各新聞社などが行っている世論調査は、別に自社の新聞の購読者を対象にしているわけではなく、対象者を無作為に抽出して調査しているので、本来であればメディアによる偏りは生じないはずです。しかし実際には驚くほどの差異を示すことがあります。
その理由は、質問の言い回しによって回答を誘導するという要素があるほかに、政治的意図に基いて数字を操作するのではないかといわれています。
しかしながら常に特定のメディアだけが特異な数値を出していては、やがては信用されなくなるはずなので自ずから限度はあります。そろそろ収斂に向かう時期であって欲しいものです。
それはともかくとして、7日のHatena Diaryブログが集団的自衛権の行使容認の閣議決定後の世論調査についてまとめた記事を載せました。
以下に紹介します。
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集団的自衛権の行使容認、評価せずが多数
~閣議決定後の世論調査
Hatena::Diary 2014年7月7日
集団的自衛権の行使容認へ憲法解釈を変更した7月1日の安倍晋三内閣の閣議決定後に行われた共同通信、読売新聞、朝日新聞の世論調査の結果が報じられています。各調査それぞれに設問のたてかた、設問の文言も異なるのですが、それでも大きな共通点として、内閣支持率が過半数を割り、集団的自衛権の行使容認を決めたことに対しても、評価しないとの趣旨の回答が半数以上を占めています。
備忘を兼ねて記録しておきます。
【内閣支持率】
▽共同通信(7月1~2日実施)支持47・8% 不支持40・6%
※前回(6月21~22日)から支持は4・3ポイント下がり、不支持は7・6ポイント上昇
▽読売新聞(7月2~3日実施)支持48% 不支持40%
※前回(5月30日~6月1日)から支持は9ポイント下がり、不支持は9ポイント上昇
▽朝日新聞(7月4~5日実施)支持44% 不支持33%
※前回(6月21~22日)から支持は1ポイント上昇、不支持は変わらず
【集団的自衛権の行使容認】
▽共同通信:「賛成」34・6%、「反対」54・4%
※質問:日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、日本が攻撃されたとみなして一緒に反撃する「集団的自衛権」について、政府はこれまで「憲法解釈上、行使できない」としてきましたが、安倍内閣は憲法解釈を変更して行使を容認する閣議決定をしました。あなたは、この行使容認に賛成ですか、反対ですか。
▽読売新聞:「評価する」36%、「評価しない」51%
※質問:日本と密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、日本への攻撃とみなして反撃する権利、「集団的自衛権」についてお聞きします。政府は、憲法解釈を見直して、国民の権利が根底からくつがえされる明白な危険がある場合に、集団的自衛権を必要最小限の範囲で使うことができると決めました。集団的自衛権を限定的に使えるようになったことを、評価しますか、評価しませんか。
▽朝日新聞:「よかった」30%、「よくなかった」50%
※質問:集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきましたが、安倍政権は集団的自衛権を使えるようにしました。集団的自衛権を使えるようにしたことはよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
ちなみに読売新聞は集団的自衛権については、前回(5月30日~6月1日)と前々回(5月9日~11日)の調査では回答の選択肢を「全面的に使えるようにすべきだ」「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」「使えるようにする必要はない」の三つ用意していました。結果は前回がそれぞれ11%、60%、24%、前々回は8%、63%、25%でした。前々回の調査結果を伝える当時の記事では前二者を合計して「行使容認71%」と位置付けていました。今回は「集団的自衛権を限定的に使えるようになったことを、評価しますか、評価しませんか」と尋ねた結果、「評価しない」が51%でした。
今回の調査結果に対して共同通信の記事は簡潔に「安倍晋三首相が踏み切った行使容認に国民が納得していない実態が浮かんだ」と指摘しています。