2021年5月23日日曜日

土地利用法案 実質審議入り まるで戦前の弾圧法

 基地周辺や国境離島の住民を監視する土地利用規制法案が21日の衆院内閣委員会で実質審議入りしました。この法案は、基地などの重要施設や国境離島等の「機能を阻害する行為」の中止または「その他必要な措置」を勧告・命令することを定めたもので命令に従わない場合は懲役刑や罰金刑を課すことができます。それは「重要施設」周辺概ね1キロの区域やそこの住民に直接影響を及ぼし、監視下に置かれます。また基地以外にどんなものが「重要施設」であるのかは法律には規定がなく「政令で定める」となっているので、政権によって恣意的に運用することが可能である仕組みになっています。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、戦前要塞地帯法や治安維持法、軍機保護法などが制定され、基地などを撮影・模写しただけで逮捕されことを指摘し、一連の治安立法は戦後、廃止されたにもかかわらず、「当時を彷彿とさせる法案の提出に憤りを感じる」と批判しました。
 この法案の問題点については別掲の記事「重要土地調査規制法案に関する緊急声明」が詳細に述べていますので、併せて参照ください。
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土地利用法案 実質審議入り まるで戦前の弾圧法
衆院内閣委 赤嶺議員が追及 「住民の不安」立法根拠なし
                        しんぶん赤旗 2021年5月22日
 基地周辺や国境離島の住民を監視する土地利用規制法案が21日の衆院内閣委員会で実質審議入りしました。与党は今国会中の成立を狙っています。同法案は、基地などの「機能阻害」のおそれがあれば土地の利用中止を命じ、応じなければ刑事罰を科すというもの。日本共産党の赤嶺政賢議員が追及しました。
 赤嶺氏は、戦前、要塞(ようさい)地帯法や治安維持法、軍機保護法などが制定され、基地などを撮影・模写しただけで逮捕されたと指摘。一連の治安立法は戦後、廃止されたにもかかわらず、「当時を彷彿(ほうふつ)とさせる法案の提出に憤りを感じる」と批判しました。
 赤嶺氏は、こうした治安立法で国民が弾圧され、戦争へと駆り立てられた歴史への反省・教訓は議論したのかと追及。木村聡内閣審議官は「土地利用に関する有識者会議では特段議論していない」と述べ、戦前の教訓は踏まえていないことを認めました
 政府は法案提出の根拠として、外国資本による北海道千歳市や長崎県対馬市の自衛隊基地周辺の土地購入に対する自治体・住民の「不安」をあげています。
 赤嶺氏は、全国約1800の自治体のうち意見書提出は16件にとどまり、千歳市と対馬市から意見書は提出されていないと指摘。政府もこの事実を認めました。
 赤嶺氏は、千歳基地周辺で土地が購入されたとされる北海道苫小牧市を含め、3市議会で同問題が議論されたのはそれぞれ数回程度だとして、「『住民の不安』に根拠がない」と強調しました。さらに、苫小牧市での土地購入は、市が統合型リゾート(IR)構想を進める下で行われ、購入された土地もIR施設の予定地に隣接していると指摘。「安全保障ではなく、IRとの関連を考えるのが常識的だ」とただしました。
 木村審議官は、千歳市議会の一部議員のやりとりの例をあげるだけで根拠を示しませんでした。赤嶺氏は「議員の質問は、そのまま安全保障上の危機にはつながらない。うわさや思いこみのレベルで法案を提出した」と批判しました。


論戦ハイライト
処罰の対象 白紙委任 土地利用規制法案 撤回せよ 衆院内閣委で赤嶺議員
                        しんぶん赤旗 2021年5月22日
 日本共産党の赤嶺政賢議員は21日の衆院内閣委員会で「土地利用規制法案」の問題点を指摘し、撤回を求めました。
 赤嶺氏は、政府が昨年、外国資本による土地売買の本格調査を開始し、中国系資本が関与した可能性のある買収を計700件確認したとの報道(「産経」14日付)について事実関係をただしました。

事実関係調査を
 小此木八郎領土問題担当相は「調査した事実はない」と否定しましたが、赤嶺氏は、「読売」昨年12月22日付が中国系資本による土地買収事例が約80カ所あったとする政府調査を報じるなど、同様の報道が繰り返されていると指摘。「法的根拠なく調査をしているならば法案審議どころではない」として、事実関係の調査を求めました。
 赤嶺氏は、戦前、要塞地帯法や治安維持法、軍機保護法など一連の治安立法により、基地や軍艦などを撮影・模写しただけで逮捕され、戦争に反対する者は容赦なく弾圧・拷問の対象にされたと指摘。今回提出された法案は戦前を彷彿(ほうふつ)とさせるものだと追及しました
 赤嶺 法案提出にあたり、戦前の歴史への反省・教訓を議論したのか。
 木村聡内閣官房審議官 教訓等について有識者会議で議論いただいていない。

軍事行動を優先
 赤嶺氏は「法案は、政府が国民を日常的に監視し、基地などの機能阻害行為、つまり軍の行動を邪魔する者がいれば処罰の対象にするものだ」と強調。しかも、何を処罰するかを政府に白紙委任していると告発し、「軍事行動を至上価値とし、国民の権利が制限されても構わないという発想は戦前と変わらない。現行憲法下でこのような法案が許容される余地などない」と断じました。
 赤嶺氏は、自民党内で土地利用規制問題に関する検討会を主宰した高市早苗元総務相が自身のホームページのコラムで、中国の国防動員法(2010年施行)に触れ「仮に日中間に軍事的対立が起きた場合には、莫大(ばくだい)な数の在日中国人が国防勤務に就くことになる可能性がある」などと述べていることを指摘。このような認識では差別感情により在日外国人が殺害された関東大震災のときと同じ過ちを繰り返すことになりかねないとして、法案の撤回を求めました

自衛隊施設だけで500カ所超が対象に
 政府は21日の衆院内閣委員会で、「土地利用規制法案」で規制対象となりうる自衛隊関係施設が、全国で約500カ所以上と明らかにしました。公明党の浜村進議員への答弁。
 木村聡内閣審議官は、土地・建物の所有者などを調査し、施設の機能を阻害する行為などについて利用中止の勧告・命令ができる「注視区域」について、合計約四百数十カ所の施設周辺が指定の検討対象となると説明。指揮中枢機能や司令部機能を有し、特に重要として周辺土地・建物の売買に事前の届け出を義務付ける「特別注視区域」の検討対象は、約百数十に上るとしました。
 米軍基地については、米側と詳細を確認するとしています。
 また、海上保安庁の施設に関しては、当面、尖閣諸島周辺の海域で領海警備を担当している第11管区海上保安本部と、石垣海上保安部の2施設とする考えを示しました。
 「生活関連施設」では、原発や自衛隊と共用している民間空港を挙げました。