2015年8月4日火曜日

ニュージーランドはTPPから撤退すべきとケルシー教授 

 TPP交渉閣僚会合で「大筋合意」ができなかったことについて、米国の各紙は一斉に、交渉が今後漂流する可能性に言及しました。
 米消費者団体などは多国籍企業中心のTPP合意ができなかったことを歓迎しています。
 TPPは米大企業からの強い要請があり、それに押される形でオバマ大統領が自分の“遺産”にしたいとの願望から成立を強く要求していますが、次期大統領候補であるクリントン氏は反対を表明しているなど、アメリカも決して一枚岩というわけではありません。そんなレイムドダックに義理立てして「日本を売る」必要は全くありません。
 
 また一貫してTPPを批判してきたニュージーランドのジェーン・ケルシー教授は、ニュージーランドはTPPから撤退すべきだとする意見を発表しました。 
 彼女は、ハワイでの最終閣僚会合まとまらなかったのは、ほとんど全てのTPP参加国において国内に強い反対があり、各国の代表たちも自国民を説得できないような協定に署名できないからだとしています。
 同教授は数次に渡って来日してTPPについての講演をしており、昨年4月には米国NGOパブリック・シチズンのロリ・ワラック女史と一緒に緊急講演を行っています。今年の1月にも来日して講演を行いました。
 
 安倍首相は3日、甘利大臣に次回8月末にTPP交渉をまとめるように指示したということですが、まさに「飛んで火にいる夏の虫」、「鴨がネギを背負って」鍋に入るという話です。
 このように国益を損ねることを全く厭わないのは、愛国心が完全に欠如しているのか、そうでなければ愚か過ぎるかのどちらかでしょう。
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TPP合意できず “国民と地球に良いニュース”
 米消費者団体が歓迎
しんぶん赤旗 2015年8月3日(月)
 【ワシントン=島田峰隆】 環太平洋連携協定(TPP)の交渉閣僚会合で「大筋合意」ができなかったことが、米国で波紋を広げています。1日付米各紙は一斉に、交渉が今後漂流する可能性に言及、一方で米消費者団体などは大企業中心のTPP合意ができなかったことを歓迎しました。
 
 経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「極端な場合、乳製品や他の難しい問題をめぐる意見対立が交渉を無期限に長引かせたり、交渉をまとめる政治的意思をくじいたりする可能性がある」と伝えました。
 
 ワシントン・ポスト紙は「合意できなかったことはオバマ米大統領の敗北だ」「合意の取りまとめが遅れれば、最終合意が2016年までは米議会に送付されない可能性がより高まる」と指摘。
 
 ニューヨーク・タイムズ紙は「米国以外のある交渉国の高官が指摘するように、もし交渉が長期に停滞するなら、多くの国はイエスよりもノーと言うようになるだろう」と報じています。
 
 一方、TPPに反対する運動を広げてきた消費者団体パブリック・シチズンは、ハワイ州で開かれた閣僚会合が大筋合意に至らないまま閉幕したことについて、「(各国政府が)いちかばちかで必死で臨んだ最終段階の会合で合意できなかったことは国民と地球にとって良いニュースだ」と歓迎しました。
 パブリック・シチズンで国際貿易を担当するロリ・ワラック氏は7月31日に声明を出し、「TPPは雇用、賃金、安全な食品、手に入りやすい医薬品などを脅かす。合意達成を望んでいるのは、ひんしゅくを買っている交渉担当者と企業利益を代表する米国の貿易アドバイザーだけだ」と指摘しました。
 
 
TPP閣僚会議まとまらず - ニュージーランド政府は撤退すべき時期
マスコミに載らない海外記事 2015年8月 3日
ジェーン・ケルシー教授 2015年8月1日
(ニュージーランド・オークランド大学教授)
TPP閣僚会議はまとまらなかった。キー首相とグローサー貿易大臣は撤退すべき時期だ。
 
オークランド大学のジェーン・ケルシー法学部教授によるとマウイでの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)“最終”閣僚会合はまとまらなかった。もう一日延長することを選ばなかったことが、手詰まりが深刻で、解決困難な可能性があることを示しています
マウイでは全員、お互いのせいにしていますとケルシー教授は語る。しかし手詰まりになった根本的原因は、ほとんど全てのTPP参加国における国内の反対です。
医薬品価格を上昇させ、各国政府が管理する権利を制限する様な協定は、自分達の国益にはならないと人々は考えています。
交渉を秘密のとばりで覆っても、政治家達は、自国内で売り込めないような最終協定に署名できないことは分かっています。
 
グローサー貿易大臣の営業活動は今週一層困難になるだろうと、ケルシー教授は言う。
長年拒否を続けてきた後、彼と首相は、医薬品は実際ずっと高くなること、TPPが、外国投資に対するより厳格な制限を阻止し、TPPの下では、外国投資家が、実際、ニュージーランドを訴え、勝訴する可能性があると、とうとう告白した
こうした告白が、TPPの政治的代償を引き上げ、貿易大臣はうわべを飾り立てた協定を受け入れることができなくなったのです。彼は野望を、当初の“完全自由化”から、乳製品で何か“商業的に意味のある”ものへと引き下げたにもかかわらず、それさえ実現できなかったのです。
 
ほとんど時間切れ状態だ。アメリカのファスト・トラック法のおかげで、アメリカが従うべき手順は複雑になっている。アメリカの消費者団体パブリック・シチズンは、絶対必要な最小期間は、約3ヶ月と計算している。
よりありそうな線表では、もし交渉が9月までにまとまらなければ、議会が、TPPに投票するのは、最速で2016年1月で、この時期、成立は、政治的により困難になる。アメリカ大統領選挙の年なのだ。選挙活動中に政治的に面倒な協定に投票するというのは、ヒラリー・クリントンや、他の民主党議員や、多くの共和党議員達が一番したくないことだ。
 
今週、マスコミ報道の高まりや、ニュージーランドでの議論が、労働党の強硬な姿勢や、ワイタンギ審判所の主張とあいまって、政府に損切りさせ、撤退させるような十分な圧力を生み出すと良いと思いますとケルシー教授は語っている。
少なくとも交渉再開前に、協定文章と、はっきり説明されたオプションを見て、開かれた民主的な形で議論可能な独自の包括的な費用対効果分析をする必要があります。
私や他の人々は、開示を進めることを狙って、公的情報法の下で、貿易大臣の文書公開拒否に対する司法審査手続きを、来週早々申請します。
 
記事原文のurl:
 
首相 TPP次期会合で大筋合意を
NHK NEWS WEB 2015年8月3日
安倍総理大臣は、ハワイで開かれていたTPP=環太平洋パートナーシップ協定の閣僚会合から帰国した甘利経済再生担当大臣と会談し、次の閣僚会合での大筋合意の実現を目指し、各国との調整や協議に全力を尽くすよう指示しました。
 
おとといまでの4日間ハワイで開かれたTPPを巡る交渉12か国の閣僚会合は、目標としていた大筋合意に至らず閉幕し、2日に帰国した甘利経済再生担当大臣は、総理大臣官邸で安倍総理大臣に協議の結果を報告しました。
この中で、甘利大臣は「関税の取り扱いの一部や、バイオ医薬品の開発データの保護期間などの知的財産、国有企業と民間企業の競争条件の是正などが全部終わるところまでいかず、大筋合意と言えるだけの詰めができなかった」と説明しました。そのうえで、甘利大臣は「かなり前進はあったが、残された課題を次の会合までに詰めるという結論になった」と報告しました。
これに対し、安倍総理大臣は「残された論点を詰めきって、次の会合が開かれるよう期待している。それに向けて頑張ってほしい」と述べ、次の閣僚会合での大筋合意の実現を目指し、各国との調整や協議に全力を尽くすよう指示しました
また、これに先立って政府与党連絡会議で甘利大臣は、次回の閣僚会合について、今月の最終週に開催することを念頭に調整を進めていることを明らかにしました。