外務省は14日に同省ホームページ(HP)から、「歴史問題Q&A」を削除しました。そこでは先の大戦に対する「歴史認識」、「慰安婦問題」、「南京大虐殺」、「極東国際軍事裁判」などについての、政府の見解が示されていました。「歴史認識」にはアジア諸国への「反省とおわび」も含まれていました。
「安倍談話」の出された14日にこれらの記事が削除されたのは、同談話の趣旨と合わないからではないかとの見方も出ています。
安倍談話が真に村山談話等を継承するのであれば、本来削除されるべきものではないからです。
天木直人氏は、外務省が新しい記事を掲載したときに「安倍談話」の真意が分かるとして、「安倍談話に関する外務省のHPから目を放すな」とするブログを発表しました。
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安倍談話に関する外務省のHPから目を放すな
天木直人 2015年8月18日
きょう8月18日の朝日と東京が極めて重要な記事を掲載した。
すなわち、外務省のHPから、8月14日まで掲載されていた「歴史問題Q&A」の記述がこっそり削除されていたことがわかったというのだ。
この事がネット上で盛り上がっているというのだ。
真相はおそらくこうに違いない。
およそ広報という作業は、本当は戦略的にとても重要な仕事だけれど、外務省にあっては軽視されてきた。
だからHPの作成も、下っ端官僚に丸投げしてきた。
そしていよいよ8月14日に安倍談話が出されるということになったから書き換える必要が出てきた。
しかも安倍談話が村山談話を否定するものになるかもしれないという話でずっと動いてきた。
本来なら、その時点で安倍首相や岸田外相が陣頭指揮をとって周到に打ち合わせ、あたらなQ&Aをつくっておいて、安倍談話が出た時点で即時にHPを書き換えなくてはいけなかった。
ところが、実際は外務省も官邸もトップはそういう問題意識はなかったに違いない。
HPをつくる担当官は上からの支持を待って作業を始める。
それまでは村山、小泉談話に沿った、大昔に作った古い資料やQ&Aをそのまま掲載し続けるしか能はない。
そして8月14日に新たな安倍談話が出るだけは報道で知った。
いくらなんでも安倍談話が出た後も村山、小泉談話時代につくった資料やQ&Aをそのまま掲載するわけにはいかない。
安倍首相側近に見つかったら怒られる。
あらたに作るのは難しい作業だが、削除するだけならすぐできる。
こうして、とりあえず14日に削除されたのだ。
その前に削除すれば、村山談話を支持する者たちから叱られるからそれはできない。
これが削除の実態だ。
しかし、このネット上の騒ぎは、実は重要な問題提起をしている。
それは、新たに掲載される安倍談話に関するG&Aなどの記述が、果たしてどのようなものになるかは、まさしく安倍談話の正体を占うリトマス紙になるからだ。
すなわち安倍談話が出た以上、もはや村山、小泉談話は不要になったといわんばかりに削除するなら、それは村山談話を葬り去ったも同然だ。
断じて許されない。
村山談話を継承するといった以上、安倍談話が出た後も、村山談話や小泉談話は掲載され続けなければいけないのだ。
そしてそれだけでは不十分である。
その当時作ったQ&Aと新たに作られるQ&Aのどこがどう変わるかによって、安倍談話と村山、小泉談話の違いが浮き彫りになる。
そのことによって意味不明で曖昧な安倍談話の本性がいやでもわかる。
そして、その場合、村山談話は歴代の内閣が引き継いできた、それは安倍内閣も変わらない、というなら、安倍談話は村山談話につけ足すことは出来ても、村山談話に違う事は書けないことになる。
つまり、あらたに作成され、外務省のHPに掲載されるQ&A次第では、安倍談話は再び大きな国内問題、外交問題につながるおそれがあるということだ。
はたして外務省のHPはどのようなものになるのか。
そもそもそんなHPを今頃になって作るようではあまりにもお粗末だ。
そう簡単にはつくれないはずだ。
外務省のHPはいつまでたっても削除のまま放置されるのではないか。
メディアと国民は最大の関心を持って外務省のHPを監視する必要がある(了)