しんぶん赤旗に掲題の【政治考】が載りましたので紹介します。
皇室典範の改定法案が衆参でそれぞれわずか3時間あまりの実質審議で強行採決されました。国の象徴天皇の決め方を定める重要な皇室典範なのに、養子の決め方や天皇の後継者の決め方には何の説得力もありません。
荒唐無稽で言語道断という以外にはないし、そうした人物が国民の総意に適うとはとても思えません。国民の7~9割以上が愛子様が相応しいと考えているのが実態であるのに対して、余りにも大きく逸脱しています。要するに「皇室典範改定法」は「愛子天皇阻止法」であるということです。
(追記 秋篠宮家が次期の天皇になることが動かせない既定の事実とされています。一方で同家発足以後、実に約50人もの宮内庁の担当者が自ら辞めざるを得なくなったと言われています。
将来天皇を継承した際に、本当に国民統合の象徴として国民の総意を得られるのかについて無関心であってはならないと思います)
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【政治考】強行された皇室典範改定 男尊女卑と荒唐無稽
しんぶん赤旗 2026年7月21日
衆参でそれぞれわずか3時間あまりの実質審議で採決を強行した皇室典範の改定。審議のやり方も乱暴なうえ、内容も荒唐無稽で言語道断だと厳しい批判が広がっています。
法案には、養子により皇族となった男子の子や孫に皇位継承資格を認める規定が埋め込まれました。与野党の全体会議では全く議論にならず、2005年の政府有識者会議の報告書も、皇族の身分を離れた者が再度皇族となることは「極めて困難」と否定したもの。ところが、法案はこれを覆し、「男系男子」の承継のために、旧皇族男子の養子の子孫は天皇になれるとしたのです。「男系男子」への固執どころか強化にほかなりません。
38親等の隔たり
10日の衆院議院運営委員会で日本共産党の塩川鉄也議員は「はるか運い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方、今の天皇の子である女性皇族やその子には天皇になる資格を与えないのが法案の本質だ」と指摘。さらに、「11宮家の方々と天皇との共通の祖先は、約600年前の室町時代までさかのぼる、遠い血筋だ。一体、何親等の隔たりがあるか」とただしました。
宮内庁の緒方禎己次長は「36から38親等の隔たりがある」と答弁し、大きな反響を呼びました。塩川氏は「男系男子に固執し、600年前にさかのぼる遠い血筋の人を探し出し養子にする。国民の理解を得るのは困難だ」と強調しました。
小池晃書記局長は15日の参院皇室典範特別委員会で、「6親等離れれば民法上の親族ではない。38親等となればほとんど赤の他人だとの指摘もある」と政府案の荒唐無稽ぶりを厳しく批判。「今までずっと(天皇が)男性だったからこれからも男性だというだけだ。女性だというだけでしかるべき地位に就けない、これは男尊女卑そのもの。男系男子の承継に固執し、それを強化する改定は日本社会における女性差別を助長する」と述べました。
答弁中フリーズ
「なぜ女性ではだめなのか」と迫る塩川氏に、木原稔官房長官はしばし答弁できずフリーズした後、「男系継承が古来例外なく維持されてきた重み」と言うだけ。自民党の小林鷹之歌詞会長は「皇位の男系継承は2600年以上にわたって先人達が守り抜いてきた皇統、皇室の伝統だ」と発言しました。
「男系継承」と「2600年以上の伝統」の二つの議論について、小池氏は「男系男子の継承とは、明治につくられた伝統だ」と指摘。「天皇を神とし、万世一系の天皇が統治するとした大日本帝国憲法の世界だ。2600年というのは神話であり、歴史的事実ではない。これを否定した日本国憲法の精神に基づいて国会は論議すべきだ」と喝破しました。
主権在民の日本国憲法のもとでの国会審議で「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「神聖二シテ侵スヘカラス」とされた大日本帝国憲法の認識で答弁や発言が行われるのは、まったく非常識です。議論の大前提が立法事実たり得ないフィクション。一事が万事、荒唐無稽です。
「2600年の(男系男子の)伝統」という議論に対し、自民党内からも「一部の人たちの思い込みの世界だ。有史以来の確固たる資料に基づくものではない。その点でも3時間で終わりにする問題ではない」との声が出ます。さすがに政府は「万世一系」とは口にできませんでした。
また、旧宮家からの養子による皇族復帰について、自民党元閣僚の一人は「塩川議員の質問は面白かった。38親等までさかのぼるIこんなことを真面目に考える輩(やから)こそ『朝敵』ではないか。国民や今や数少ない思想右翼も目を覚ます」と指摘します。共産党本部にも「(遠い親戚の)養子なんて世襲といえません。まるで詐欺師のような話。なんとしても廃案に」(6日)との声が届きました。
まともな論議に耐え得ない荒唐無稽な法案だからこそ「3時間で質疑打ち切り」という強硬手段に訴えるしかないー強行の異常なプロセスはその脆弱(ぜいじやく)性のあらわれです。
特異な勢力暗躍
こうした異常な議論の背景に、改憲右翼団体・日本会議のうごめきがあります。「男系男子」が切迫し強調されるのは、女性天皇待望論が広がるもと、戦前的価値-「万世一系」〝崩壊″の危機感を日本会議勢力が強めてきたからです。
日本会議と一心同体の日本会議国会議員懇談会-その中心には、高市早苗首相を先頭に木原稔官房長官、自民党の麻生太郎副総裁、萩生田光一幹事長代行、有村治子総務会長、古屋圭司衆院憲法審査会長など、政府と自民党の中枢メンバーーがズラリ。日本維新の会の馬場伸幸前代表、遠藤敬国対委員長など同党幹部も名を連ねます。特異な政治勢力の暗躍があります。
同時に、まともな議論に耐え得ない脆弱な法案が、専門家や憲法学者の意見を聞く機会もない不十分な審議で、いとも簡単に国会で成立するのは、与党である日本維新の会に加え、国民民主党、参政党などによる悪政推進連合の協力によるもの。中道改革連合や公明党も賛成に回りました。
4月20日には日本会議のフロント組織「皇室の伝統を守る国民の会」主催の決起集会に、これら政党代表が勢ぞろいし(写真省略)、「皇統に属する男系男子を養子に迎える方策」の実現をめざす声明文を受け取っていました。
古い「家」の思想
「男系男子」-すなわち女性である天皇の子は皇位を承継できないとの立場に固執する議論は、男性中心の古い家父長的な家族観と一体です。
日本会議に深い関わりをもってきた歴史学者の所功氏は「日本では一般社会においても、従来『家』というものは、原則として男系で継いでいく‥・まして皇室においては、神武天皇以来、男系で継ぐのが大原則ですから、男系の女子は認めるけれども、女系は認められなかった」(『皇室典範と女系問題の再検討』)と、特殊な歴史・家族観を解説します。
日本会議会長の谷口哲彦氏は昨年4月、同会議のフロント組織「皇室の伝統を守る国民の会」の集会で「天皇陛下は、ただいま第126代に当たられます。世界のどこを訪ねても、かくまで長い連続をもつ家は、絶無」とし、「家」の連続性を称賛していました。
戦前、女性が婚姻することは男性の「家」に入ることで、そこで子をもうけることは、男性の「家」の子孫をつくること。女系天皇は「天皇家」という「家」の連続性の切断につながるという時代錯誤の家族観が支配しています。
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共産党追及に保守も共感
日本国憲法の条項と精神に立脚し、限られた質疑時間で政府案の問題点を原理的に批判し、追い詰めた日本共産党の論戦が注目を集めています。
8日には小池書記局長の参院決算委での質問を見て小池さん良かったです!共産党を誤解していました。どうかな?と思う政策もありますが、国民の声を代弁してもらった。私は元々保守思想ですが、これからは共産党の政策も是々非々で考えてみたい」(女性)との電話が党本部に掛かりました。
13日には、塩川議員の質問を見た男性から「どちらかと言えば右の考えをもっている。『共産党の質問など聞く必要はない』と思っていたが塩川さんの質問をテレビで見て、本当に良い質問だと感じた」と電話が。16日には「小池並びに塩川両議員のご発言は、大多数の国民の声を反映している内容でした。国会ではお二人のご意見は少数かもしれませんが、これこそが民意です。感謝の念に堪えません」とメールが届きました。
ほかにも、立場の異なる人々から、共産党の論戦への感謝とエールの声が続々と寄せられています。日本共産党は皇室典範改定の白紙撤回を求めています。 (中祖寅一)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。