政府が集団的自衛権行使容認を閣議決定したのに対し、三重県の男性が「戦争の放棄を定めた憲法9条に違反する」と主張して、東京地方裁判所に閣議決定の無効を求める訴えを起こしました。
これまで関連の立法が行われてから訴訟が起されるのではないかと見られていましたが、男性は、閣議決定自体が違憲であるとして訴えを起こしました。
従来はとかく「原告の適格性がない」などとして玄関払いされることが多かったのですが、この訴訟がどのように扱われるのか注目されます。
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集団的自衛権の閣議決定は違憲 「戦争放棄は国是」と提訴
東京新聞 2014年7月11日
集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定は憲法違反だとして、元三重県職員の珍道世直さん(75)=津市=が11日、閣議決定の無効確認などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
提訴後、珍道さんは「閣議決定は憲法9条と明らかに矛盾する。戦争放棄は日本の国是だ」と語った。閣議決定後の安倍晋三首相の記者会見を見て「戦争に進むか、平和を守るかの岐路に立たされる」と感じたという。
訴状では「改憲の手続きは憲法に明記されているのに、国の根幹に関わる大転換を与党内の協議で合意したとして閣議決定したのは憲法をないがしろにする行為だ」と主張。 (共同)
集団的自衛権 閣議決定の無効求め提訴
NHK NEWS WEB 2014年7月11日
政府が従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定したのに対し、三重県の男性が「戦争の放棄を定めた憲法9条に違反する」と主張して、閣議決定の無効を求める訴えを起こしました。
東京地方裁判所に訴えを起こしたのは、三重県の元県庁職員、珍道世直さん(75)です。
珍道さんは、政府が今月1日、従来の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定したのに対し、「戦争の放棄を定めた憲法9条に明らかに違反するもので、国会の審議にすらかけないのは民主的な手続きにも欠けている」と訴えて、閣議決定の無効を求めています。
さらに、「国務大臣に憲法を尊重し擁護する義務を課した憲法99条にも違反している」と主張しています。
訴えた理由について、珍道さんは「自分も幼いころに空襲を体験しているが、戦争は絶対にいけない。『戦争の放棄』を願う国民の一人として意思表示をしたいと思った。この思いが多くの人に広がることを望んでいる」と話していました。
この閣議決定を巡って憲法違反と主張する訴えが起こされたのは初めてとみられます。