10日、中東地域を研究する専門家たちが安保法案に反対する声明を発表しました。
この声明には105人の専門家が賛同しています。
声明は、安全保障関連法案について、「過去の軍事介入が中東地域にもたらした悲劇や混乱を学んでいない。海外で武力行使を行わないとする日本の姿勢を評価してきた中東地域との良好な関係を根本から損なうものだ」などとしています。
戦争国家アメリカはまず中東での『対テロ戦争』を作り上げ、それを今後永続的に戦争を続けるための格好の口実に位置づけて、安倍政権を呼び込もうとしています。
これまで中東諸国との間で培われてきた信頼関係が、安倍政権の安保法案で一挙に失われるどころか、新たな敵対関係が生じるのは取り返しのつかない不幸です。
それとは別に、学習院大・同女子大教員有志が安保法案に反対する声明(8日付)を出しました。
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中東地域研究者が安保法案反対の声明
NHK NEWS WEB 2015年8月10日
安全保障関連法案について、中東地域を研究する専門家およそ100人が、日本の姿勢を評価してきた中東地域との良好な関係を根本から損なうものだとして、法案に反対する声明を発表しました。
声明には、中東地域の政治や歴史などを研究している専門家、105人が賛同していて、10日はこのうち11人が東京都内で会見を開き、声明を発表しました。
声明では、安全保障関連法案について、「過去の軍事介入が中東地域にもたらした悲劇や混乱を学んでおらず、海外で武力行使を行わないとする日本の姿勢を評価してきた中東地域との良好な関係を根本から損なうものだ」などとして、法案を廃案にするよう求めています。また、石油の供給が脅かされた場合、中東に自衛隊を送るべきだといった発想は、植民地主義や帝国主義にほかならないと指摘しています。
声明を呼びかけた千葉大学の栗田禎子教授は「安全保障関連法案は、アメリカが軍事介入してきた中東地域に影響を及ぼすので声明を呼びかけることにした。外交や経済などの面で日本と中東が築いてきた深い信頼関係に自信を持って、これまでの平和的な関係を維持すべきだ」と話していました。
安全保障関連法案に反対する学習院大学・学習院女子大学教員有志の声明
安保関連法案のもととなった2014年7月1日の閣議決定も含め、安倍政権は、法的にいえばできないはずのことを強行し、7月15日、16日には衆議院において強行採決を行った。しかし、安全保障関連法案の違憲性は極めて明白である。
安倍政権は、「立憲主義」、「民主主義」、「平和主義」といった高次の概念を軽んじ、日本の政治は危機に瀕している。これらの概念は、権力を馴致する試みのなかで長い年月をかけて人類が学びとってきた知恵であって、もはや世界標準というべき価値を体現している。そのような人類普遍の価値を軽視することの代償は大きい。
これほど多方面から、政権のとる手法を含め、法案の審議に対して累次の批判が寄せられているという事実は、日本の立憲政治が異常事態にあることを如実に示している。このような事態においてもなお立ち止まることすらできない政治は、権力を自ら適切に扱えないさまを白日のもとに晒している。現政権が、軍事に関わる事柄と国家権力の関係という、もっとも統制の難しい問題を真剣に考えているとは到底思われない。
私たち学習院大学・学習院女子大学教員有志一同は、安全保障関連法案に強く反対し、すみやかな廃案を求め、ここに声明を公表する。
2015年8月8日
<呼びかけ人>(計10人、2015年8月8日現在)
詳細は省略
<賛同者> (計92人、2015年8月10日現在)
詳細は省略