2014年7月22日火曜日

旅客機撃墜の犯人ロシア説は謀略?

 マレーシア航空機撃墜事件では、アメリカが主導するままに、世界は挙げてロシアとウクライナの「親ロシア派」の仕業であると非難しています。しかしロシアや親ロシア派にとって、旅客機を撃墜することで何かメリットがあったのでしょうか。勿論何もありません。仮に撃墜すれば非難の的になるのは明らかなことで、彼らがそれを知らなかった筈はありません。
 
 墜落後には間髪を入れずに電話の盗聴記録や撃墜のシーンなどが一斉に公開されました。そのことをとらえて、突発的な事故であった場合、あれほど即座に証拠資料が揃うものだろうか、まるで予め事件が起きると分かっていたかのようだ、と疑問視する見解もブログ等には載っています。
 
 NHKは20日、ロシアが、公表されている電話盗聴の動画は、音声の専門家分析によれば編集されねつ造品であることや、ロシア製の地対空ミサイル「ブーク(BUK)が事後にロシアに移送された証拠とされる動画が、映り込んでいる町の様子から、ロシア国境から離れた別の場所で撮影されたものだと明らかにしたことを、ごく簡単にですが報じました。
 
 また財務次官補でWSJの元共同編集者であったPaul Craig Roberts氏19日、「マレーシア旅客機に何が起きたのか?」(21日の「マスコミに載らない海外記事」に訳文掲載を発表し、その中で電話の盗聴記録とされビデオのコード分析によってそのビデオは旅客機が撃墜される前日に制作されたものであったと述べています。
 そしていわゆる「親ロシア派」は戦闘機を持っていないのに、紛争区域の近傍にウクライナはなぜ「ブーク(BUK)を配備していたのか?とも述べています、
 
 早くに「ウクライナが戦闘を始めなければ今回の事件は起きなかった。旅客機撃墜の責任はウクライナ政府が負うべきだ」と述べたロシア政府は、それとは別にウクライナ政府に対して撃墜事件に関する10の質問を出しています(末尾に掲載)。
 
 それによると西側から進入する他の旅客機は、ウクライナの国境を越えた辺りで針路を15度前後右に振って黒海寄りのコースを進むのに、当該の旅客機だけはそのまま直進して、戦闘地域のドネツクに向かうことをなぜ管制官は許可をしたのか(No6)、スペイン人管制官が、当該旅客機には2機のウクライナの軍用機が寄り添って飛んでいたと述べているが、それはなぜなのか(No8)などと、不審な事実を明らかにし、問い糾しています。戦闘機2機がわざわざ旅客機を戦闘地帯に誘導するとはおだやかではありません.
 
 それでは逆に考えて、旅客機撃墜事故で利益を受ける国はあったのでしょうか。あるとすればそれはアメリカに他なりません。
 アメリカはEUの各国に対して盛んに「ロシアへの制裁強化」を呼びかけていますが、西欧諸国は実のところ本心ではあまり乗り気ではありません。しかし撃墜事件の犯人がロシアということになれば、西欧諸国もロシアに対して敵愾心を持つので、アメリカが要求している「より厳しい」制裁が実現に向かうことになります。
 
 これはまだ単なる推測にすぎませんが、旅客機の撃墜が謀略事件であると考えればもろもろの疑問は氷解します。
 
 Paul Craig Roberts氏は、「ワシントンのプロパガンダ(悪宣伝)装置がフル回転していることで、我々は既知の事実を見失ってはならない」と述べています。確かに精妙に構築されたプロパガンダに流されていては、真実を見失う惧れがあります。
 
 以下に、NHKニュースと「ロシア政府からウクライナ政府への10の質問」を紹介します。
 Paul Craig Roberts氏のマレーシア旅客機に何が起きたのか?」は、下記にアクセスしてご覧ください。 
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ロシア国営テレビ 「証拠」に反論
NHK NEWS WEB 2014年7月20日
マレーシア航空機が撃墜されたことを巡り、ウクライナ政府が、親ロシア派の関与を示す証拠だとしている電話の盗聴記録と地対空ミサイル「ブーク」の映像について、ロシア国営テレビは19日、ねつ造されたものだとする内容のニュースを放送しました。
 
このうち、親ロシア派の武装集団の1人がロシア軍の情報将校にマレーシア機の撃墜を報告しているとされる電話の盗聴記録について、ロシア国営テレビは、音声の専門家に分析を依頼した結果、会話の音声が編集されており、ねつ造されたものだと伝えました。
また、ウクライナ東部からロシアとの国境に向けて運ばれているとされる地対空ミサイル「ブーク」の映像については、映像に映り込んでいる自動車の広告の看板から、ロシア国境から離れた別の場所で撮影されたものだと反論しています。
ロシア政府は、撃墜されたマレーシア航空機を巡ってロシアに対する情報戦が仕掛けられているとしており、国営テレビを使って、これに対抗したものとみられます。
 
 
ロシア政府からウクライナ政府への10の質問
 
 1、墜落直後にウクライナ政府が当然のように自衛勢力=親ロシア派の仕業だと言ったのはどんな根拠によるものですか?
 2、対空ミサイルシステムBUK発射装置をどのようにして紛争地域に設置したのか、ウクライナ政府は説明できますか?なぜそもそもこのシステムが最初からここにあったのですか?自衛勢力=親ロシア派は飛行機を持っていないように見えますが?
 3、なぜウクライナ政府は国際捜査委員会を設置するように動かないのですか?いつになったら国際捜査委員会の活動が始まりますか?
 4、ウクライナ軍は国際捜査委員会に自分たちが持っている空対空、地対空ミサイルを見せるつもりがありますか?SAM発射装置も見せるつもりがありますか?
 5、国際捜査委員会は墜落が起きた日のウクライナの軍用機の動きについて、信頼できる情報源に基づく航跡のデータを見ることができますか?
 6、なぜウクライナの管制官は当該機を通常のコースを北にはずれて対テロ作戦が行われている空域に逸(そ)れることを許可したのですか?
 7、なぜ戦争地域の民間航空路を閉鎖しなかったのですか?特にこの地域はレーダーによる管制システムが全体をカバーしていないのに。
 8、ウクライナで働いているスペイン人の管制官が、ウクライナ領空でボーイング777に2機のウクライナの軍用機が寄り添って飛んでいたことをソーシャルメディアで報告していますが、ウクライナ政府の公式見解は?
 9、なぜウクライナの治安機関は国際捜査委員会を待つことなく、ウクライナの航空管制官とボーイングの乗員の間の通信、そしてウクライナのレーダーシステムに蓄積されているデータの分析を始めたのですか?
10、ウクライナは2001年に起きた同じような事故から何を学びましたか?この時はロシアのツボレフ154が黒海に墜落しました。