2014年7月18日金曜日

リスクの説明避ける首相 本質隠してる

 共同通信が、国会での安全保障をめぐる集中審議で、安倍首相が日本の国や自衛隊員が負うリスクに関する質問に正面から答えるのを避け続けたことに対して、識者から「本質を隠している」と批判する声が上がっていることを取り上げました
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【平和国家どこへ】 リスクの説明避ける首相 「本質隠してる」と批判 
共同通信 2014年7月18日
 「自衛隊員のリスクが高まるのでは」「集団的自衛権の行使容認によるリスクは」。衆院、参院での安全保障をめぐる集中審議で、安倍晋三首相はこうした質問に正面から答えるのを避け続けた。識者からは「首相はこの問題の本質を隠している」と批判する声が上がる。
 
▽別の議論
 14日の衆院予算委員会。民主党の岡田克也氏は他国軍への後方支援拡大に関し「自衛隊員のリスクが高まると思うがどうか」と首相に尋ねた。
 従来は自衛隊の活動を、戦闘が起きる恐れがない「非戦闘地域」に限定することで「他国軍の武力行使との一体化」を回避してきた。しかし、今後は非戦闘地域の概念を撤廃し、代わりに「現に戦闘行為が行われている現場(戦場)」での活動のみを原則禁止とする。
 安倍首相は質問に対し「自衛隊部隊の安全を確保することは言うまでもない。憲法(の解釈をめぐる)理論とは別の議論だ」とかわした。
 岡田氏は「自衛隊員の皆さんに『リスクがあるが必要なんだ』と総理自ら説明すべきだ」「国民の前で説明すべきだと何度も聞いている」とたたみかけたが、首相は「現在戦闘行動をしているところに(自衛隊員が)行く危険はないのは明確だ」と述べるにとどめた。
 
 生活の党の村上史好氏も「(戦争に巻き込まれるなど)集団的自衛権行使によるリスクと、それに対する国民の覚悟をどう考えるか」と質問。首相は「(そういう)覚悟は、私はよく分からない。近隣国で紛争が起こり、そこから逃れようとする邦人を守ることができない状況にこそ、覚悟を持たなければならない」と持論を展開した。
 
▽空疎
 実は1日の閣議決定後の記者会見でも「自衛隊員が戦闘に巻き込まれ、血を流す可能性が高まるとも指摘されているが」との質問に、首相は答えていない。
 軍事評論家の 前田哲男 (まえだ・てつお) さんは「首相は多弁だが、内容は空疎。現実に想定される事態とそれが引き起こすリスクの関係は示されていない。本質を隠している」と厳しく批判する。
 「自衛隊員にとってこれまでにない環境が生まれることは間違いない」と前田さんは指摘。「隊員も関心を持っているはずで、こういう答弁では隊員やその家族も心配だろう」と話した。
 首相が答えをはぐらかす理由については「自衛隊員が殺し殺されるという話になれば当然、反発や批判が出てくる。憲法解釈の変更という抽象的な話で済ませて、なるべくリアルなことは説明したくないのでは」と推し量った。