自民党の二階幹事長は18日、立憲の福山幹事長と国会内で会談し、「入管法改定案はこれ以上審議を進めない。終盤国会に向けて衆参とも正常な審議が進むよう与野党ともに努力することとしたい」と述べ、今国会で改定案の採決を行わない考えを伝えました。
この件に関して与党側が示した初めての理性的な判断であり、立憲の福山氏は政府・与党の判断を評価しました。
改定案は会期末に継続審議の手続きが取られる見通しですが、10月に衆院議員の任期満了を迎えるため事実上の廃案となります。
いずれにしても事実上の改悪案が廃案になるのは喜ばしいことです。
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入管法改正案は事実上の廃案に 政府、今国会断念
毎日新聞 2021/5/18
政府・与党は18日、外国人の在留管理を厳格化する入管法改正案の今国会での成立を断念した。立憲民主党など野党が、入管施設収容中にスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡した問題の真相究明を求めて採決に反対したことに配慮した。改正案は会期末に継続審議の手続きが取られる見通しだが、10月に衆院議員の任期満了を迎えるため事実上の廃案となる。
自民党の二階俊博幹事長は18日、立憲の福山哲郎幹事長と国会内で会談し、「これ以上審議を進めない。終盤国会に向けて衆参とも正常な審議が進むよう与野党ともに努力することとしたい」と述べ、今国会で改正案の採決を行わない考えを伝えた。福山氏は「今後は充実した審議を各委員会で行い、国民の負託に応えていきたい」として、政府・与党の判断を評価した。
野党は提出していた義家弘介・衆院法務委員長の解任決議案を取り下げた。
改正案は、国外退去処分を受けた外国人の入管施設での長期収容を解消する目的で、政府が今年2月に提出した。難民認定申請中の送還停止に回数制限を設け、3回目以降は証明資料がない限り手続き中でも退去させることを可能にするほか、退去拒否者に対して退去命令を出し、違反した場合に罰則を科すことを盛り込んでいる。
立憲などは改正案の内容を「外国人への人権侵害だ」と問題視。名古屋出入国在留管理局(名古屋市)に収容されていたスリランカ人女性の死亡問題についても「たいした治療も受けられず亡くなった」(立憲の枝野幸男代表)として監視カメラの映像を開示するよう求めていた。
野党は改正案に関して10項目の修正を求め、与党といったん大筋合意した。しかし、野党が映像開示を引き続き求めて譲らなかったため交渉が決裂した。
改正案の今後の取り扱いについて自民の世耕弘成参院幹事長は18日の記者会見で「(与野党協議で合意した)修正を織り込んだ法案を出すのが誠実な態度だ」と述べ、内容を見直した上で次回以降の国会に再提出する可能性を示唆した。【東久保逸夫、宮原健太】
ウィシュマ・サンダマリさんの遺影を手に国会へ向かう妹のワユミさん(左)とポールニマさん=東京都千代田区で2021年5月18日午前11時44分、竹内幹撮影