高市政権初となる政府の経済財政運営と改革の基本指針「骨太の方針」が21日、閣議決定されました。高市氏は前日の20日には例の「寝ていない」を自慢する長文のXを投稿し、そこでは7月に入ってからの土日は骨太の方針などの「分厚い資料を早朝から深夜まで読み続け」「半端ない情熱を注いでいました」と猛アピールし、方針の副題である「『責任ある積極財政元年』~日本の挑戦を起動する!~」も、高市自身が考案したということでした。
彼女にはそうした「何やらカッコウのいい形容句」をひねる趣味があるようですが、それは「虚飾」であって 本質とは無関係のものです。
彼女は「寝る間も惜しんで?」丹念に「ペン入れ」したということですが、そんな「修飾」を施したところで金融市場に響くはずはなくその反応は冷ややかなものでした。
共同通信は「財源もない、中身もない、骨太ならぬハリボテ方針」と酷評し、日刊ゲンダイは「不健全にも程がある首相が居座る限り、日本売りは収まらず「強い経済の実現」など夢のまた夢と覚悟した方がいい」と述べます。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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正気なのか「骨太の方針」 高市首相が力むことはすべて怪しい
日刊ゲンダイ 2026/07/23
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
首相のXでの投稿の中身の「危うさ」が取りざたされる中、首相が丹念に手を入れたという骨太が発表されたが、金をつけて成長を信じる裏付けなしの目くらまし。早くも円が急落したが、眠れない首相にマトモな判断力が果たしてあるのか。力む危うさと力む対象のトンチンカン。
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これで「寝てない自慢の成果」と胸を張るのなら正気ではない。高市政権初となる政府の経済財政運営と改革の基本指針「骨太の方針」が21日、閣議決定された。
前日の20日夜には高市首相が突如、自身のXに長~い文章を投稿。7月に入ってからの土日は骨太の方針などの「分厚い資料を早朝から深夜まで読み続けた」と記し、「半端ない情熱を注いでいました」と猛アピールした。方針の副題である「『責任ある積極財政元年』~日本の挑戦を起動する!~」も、高市自身が考案したという。
いかにもコトあるごとに「挑戦しない国に未来はない」と連呼してきた高市らしい大仰なタイトルだ。
高市はXで「就任以来、0時間~3時間睡眠が常態化」とも説明。一国のトップリーダーが睡眠不足を強調する「危うさ」が取りざたされる中、寝る間も惜しんで丹念に「ペン入れ」したというこだわりが、「半端ない」副題にもにじむ。
そんな「力み」とは裏腹に金融市場の反応は冷ややかだ。
骨太方針の閣議決定以降、長期金利は再び上昇気配(価格は下落)に転じ、円売りも加速。22日の東京外為では一時1ドル=163円台前半まで急落し、約39年半ぶりの円安水準となった。
2001年の策定開始以来、骨太方針に毎年記載されていた財政「健全化」の文言を初めて削除したのが象徴的である。金融市場は、高市政権の経済財政運営の「不健全性」に警告を突きつけているのだ。
その不健全さを物語るのが、6月30日の原案公表から決定に至るまでの異例のプロセスである。原案には「『強い経済』の実現に向けては、適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」と明記。これまでになかった表現で、日銀の早期利上げへの牽制と市場には受け止められた。
利上げの遅れが将来的なインフレを招くとの懸念から円・債券売りが活発化。インフレ加速で国債や通貨の価値は目減りするとみなされ、「日本売り」を呼び込んだ。
当たり前のルールを書き加えた不健全の極み
7月9日には長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが、一時2.9%と約30年ぶりの高水準をつけ、政権側は火消しに追われた。この「骨太ショック」を受け、原案を2度も修正。最終的には、日銀の独立性を定めた日銀法第3条を脚注に盛り込み、「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられる」との文言を追記した。
こんな当たり前のルールをわざわざ書き込まなければいけない時点で、今回の骨太方針は相当にヒドい。「不健全の極み」と言えよう。
さらに片山財務相も長期金利上昇の火消しに走り、資産運用額290兆円超と世界最大級を誇るGPIFの年金基金による国債買い増しを示唆した。だが、GPIFの年金基金は「被保険者の利益のため」に運用することが法律に定められている。国民の虎の子である年金基金を長期金利の引き下げに流用する発想は、邪道も邪道。実に不健全な手口である。
そもそも文言修正や口先介入といった小手先対応だけで、金融市場の懸念を払拭できると思ったら大間違いだ。何しろ、就任前に「金利をいま上げるのはアホやと思う」とまで言ってのけ、日銀をくさした高市が現在の首相なのである。しかも15日の党首討論では「閣議決定もしていない原案が(骨太)ショックの原因だと思っていない」と居直ってみせた。
この人の辞書に「反省」の2文字がないことは百も承知だが、金融市場の警告など「屁」とも思っていない態度だ。円安・インフレ容認のホンネを隠し切れず、骨太ショックの修正は不発に終わったのもムリはない。
高市の首相就任前、昨年10月時点の円相場は1ドル=147円前後、長期金利は1.6%台で推移していたが、高市政権の財政規律を度外視した「無責任な放漫財政」への懸念からハイペースで上昇が続く。不健全にも程がある首相が居座る限り、日本売りは収まらず「強い経済の実現」など夢のまた夢と覚悟した方がいい。
「信じる者は救われる」のカルト成長戦略
その証拠に、骨太方針と同時に決めた「日本成長戦略」も輪をかけて不健全だ。
2040年度までに官民で累計370兆円超を投資し、「日本を再び成長軌道に乗せる」青写真を描くものの、その財源は明確に示さないまま。それでいて、高市命名の「『強く豊かな日本』投資枠」を新設し、「シーリング」と呼ばれる予算の要求上限を撤廃するというから、もうムチャクチャだ。
政府主導の官民投資は失敗続き。12年に経営破綻したエルピーダメモリ、累積赤字が540億円に膨らんだクールジャパン機構など死屍累々である。今回の投資対象がAI・半導体、量子、防衛、コンテンツなど17分野と幅広いのも、将来の「勝者」となる企業や産業を見極めきれないゆえの苦肉の策ではないのか。
まるで「勝ち筋」を見いだせない下手なギャンブラーが、やたらと「買い目」を増やすようなもので、健全な投資とは程遠いシロモノなのである。
「とても役人の手を借りた文章とは思えない、小学生が書いたような作文です」と酷評するのは、慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)だ。こう続ける。
「『一気通貫』など下卑た表現が頻発し、客観的な算出根拠もありません。あとは投資先である戦略17分野の中から選んだ62の製品や技術を、ひたすら列挙しただけ。370兆円超のうち民間から250兆円を引き出す目標を掲げていますが、その具体策は何ひとつ書かれていません。ほとんど“押しかけ詐欺”の口上のような内容で、異論を唱える役人は官邸主導の人事で飛ばされたり、辞めさせられるのかと思わせるほど。とにかく実現するか分からない成長シナリオを信じることが重要だという精神論を全面に出すのみ。あたかも“信じる者は救われる″というカルト宗教的な成長戦略です」
運を天に任せた根性論の押しつけ
高市は「成長に向けエンジンを吹かす時でしょう」などと成長投資の意義を繰り返すが、しょせん根性論にすぎない。カネをつけて成長を信じるだけで、その財源の裏付けなしの目くらまし。気力があれば何事も成し遂げられるといった発想でしかないのだ。
「客観的な分析や合理的な戦略に乏しく、運を天に任せているだけ。これでは、先の大戦における旧日本軍の『玉砕主義』の二の舞いです」(金子勝氏=前出)
その危うさこそが高市政治の本質であり、この首相が力むことはすべて怪しいのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「今の国民にとって喫緊の課題が、生活を苦しめる物価高対策であることは議論を待ちません。ところが、高市政権は規律度外視の不健全な放漫財政で円安インフレを放置。『悲願』だったはずの消費税減税も“やるやる詐欺”で、社会保障国民会議に丸投げして決断を先送りです。国民生活のためには衆院選大勝の数の力を使わず、社会を萎縮させるだけの国旗損壊罪や、男系男子固執の改正皇室典範など国論二分どころか、誰も望まない悪法に邁進するのみ。高市首相は『時は来た』と宣言し、改憲発議に向け力んでいますが、力む対象の優先順位は国民の意識と大きく乖離しています。高市政権が消失させたのは財政の『健全化』だけではありません。この国の政治そのものから『健全』を奪い去ろうとしています」
力む危うさと力む対象のトンチンカン。やはり「寝てない自慢」の眠れない首相にマトモな判断能力を期待するだけムダだ。いち早く退陣を迫り、好きなだけ寝てもらわなければ、正気を逸脱した政権の後始末は大変なことになる。
ついに1ドル=163円突入で「円安倒産」ラッシュ深刻懸念…すでに前年同期から3割増
日刊ゲンダイ 2026/07/24
どこまで「円安」は進むのか。とうとう円相場は、22日1ドル=163円台まで下落し、1986年12月以来、約39年7カ月ぶりの歴史的な円安水準となってしまった。
ほんの3カ月前、1ドル=160円が「壁」とされたのに、いつの間にか1ドル=160円超の円安が定着しつつある。はやくも市場では、1ドル=170円の見方が出始めている。
マーケットが高市政権の経済政策を意識しているのは間違いない。21日、高市政権が「骨太の方針」を閣議決定した途端、円安が加速しているからだ。前年まであった「財政健全化」のフレーズが削除され、「積極財政」を前面に打ち出すなど、円の価値を“毀損”する政策がズラリと並んだことで、市場は「円安は止まらない」と判断しているという。
このまま160円超の円安がつづいたら、どうなるのか。懸念されはじめているのが「倒産」ラッシュだ。日本企業には「円高」よりも「円安」の方が都合がいいとされてきたが、東京商工リサーチによると、2026年上半期(1~6月)の「円安」倒産は、45件と前年同期から3割も増えているという。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「円安は輸出企業には有利です。しかし、多くの企業には輸入物価が高騰し、コスト高になっているのが実態です。コスト高を価格に転嫁できれば収益に影響はないが、ここまでコストが上がると、すべてを価格に転嫁するのは難しいでしょう。コスト増を自社で負担し、収益が悪化している企業も多いはずです」
「円安」にブレーキがかかるのか
東京商工リサーチの企業アンケートによると、望ましい為替レートは「1ドル=140円」(中央値)だという。足元の163円とは20円以上も開きがある。高市政権が誕生した時、1ドル=151円だったから、163円は想定外のはずである。
問題は、「円安」にブレーキがかかるのかということだ。
22日、片山さつき財務相が、円相場について「必要があればいつでも適切に断固たる対応を取る」と為替介入をにおわせたが、市場はまったく反応しなかった。
「マーケットは『高市政権は為替介入はできない』と見ています。介入する時は、アメリカの了解を得て、日米で協調しないと効果が薄いが、アメリカは『イエス』と言わない可能性が高いからです。円高にするために米国債を売ると、アメリカの金利が上昇する恐れが強い。アメリカは金利上昇を嫌っています。かりに介入しても効果は短期間で消えるのではないか。1ドル=160円まで円安が進んだ4月末から、11兆7000億円の為替介入に踏み切ったが、効果は1カ月でした」(斎藤満氏)
高市政権が円の価値を毀損する政策をやめない限り、円安は止まらない。
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高市政権として初となる経済財政運営の指針「骨太の方針」は、意気込みはともかく実効性を伴った具体的な中身は見えないままのものとなった。