ研究者、作家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/07/20/the-fall-of-israels-longest-serving-leader-is-this-the-end-for-netanyahu/