2015年8月26日水曜日

自衛隊員の安全確保 条文規定はなし 不誠実な首相の答弁

 国会の焦点である安保法案についての政府側の答弁が揺れ動いています。
 
 25日、民主党・福山哲郎議員自衛隊安全確保の規定がどこに明記をされているのか」と追及されて、中谷防衛相は明解に答えられず、見かねた鴻池委員長からも注意されたため、最終的には前言を翻して、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」で自衛隊が他の国の軍隊を後方支援する際には隊員の安全を確保する規定はない、と明言しました。
 しかし安倍首相はこれまで、安全確保のための規定を「法律上の要件として明確に定めた」と答弁していため野党側は反発し、審議は再三中断しました。
 勿論これは首相の答弁がその場しのぎのものであったためで、内閣のデタラメさが次々と暴露されています。
 
 それとは別に、24日共産党の山下芳生書記局長から「戦後70年談話」に関連して首相自身の歴史認識を再三問われましたが、「韓国などに対する植民地支配を認めるのか」については「談話が全てだ」との答弁に終始し、自らの言葉で「植民地支配」の経過も中身もまったく語りませんでした
 「侵略」だったと認めるのかについては、「どのような行為が侵略かどうかは、歴史家の議論に委ねるべきだ」と強弁しました。
 また「ポツダム宣言」についても、「日本はポツダム宣言を受け入れ敗戦した」と述べるだけで自らの言葉でその認識を語りませんでした。
 
 このように自分にとって不利になると思われる問題については、どのように追及されよとも貝のように口を閉ざして語らないというのは、自らが強く求めて出した「70年談話」への当事者責任を放棄するもので、不誠実というしかありません。
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自衛隊員の安全確保で答弁定まらず 
TBSニュース 2015年8月25日
 国会の焦点である安保法案についての政府側の答弁が、なかなか定まりません。
 「隊員の安全確保のために必要な措置は、この法案の中にも明記で盛り込まれている」(中谷元防衛相)
 「安全確保の規定がどこに明記をされているのか、明確にお答えください」(民主党・福山哲郎参院議員)
 「安全配慮義務等の規定はありませんが、これは安全に配慮して行うということ」(中谷元防衛相)
 
 安全保障関連法案には、自衛隊員の安全を確保するための規定が入っているのかいないのか。野党議員の質問に対する中谷防衛大臣の答弁が定まりません。見かねた委員長が、苦言を呈します。
 「これ以上のかみ合わない議論が続きますと、質疑の時間を無駄にすることに相成りますので、政府におかれましては、より善処していただくということもお願いしたい」(参院特別委・鴻池祥肇委員長)
 
 中谷大臣は結局、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」で自衛隊が他の国の軍隊を後方支援する際には隊員の安全を確保する規定はない、と明言しました。
 ただ、安倍総理はこれまで、安全確保のための規定を「法律上の要件として明確に定めた」と答弁しているため野党側は反発し、審議は再三、中断しました。
 
 
「侵略」「植民地支配」 首相、歴史認識の言明拒む
「安倍談話」欺まん浮きぼり 参院予算委 山下書記局長が追及
しんぶん赤旗 2015年8月25日
 日本共産党の山下芳生書記局長は24日の参院予算委員会で、安倍晋三首相による「戦後70年談話」をとりあげ、安倍首相の歴史認識をただしました。首相は「『談話』に示している通り」「歴史家の議論に委ねる」と繰り返すだけで、自身の歴史認識として、日本による「植民地支配」「侵略」を認めることをかたくなに拒否。山下氏は「70年前の痛苦の反省、歴代内閣が認めてきた侵略と植民地支配を『談話』でも首相自身の言葉でもはっきり認めない。これは欺瞞(ぎまん)だといわなければならない」と厳しく批判しました。
 
 14日に発表された「談話」では、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫(わ)び」などの言葉は盛り込まれたものの、主語がなく、日本が「植民地支配と侵略」を行ったとの歴史認識は示されませんでした。「反省」と「お詫び」も歴代政権による表明を記載するのみでした。
 
 「安倍首相は、日本が植民地支配を行ったことを認めないのか」―。山下氏は、橋本龍太郎首相(当時)の国会答弁や小渕恵三首相(同)による「日韓共同宣言」などを取り上げ、「村山談話」後の歴代政権が、日本が朝鮮半島を植民地支配したという認識をはっきり示していることを紹介。日本が、朝鮮の植民地化を武力を背景に進め、国、言語、名前すら奪う苦痛を与えた史実にふれ、これに対する首相の認識をただしました。
 
 首相は「21世紀構想懇談会の報告書には、日本が台湾や韓国を植民地化したことが記載されている」「一部分だけを切り取って議論するのは、幅広い国民とメッセージを共有する観点から適切ではない。談話が全てだ」との答弁に終始。自らの言葉で「植民地支配」の経過も中身もまったく語りませんでした
 
 日本が中国、アジア、太平洋地域に対して行った戦争はどうか。山下氏は、「侵略」だったと認めるのかと首相の認識をただしました。
 首相は「どのような行為が侵略かどうかは、歴史家の議論に委ねるべきだ」と強弁しました。山下氏は、小渕首相(当時)による「日中共同宣言」などを示し、「『歴史家の議論』で逃げるのは欺瞞だ。『安倍談話』は『村山談話』を投げ捨てるに等しいものだ」と批判しました。
 
 日本の戦争を「侵略戦争」だったと断じた「ポツダム宣言」についても、「日本はポツダム宣言を受け入れ敗戦した」と述べるだけで自らの言葉でその認識を語らない安倍首相。山下氏は「ポツダム宣言を踏まえて、日本国憲法の第9条や基本的人権が明記された。今、安倍政権がそれを覆し、日本を再び『海外で戦争する国』につくり変えようとしている」と強調。戦争法案の撤回を求めました。