自・公・維新は連休明けの6日にも、衆院憲法審査会で国民投票法改定案の採決を狙っているということです。
憲法審査会は07年に第1次安倍政権が改憲手続法を強行して設置したもので、改憲原案を発議するための組織なので、共産党は、国民世論が改憲を求めないなか審査会を動かしてはならないと一貫して主張してきました。
自公が作成した国民投票法改定案は、国民投票に当たって政党がテレビやラジオなどに有料広告を出すことに対する規制が欠落し、最低投票率や絶対得票率についての定めがないなどの問題があります。
特にテレビ(やラジオ)のコマーシャルを規制しないと、自民党などの資金のある処に一方的に有利になるし、電通と深い関係のある自民党にコマーシャルの枠取りが一方的に有利になるなどの問題があります。
それらはこれまで繰り返し指摘されてきましたが、いまだに盛り込まれていません。
従って現行の改定案のままで可決してしまうことはできません。
⇒(18.7.5) 田中弁護士の「つれづれ語り(国民投票法改正案)」を紹介します
しんぶん赤旗とNHKの記事を紹介します。
関連記事
(4月30日)自民 国民投票法の修正に応じる方向 CM規制など
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憲法審が国民投票法案めぐり緊迫 自公、6日にも採決狙う
しんぶん赤旗 2021年5月2日
憲法改定原案を発議する権限をもつ憲法審査会が改憲のための国民投票法改定案をめぐって緊迫しています。自民党と公明党に維新も加わって、改憲策動を一歩前にすすめるため、連休明け6日にも、衆院憲法審査会で同案の採決を狙っているからです。
憲法審査会は2007年、改憲に執念を燃やす第1次安倍政権が改憲手続法を強行して設置したもの。憲法一般の議論をするための場ではなく、国会法102条に基づき改憲原案を発議する権限をもつとされました。日本共産党は、国民世論が改憲を求めないなか、審査会を動かす必要はなく、動かしてはならないと一貫して主張してきました。
自公両党は、憲法審査会を舞台に改憲策動をさまざまに画策。とくに第2次安倍政権以降、9条に自衛隊を明記する改憲案を唐突に打ち出し、審査会にそれをもちこもうとしました。また、改憲のための国民投票法改定案を提出して呼び水にしようとしました。
しかし、日本共産党や立憲民主党など野党各党は、安保法制を強行し立憲主義を破壊してきた安倍政権に憲法を語る資格はないとして、「安倍政権のもとでの改憲は許さない」と結束。改憲案の持ち込みや国民投票法改定案の採決を、8国会連続で阻止してきました。
菅政権に代わって、こうした状況に焦りを強めた自民党が強引に審査会を開こうと画策。新型コロナ危機でまともなコロナ対策をしないばかりか、3度目の「緊急事態宣言」で国民が未曽有の苦しみの中にあるもとで、コロナ危機に乗じて火事場泥棒的に改憲策動をすすめることは許されません。
日本共産党の赤嶺政賢議員は4月22日の同審査会で、安倍晋三前首相自身が退任会見で「国民的な世論が十分盛り上がらなかった」と認めたことも挙げ、「自民党は改憲世論を高めようと躍起になってきたが、世論は改憲が政治の優先課題だとはしていない」と批判し、審査会を動かすことに反対しました。
菅政権のもと、4月16日の日米共同宣言に、52年ぶりに「台湾海峡の平和と安定」が明記され、「台湾有事」の際に安保法制が発動される危険が高まっています。そうしたもとで、改憲策動を押しとどめることはいよいよ重要になってきています。
憲法施行74年 国民投票法改正案 連休明けに採決行われるか焦点
NHK NEWS WEB 2021年5月3日
憲法記念日の3日、日本国憲法は、施行から74年を迎えました。国会では、憲法改正の国民投票で商業施設に投票所を設けることなどを柱とした国民投票法改正案の採決が大型連休明けに行われるかどうかが焦点となっています。
衆議院の憲法審査会では、3年前の6月に自民・公明両党と日本維新の会などが提出した国民投票法の改正案の審議が行われています。
改正案は、憲法改正の是非を問う国民投票で商業施設に「共通投票所」を設けることなどが柱で、取り扱いをめぐって、自民党と立憲民主党は、去年12月に今の国会で「何らかの結論」を得ることで合意しています。
自民党は、会期末を来月中旬に控え、今の国会で改正案を成立させるために、大型連休明け6日に採決したいとしています。
立憲民主党は、先週、国民投票の広告規制などについて「施行後3年をめどに法制上の措置を講じる」ことが改正案の付則に盛り込まれれば採決に応じる方針を決めました。
このため、与野党の調整が行われる見通しで、連休明けに採決が行われるかどうかが焦点となっています。
一方、参議院の憲法審査会でも先月、およそ3年2か月ぶりに自由討議が行われました。
国会での憲法論議は、改憲を掲げた安倍政権から菅政権にかわって以降、活発になりつつありますが、秋までに行われる衆議院選挙に向けた各党の思惑も絡んで、今後どこまで深まるかは不透明な情勢です。
各党 声明などを発表
「憲法記念日」にあたって、各党は声明などを発表しました。
自民党は「国民投票法改正案について今の国会で結論を得ることが立憲民主党との間で合意される一方、憲法審査会の議論でも野党から積極的な意見が出されるなど、憲法改正実現に向けた歩みは、着実に前進している。国会で活発な憲法議論を行い、国民に理解されるよう、全力を尽くす」としています。
立憲民主党は「感染拡大で社会が根底から揺らいでいる。感染防止に必要な権限は『公共の福祉』として憲法でも認められ、政府が的外れな対策しかできないのは、権限が限定されているからでも緊急事態条項が明記されていないからでもない。立憲主義と憲法の基本理念を守り抜く」としています。
公明党は「憲法を高く評価し、その価値をさらに高める取り組みを展開する。国民投票法改正案は、公職選挙法で実現している投票環境の向上に合わせることが目的で、早期成立に努める」としています。
日本維新の会は「時代や国際情勢の変化に憲法が対応できていないことを国民は『コロナ禍』で実感している。教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置は、未来のために必要だ」としています。
共産党は「政治に求められているのは、憲法が保障する『幸福追求の権利』や『生存権』などを生かし、感染症対策で責任を果たすことだ。憲法の理念にそった社会の建設に全力をあげる」としています。
国民民主党は「憲法の理念を次世代に持続するため、足らざる点の補強が求められる。『データ基本権』の新設なども提起しており国際情勢の現実を踏まえ、未来志向の憲法を議論する」としています。
社民党は「憲法改正を求める声は少数で、全力をあげなければならないのは『コロナ禍』への対処だ。平和憲法の擁護と憲法を暮らしに生かす政治を実現する」としています。
れいわ新選組は「憲法25条も守られない現実を政治が作り、新型コロナもあって仕事や所得などが失われている。憲法が守られる政治・社会を作っていこう」としています。
NHK受信料を支払わない方法を教える党は「NHKの受信料契約が放送法で義務化されていることは、憲法と、憲法から導かれる『契約の自由』が尊重されていない証左だ」としています。