2015年8月17日月曜日

「憲法会議」が安倍談話を糾弾し、安保法案廃棄・護憲を目指す声明

 憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)が、「歴史を偽る安倍談話を糾弾し、戦争法案廃案と日本国憲法が生きる日本とアジアをめざして奮闘します」とする声明を発表しました。
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【声明】 歴史を偽る「安倍談話」を糾弾し、戦争法案廃案と日本国憲法が生きる日本とアジアをめざして奮闘します
2015年8月15日
憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)
 安倍首相は8月14日、「戦後70年にあたっての談話」を発表しました。
 安倍首相の「70年談話」のねらいは、植民地支配と侵略の事実を認めた村山談話とそれを引き継いだ政府公式見解を撤回することにありましたが、国内外からの強い批判の前に、「植民地支配」「侵略」「反省」「お詫び」等の文言を入れざるをえなくなりました。しかし、植民地支配と侵略については日本が行ったという歴史認識を明らかにせず、植民地支配については、それと永遠に訣別するという一般論を述べたにすぎず、韓国・朝鮮についての言及もきわめて少ないものです。また、何が侵略にあたるかについては歴史家に委ねるという無責任な発言を記者会見で行い、結局、村山談話を否定する内容であることがはっきりしました。「反省」と「お詫び」についても、過去の首相談話を引用したのみで、安倍首相自らの見解として示したものではなく、これらのキーワードを入れたことは全くの欺瞞であることが明確になりました。
 
 談話は、「日露戦争が植民地支配下のアジア・アフリカの人びとを勇気づけた」と述べていますが、日露戦争の勝利が韓国併合へ直結した歴史的事実を無視し、あたかも日露戦争が植民地解放に役立ったかのようにいう近代日本の歴史の偽造といわなければなりません。
 戦後日本の歴史についても談話は、日本が戦後一貫してアジアの平和と繁栄のために力を尽くしたと自賛し、平和国家として70年間歩んできたとしています。しかし謙虚に事実に照らすならば、決してアジア諸国民の同意を得られるものではなく、このような戦後日本の全面肯定論こそが未来を誤らせるものです。
 
 未解決の問題として喫緊の課題となっている日本軍「慰安婦」問題については、明確な用語を使用せずに「女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去」とのみ表現し、しかも謝罪の言葉も問題解決のために努力するとの言葉もなく、「女性の人権が傷つけられることのない世紀にするため、世界をリード」するという空虚な言葉をならべているだけです。
 
 さらに問題なのは、「あの戦争には関わりのない次の世代に謝罪を続ける宿命を負わせてはなりません」と述べていることです。アジア諸国との間の未解決の問題を解決するという前提なしに、謝罪はもうしないという一方的な宣言とも受け取れる文言であり、これではアジア諸国民との緊張関係を増すことにしかなりません。
 
 そのうえで談話がめざす未来像は、第一に、自由で開かれた国際経済システムを発展させること、第二に、価値を共有する国々と手を携え「積極的平和主義」を掲げて国際貢献する、ということです。まさに安倍政権がめざす「アメリカと一体になって地球規模で戦争する国」、「大企業がもっとも活動しやすい国」づくりへ邁進する決意表明にほかなりません。
 
 
 私たちは戦後70年にあたり、日本国憲法の精神に立脚して、あらためて歴史の真実を見つめ、植民地支配と侵略戦争の責任を明らかにし、それに対する真摯な反省の上に立ってアジアとの友好・信頼の関係をつくり、平和なアジアと日本をつくりあげなければならないと考えます。
 同時に重要なことは、戦後70年を経てなお未解決の、日本軍「慰安婦」問題などをはじめとする戦後処理問題の解決に本格的にとりくむことです。これらの問題が、世界的にみても異常なほどの長きにわたってなぜ残されてきたのか、なぜアジアとの友好関係を築くことができなかったのか、戦後史とそのなかでの政治責任をあらためて検証し明らかにしていく必要があります。
 なによりも、安倍首相が侵略戦争への「反省」と「お詫び」を言うなら、「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救」(国連憲章前文)うことをめざす戦後国際社会の「戦争違法化」の流れに立ちつつ、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」(日本国憲法前文)して制定された日本国憲法第9条こそいま世界に輝かすべきであって、これに真っ向から反する戦争法案の強行などは言語道断です。
 
 私たちは、安倍談話の欺瞞を糾弾し、当面する戦争法案廃案に全力をあげるとともに、それを通して、日米安保条約を廃棄し、日本国憲法が生きる平和なアジアと日本をつくるために奮闘する決意をここに表明するものです。
 
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