シリーズ「イチからわかる憲法9条」の第4部 強まる改憲策動(4)~(5)を紹介します。
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イチからわかる憲法9条 第4部 強まる改憲策動(4)集団的自衛権 政府縛る「憲法の制約」
しんぶん赤旗 2026年7月23日
安倍政権は安保法制の強行で、集団的自衛権の行使は許されないという歴代政権が維持してきた憲法解釈を根本的に覆しました。しかし、「憲法の制約」は、いまだに日本政府を強固に縛り続けています。
同盟国への攻撃を自国への攻撃と見なして武力行使する「集団的自衛権」は軍事同盟の大前提であり、米国が各国と締結している主要な軍事同盟の条約には集団的自衛権の行使を明記しています。日米軍事同盟は集団的自衛権の行使を前提としない同盟ですが、安保法制の強行で集団的自衛権の行使を可能としました。しかし、同盟国の戦争に全面的に参加する「フルスペックの集団的自衛権」の行使はできません。憲法9条との“整合性”を取り繕うため、行使には「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(存立危機事態)という条件を設けているからです。
政府は国会答弁で「存立危機事態」の事例として、「ホルムズ海峡封鎖・機雷除去」を挙げてきました。しかし、米・イスラエルの対イラン先制攻撃でこの事態が現実となったにもかかわらず、高市早苗首相は3月の日米首脳会談で、トランプ大統領の要求に応じず、自衛隊のホルムズ海峡派兵を見送りました。
その理由として、会談に同席した茂木敏充外相は「憲法9条があり、その下でいろいろな事態認定がある」(3月22日、民放番組で)と述べています。憲法9条は「海外での武力行使」を禁じており、高市政権もその見解を維持しているのです。戦闘中の機雷掃海は敷設国への武力行使とみなされるため、憲法9条の下では不可能です。
その実態は、米軍でさえ進入が困難なホルムズ海峡に自衛隊を出したくないため、高市首相は9条を都合よく利用して、体よく断ったのだろうというのが大半の分析です。
高市首相は2月の衆院選で自民党単独で憲法改定発議が可能な3分の2の議席を獲得したことを踏まえ、自民党大会で「憲法改正の時は来た」と宣言しました。しかし、9条を変えてしまえば、こうした制約は消えてなくなり、米国のあらゆる要求に応えるしかなくなってしまうのです。
イチからわかる憲法9条 第4部 強まる改憲策動(5)自衛隊明記論 無制限の武力行使に道
しんぶん赤旗 2026年7月24日
9条改憲を唱える各党の主張はどのような内容でしょうか。
日本維新の会は、戦力不保持を規定する9条2項は「時代遅れ」で「削除が不可欠」と強調。「国防軍」の明記を訴えています。国民民主党も9条改憲には前向きで、玉木雄一郎代表は「(維新の主張には)非常に納得するところも多い」(6月18日、衆院憲法審査会)と表明。参政党は、部分的な改定ではなく、一から憲法を作り直すべきだと主張し「自衛のための軍隊」を明記した憲法構想案を発表しています。
一方、自民党の9条改憲案は、現行の1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持・交戦権の否認)には手を加えず、「9条の2」として新たに自衛隊を明記するという内容。他党に比べれば穏当な案と見る向きもあり、自民党も現状を追認するだけで今と何も変わらないと説明してきました。しかし、何も変わらないのであれば、そもそも改憲する必要はないはずです。
自衛隊は憲法に根拠がなく、常に9条2項違反との批判を受けてきました。これに対し、政府・自民党は一貫して、自衛隊は自衛のための必要最少限度の実力であって、2項が禁じている「戦力」には当たらないと抗弁。集団的自衛権行使や海外派兵の禁止といった自衛隊への制約は、違憲との批判をかわすためにつくられてきました。
自衛隊を憲法に位置づけ、違憲論を封じることができれば、「戦力に当たらない」との解釈をとるために自衛隊に課してきた制約は存在意義がなくなります。自衛隊の活動範囲に歯止めがなくなり、海外での無制限の武力行使に道を開くことになります。9条2項を残したまま、事実上「空文化=死文化」させるのが、自衛隊明記論の狙いです。
そもそも、自民党は、1・2項を維持した上で自衛隊を明記する条文イメージを2018年に提起する前は、2項を削除し「国防軍」を明記する改憲草案(12年)を掲げていました。2項削除案では、平和を願う国民の拒否感が強いことから編み出したのが自衛隊明記案で、両案の狙いに違いはありません。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。