2015年8月21日金曜日

山本太郎議員が国会でタブーを追及

 殆どの人が知っていても公けの場では敢えて口にしないテーマについて、生活の党の山本太郎が19日の参院の特別委で取り上げました。
 
 午前中に彼が取り上げたテーマは、今回安倍政権が成立を目指している安保法案が、2012に出された「第3次アーミテージ・ナイレポート日本への提言」に完全に沿った内容になっているというものです。
 全部で12項目ある要求項目のうち既に実施済みの項目についても明らかにしました。
 下表は質問にあたり山本議員が机上に掲示したフリップを書き写したものです。
 
 第3次 アーミテージ・ナイレポート 日本への提言 (2012年8月)
 原発の再稼働
   2 海賊対処・ペルシヤ湾の船舶交通の保護、シーレーンの保護イラン核開発
  への対処
 TPP交渉参加~日本のTPP参加は米国の戦略目標
 日韓「歴史問題」直視・日米韓軍事的関与
 インド・オーストラリア・フィリピン・台湾等の連携
 日本の領域を超えた情報・監視・鄭策活動
  平時・緊張時・危機時・戦時の米軍と自衛隊の全面協力
 日本単独で掃海艇をホルムズ海峡に派遣
  米軍との共同による南シナ海における監視活動
 間の、あるいは日本が保有する同家機密の保全
 国連平和維持活動(PKO)の法的権限の範囲拡大
 
 そ の 他
10 集団的自衛権の禁止は同盟にとって障害だ
11 共同訓練、兵器の共同開発、ジョイント・サイパー・セキュリティセンタ
12 日本の防衛産業に技術の輸出を行うよう働きかける
く第3次アーミヂージ・ナイレポート/海上自衛隊幹部学校ホームページコラム033より
 山本太郎事務所作成>
 
 そして午後に取り上げたテーマは、高村氏がこともあろうに集団的自衛権を認めた最高裁判決だと言い出した「砂川事件最高裁判決」についてで、日米安保条約が憲法違反であるとした一審の伊達判決に慌てた米国が日本に強い圧力を掛け、その意向を体した当時の田中耕太郎最高裁長所長官が密かに米国の要人と複数回会って、年内に大法廷で全員一致の逆転判決を下すことを約束したという事実を確認したものです。これは米国が近年解除した外交文書から明らかになった事柄です。
 
 普通の議員が知っていても敢えて取り上げないのは、米国はCIAなどの秘密組織を持っているので、もしも逆鱗に触れれば何をされるか分からないという恐怖感を持っているからです。
 こうして「触らぬ神に祟りなし」とされている中で、それを敢えて取り上げたのは大変に勇気の要ることで、フリージャーナリストの岩上安身氏は、「その夜は山本議員の安全を祈って眠りに就いた」と書いているほどです。彼も修羅場をくぐって来た人なので、一層身にしみるのでしょう。
 
 山本太郎議員の質問の詳細は下記の動画で見ることが出来ます。どちらも所要時間は16分前後です。URLをクリックすれば動画が始まります。
 
  山本太郎議員参院特別委 質疑動画(2015年8月19日)
    午前の部(時間16:16) (アーミテージ・ナイ レポート関係)
    午後の部(時間15:49) (砂川最高裁判決)
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山本太郎議員、永田町最大のタブーを追及 シラを切る政府
田中龍作ジャーナル 2015年8月19日
 多くの人が知っているが誰も怖くて言えなかったことを、あの男が口にしてしまった。それも国会という公の場で。
 この国の政策はアメリカの対日要求に沿って決められているのではないか ― 山本太郎議員がきょうの安保特委でこう追及したのである。
 「永田町ではみんな知ってるけれど、わざわざ言わないことを質問していきたいと思います」。タブーに挑む山本議員らしい切り出しだった。
 
 山本議員は「第3次アーミテージ・ナイリポート~日本への提言9項目(2012年8月)」を特大のフリップで掲示した内容は前掲
 
 「原発再稼働」に始まり「TPP参加」「戦時の米軍と自衛隊の全面協力(今回の集団的自衛権)」「ホルムズ海峡の機雷掃海」「国家機密の保全(秘密保護法)」「PKOの法的警護の範囲拡大(今回の駆けつけ警護)」・・・
 日本の政策がすべて米国のリクエスト通りになっていることを山本議員は指摘したのである。
 
 安倍晋三首相が 何とかの一つ覚え のように「ホルムズ海峡」を連呼していた時期があった。アーミテージリポートに忠実だったのである。
 図星を突かれた政府側の答弁は見苦しい、いや聞き苦しかった。
 
 岸田文雄外相は「(アーミテージリポートは)あくまでも民間の報告書ですので政府の側から逐一コメントすることは控える」としながらも「ご指摘の報告書(アーミテージリポート)を念頭に作成したものではない」とシラを切った。
 
 中谷元防衛相はさすがにウソをつくのがヘタだ―「結果として重なっている部分もあるが、あくまでも我が国の主体的な取り組みとして検討、研究をして作った」。中谷大臣は少なくとも同一であることを認めたのである。
 日本が米国の言いなりになっていることが、天下にさらされたのだ。
 
 山本議員はトドメを刺すことも忘れていなかった。質問の最後を次のように締めくくった―
 「これだけ宗主国様に尽くし続けているのにもかかわらず、その一方でアメリカは同盟国であるはずの日本政府の各部署、大企業などを盗聴し・・・いつまで(米国にとって)都合のいい存在で居続けるんですかってお聞きしたいんですよ。いつ植民地をやめるんですか?」
 「中国の脅威というなら自衛隊を世界の裏側まで行けるような状態を作り出すことは、この国の護りが薄くなるっていう事ですよ」。
 
 山本議員の追及に溜飲を下げる国民は少なくない。「目からウロコ」の人もいるだろう。
 しかし「対等なパートナーシップ」を掲げた鳩山政権は、米国と官僚と記者クラブメディアに潰された。庶民に寄り添う政治家は、権力にとって不都合なのである。 
 ~終わり~