IOCを批判する2つのブログを紹介します。
一つは植草一秀氏のもので、タイトルの「身も毛もよだつ銭ゲバIOCの正体」から分かるようにIOCの実態をシリアス(厳粛)に述べています。
同氏は、外国人の大量入国は変異株流入をもたらす最大の原因になるなかで、
「オリンピックを強行しようとしているIOCはもともとただの営利追求団体であり、『威力によって自己の経済的利益(巨大なテレビ放映権料)を追求する集団』=『反社会的勢力』に過ぎない。日本国民に重大な被害を与えることを躊躇もせず、ただひたすら自己の利益を追求しているのだ(要旨)」とこき下ろしています。
そして「日本政府はIOCに対して東京五輪の中止を通告する必要がある。IOCが提訴するなら堂々と裁判で戦うべきで、五輪開催中止に費用がかかるならその費用を払えばよい」と述べています。
たとえ1600億円であろうとも、今後更に膨大な死者を出すことに比べれば軽微なものと言えます。
もう一つは「澤藤統一郎の憲法日記」の記事「あなた何様? わたくし IOC様ですよ」です。
こちらは植草氏とは対照的にいわゆる「斜に構えた」(パロディ版)というべきもので、タイトルから分かるようにIOC広報担当責任者の発言に仮託して、いわばIOCの本音と本質をユーモラスにしかも極めて分かりやすく語ったものです。
因みにIOC広報担当責任者マーク・アダムズは実在の人物です (^○^)
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身も毛もよだつ銭ゲバIOCの正体
植草一秀の『知られざる真実』 2021年5月22日
日本はIOCの植民地なのか。
日本でコロナが猛威を奮っている。1日当たりの死者が100人水準で推移。年率換算で4万人近い水準での推移。
インフルエンザが猛威を奮っても1年間の死者は1万人程度。これを「さざ波」と表現する者は五輪開催を強行しようとする勢力の手先でしかない。
政府の最大の責務は国民の命を守ること。国民の命と健康が危険に晒されている。そのことをアナウンスするのが緊急事態宣言だ。
IOCのコーツコーツ調整委員長が、5月21日、3日間にわたって開かれた調整委員会後の記者会見で、大会期間中に東京が緊急事態宣言下だったとしても開催する考えを示した。
緊急事態宣言とはコロナ感染が拡大し、市民の命と健康が脅かされる事態を宣言するもの。徹底的な人流抑制が図られなければならない。
組織委員会は来日する選手・大会関係者数の削減を図っていると説明するが、現時点での予定来日者数は約9万4000人。オリンピックが6万9000人、パラリンピックが2万5000人。
日本でいまもっとも警戒されていることは変異株流入。変異株を水際で遮断することが日本のコロナ対策根幹である。外国人の大量入国は変異株流入をもたらす最大の原因になる。
選手にワクチン接種するのは選手の感染を防ぐもので、変異株流入、日本の市民への感染拡大阻止の十分な手立てにならない。
東京都に緊急事態宣言が発出されていても五輪開催を強行するとの姿勢は、IOCが自己の利益しか考えていないことを示すもの。日本国民に重大な災厄を振りまいても構わないとする姿勢だ。このような暴挙を日本国民は断じて許すべきでない。
IOCは「威力によって自己の経済的利益を追求する集団」であり、日本政府はIOCを「反社会的勢力」と認定し、その排除に努めるべきだ。日本政府が、この反社会的勢力の手先になって行動することは許されない。
一連の経過は日本国民に極めて重要な「学びの機会」を与えた。
一連の経過はIOCの正体をすべての日本国民に知らせるのに十分なもの。
IOCはただの営利追求団体に過ぎない。いや、この表現は不正確。IOCは「威力によって自己の経済的利益を追求する集団」=「反社会的勢力」に過ぎない。
日本国民に重大な被害を与えることを躊躇もせず、ただひたすら自己の利益を追求する。
IOCが五輪開催を強行する理由は巨大なテレビ放映権料を獲得することにある。五輪開催を中止すれば巨大な利益を獲得し損なう。
ただ、それだけの理由で、日本国民の命と健康を犠牲にして五輪開催を強行しようとしている。このような「反社会的勢力」に日本の国民が協力する理由は皆無だ。
より重大な問題は日本政府のあり方。 五輪開催が日本国民の命と健康を脅かすものであるなら、日本政府は責任をもって五輪開催にNOの意思を表明する必要がある。
この行動を取らずに、五輪開催を強行しようとするIOCの手先として行動するなら、日本政府は日本国民を代表する政府ではない。IOCによる植民地政府ということになる。
現状では「国民の命と健康を守り、安心・安全の大会を開催すること」は不可能だ。
したがって、IOCに対して東京五輪の中止を通告する必要がある。
IOCが提訴するなら、堂々と裁判で戦うべきだ。五輪開催中止に費用がかかるなら、その費用を払えばよい。五輪中止は日本国民の総意であり、その決定に基づく措置に費用が発生するなら、日本国民は費用負担を受け入れる。
そもそも、IOCに開催決定権があるとすること自体がおかしい。
日本は主権国家であってIOCの植民地ではない。日本のことは日本が決める。当たり前のことだ。菅内閣がこの当たり前のことを出来ないなら、日本国民は直ちに菅内閣を退場させる必要がある。
(以下は有料ブログのため非公開)
あなた何様? わたくし、IOC様ですよ。
澤藤統一郎の憲法日記 2021年5月14日
私が、IOC広報担当責任者 マーク・アダムズです。一昨日(5月12日)のIOC理事会のあとにバッハ会長に代わって記者会見を行った、あのアダムズです。
記者会見では私の思いが日本の皆さんに十分には伝わらなかったようですので、少し補充して、東京オリパラを目前にしている日本の皆様にコメントします。なおここだけの話しですが、バッハ会長には感情的でイレギュラーな発言が多く組織としてはハラハラせざるを得ません。その点は、お宅の国の前首相だった安倍晋三さん、全組織委員長だった森喜朗さんとよく似ています。みんな、とてもトップの器ではないのです。バッハさんの話よりは、私の発言をIOCの意思とお考えください。
私があの会見ではっきりさせたかったことは、日本国内の事情がどうであれ、「東京オリパラ2020」は必ず開催するということです。私たちは、けっして言われているほど愚かでも無鉄砲でもありません。世界と日本のパンデミックの状況も、日本の世論もよく知っています。その上で、IOCの利益のために必ず開催と言っているのです。
もう少し付け加えるなら、私たちIOCは、日本の皆様の国民性についてもよく研究し、知り尽くしているつもりです。第2次大戦時の米国が、日本人の精神構造をよく研究して、天皇制を残しつつ戦後処理に成功したようにです。
日本の皆様が、これまでのオリンピックとは異なる高いハードルを乗り越えねばならないことはもとより承知です。場合によっては感染再拡大のリスクあることも反対論者の言うとおりでしょう。それでも、東京オリパラは必ずやるのです。仮に、そのオリパラでパンデミックが再燃したとしても、それは現地の責任で、IOCが引き受ける問題ではありません。
なぜそこまでしてもオリパラをやるのか。理由は三つ。三つしかありません。「カネ、カネ、そしてカネ」です。ニューヨークタイムズに寄稿されたジュールズ・ボイコフ教授の仰るとおりです。
もっとも同教授は、「カネ、カネ、そしてカネ」を、なにか不純で不潔なものというイメージで描こうとしていますが、私どもはけっしてそうは考えません。今の世の中、お金は大切です。お金は神聖で美しい。オリンピック競技の勝者には、「金」「銀」が与えられるではありませんか。あれは、「金貨メダル」「銀貨メダル」という意味なのです。これを拝金主義というのであれば甘受するまです。
今われわれの前には二つの道があります。東京オリパラを中止することなく、何とかやり遂げれば、「カネ、カネ、そしてカネ」が手に入ります。しかし、これを中止すれば、「損、損、そして大損」が押し寄せてきます。その場合の金銭的損害や負債の処理は考えるだに恐ろしい。開催実行は当然ではありませんか。
パンデミックのコントロールが困難なこともよく分かっています。フクシマの事態をアンダーコントロールすることと同様の難事ですが、やめる理由にはなりません。あなたの国も困難承知で東京オリパラを招致したではありませんか。
選手団派遣をボイコットする国が出てくることはやむを得ません。が、IOCとしては、当該国の感染蔓延の事態にはさしたる関心はありません。隔離されたアスリートのワクチン接種が実行されていればよいだけの話で、幸いにファイザー社にはだぶついてきたワクチンがあります。これを特別枠として提供してもらえるのですから、多くの国に選手を派遣していただけるものと考えています。
日本の世論が、コロナ禍への恐怖と、オリンピック準備がコロナ対策への障害になるのではという疑念から、「東京オリパラ開催反対」に固まりつつあることは承知をしていますが、実はこの点は大した心配をしていません。
一昨日の記者会見で、「世論には浮き沈みがある。我々は耳を傾けるが、世論に動かされることはない」「トーキョー開催が決まった8年前には、世論が支持していた」「開催されれば世論が大会を強く支持すると確信しています」と申し上げたとおりです。
あの8年前のブェノスアイレスをお忘れか。あなた方の国のトップは、あんなにもはしゃいで、東京オリパラ招致の成功を喜んで見せたではありませんか。今は、コロナの恐怖で表面的にはオリンピック歓迎のムードに陰りがありますが、なに、開催すれば、世論なんてコロリと変わります。日本国民が、簡単に感動と誇りに思うオリパラになるものと確信していますよ。日本の世論なんて、その程度のものでしょう。
だいたい、一昨日の理事会では、東京大会のプレゼンテーションが行われたのですよ。組織委員会の橋本聖子会長からも武藤事務総長からも、中止に関する議論はまったく出ませんでした。日本の委員の発言をみる限り、大会開催に影響するほどの反オリパラ世論があるとは思いもよりませんね。
ローマの昔以来、市民はサーカスがお好きなのです。江戸・東京の市民も見世物が大好きだったではありませんか。オリンピックこそは、これ以上ない最大のサーカスであり見世物なのですから。
それに日本の皆さんは権威に弱い。お宅の国には、まだ天皇制というものがあるそうではないですか。IOCは権威ですよ。現代の貴族です。オリンピックは、日本の国民性と相性がよいのです。しかも、皆さん、いったん決めたことをやめようと言い出すことができない国民性。失礼ながら、この辺に付け込んで、IOCから日本の皆様に、「支援と理解を伝え、連帯を示したい」と思います。
誤解のないように繰り返しますが、IOCは東京オリパラがコロナ拡大の舞台となってよいと言っているわけではありません。でも、開催国の首相も主催都市の首長も、「しっかりと、安全安心な大会を開催する」と言っておられるのですから、その言を信頼すると言うことなのです。それが出来なければその人たちの責任で、IOCには関心のないことなのです。ですから、いかなる事態になったとしても、IOCの責任を問題にするがごとき不埒なことを言わないよう予め釘を刺しておきたいのです。