菅首相は、変異株が既に新規感染の8割を占めて更に感染爆発に向かおうとしてる新型コロナへの有効な対策は何もしないままで、高齢者医療費2倍化法案と国民投票法案を衆院本会議で可決し、11日の参院内閣委員会・総務委員会では、デジタル関連法案などの問題法案を可決しました。
さらに入管法を実質的に改悪する「入管法改定案」も、衆院法務委員会で採決を強行しようとしています。
政府は何故国民の命と暮らしを守ろうとしないのでしょうか。
12日付しんぶん赤旗の記事4本を紹介します。
「コロナ対策より悪法推進 与党、衆参で相次ぐ採決 医療費2倍化・デジタル法案」
「医療費窓口負担『2倍化法案』衆院可決 政府説明ボロボロ 徹底審議で廃案を」
「改憲許さぬたたかいさらに 国民投票法改定案 衆院可決」
「国民監視 許さない 国会前 デジタル法案強行抗議」
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コロナ対策より悪法推進 与党、衆参で相次ぐ採決
医療費2倍化・デジタル法案
しんぶん赤旗 2021年5月12日
連休明けの国会で、重要法案の採決が相次いでいます。11日の衆院本会議で、高齢者医療費2倍化法案が自民、公明、維新など各党の賛成多数で可決されました。また国民投票法案も可決。同日の参院内閣委員会・総務委員会では、デジタル関連法案を可決しました。与党は衆院法務委員会で入管法改定案の採決を強行しようとしています。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、コロナ対策に全力をあげるどころか、国民の権利や、命・健康に悪影響を与える悪法をごり押しする菅政権・与党の姿勢が厳しく問われます。
高齢者医療費2倍化法案は、75歳以上の医療費窓口負担に2割負担を導入するもの。単身世帯で年収200万円以上などを対象にし、約370万人が負担増となります。国会審議で窓口負担増が受診控えを招き、健康悪化につながることが明らかになっています。
参院各委で与党などの賛成で可決されたデジタル関連法案は、行政のデジタル化を通じて個人情報を集積し、行政が保有する膨大な個人情報を企業などが「利活用」しやすい仕組みにするものです。最大の問題は、個人情報の保護が欠落し、プライバシー権を侵害している点です。法案審議では、現行の民間「利活用」の仕組みで横田基地騒音訴訟の原告情報まで民間提供の対象となっていたことも暴露されました。同法案によって、こうした仕組みが自治体にまで広げられます。
国民投票法改定案は、海外での無制限の武力行使を可能にする憲法9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設を含む「改憲4項目」の議論の“呼び水”として提出されたもの。同改定案について、現行国民投票法にある最低投票率の問題や資金力で広告の量が左右される問題など民意を正確に反映させる点で重大な欠陥を放置しているとして、日本共産党は反対しました。
医療費窓口負担「2倍化法案」衆院可決 政府説明ボロボロ 徹底審議で廃案を
しんぶん赤旗 2021年5月12日
11日に衆院本会議で採決・可決された「高齢者医療費2倍化法案」(自民、公明、維新、国民民主の各党が賛成。日本共産党と立憲民主党は反対)。今後、議論の舞台は参院に移りますが、政府の法案説明はすでにボロボロです。75歳以上への医療費窓口2割負担の導入によって深刻な受診控え・健康悪化を引き起こす同法案は、徹底審議で廃案にするしかありません。
受診控え見込み
政府は衆院審議で、政令で2割負担の対象とする単身世帯「年収200万円以上」(課税所得28万円以上)、夫婦世帯「年収320万円」(所得が多い方が同28万円以上)について「負担能力がある」と繰り返してきました。しかし、負担できるなら起きない受診控えを見込んで、給付費を年1050億円(2025年度)も削減できると推計していたことが、野党側の追及で分かりました。
菅義偉首相は、受診控えの影響額も踏まえず「直ちに健康に影響しない」と無責任な答弁に終始。野党側が根拠を明らかにするよう再三求めると、厚生労働省が持参した各種研究論文では過去の窓口負担増で受診控え・健康悪化が起きた実態が示されていたのです。
特に同省が補助金を出した研究は、糖尿病は治療中断が失明など重度の合併症につながるため、負担軽減こそが必要だと提起していました。「健康に影響しない」などという答弁はまったくのデタラメです。
審議では、過去の負担増が平均寿命の押し下げにつながったという学識者の指摘や、受診控えの影響額は戦前の推計式で収入の違いを反映しておらず、より大きな抑制効果が出ることも明らかになっています。
政府は、窓口負担の月額上限制度(高額療養費)があるから“大丈夫”と言いますが、日々の受診時の負担は文字通り2倍化します。
現役も負担増に
「現役世代の負担軽減」という言い分はどうか―。本人負担の軽減はわずか月平均30円(22年度)。現在22歳の人を考えた場合、単純計算で74歳まで支払う保険料の軽減は平均で計1万8千円にすぎず、80歳まで生きれば窓口負担増は平均16万円です。現役も高齢者も負担増になるのが実態で、一番削減されるのは公費です。
田村憲久厚労相が「誰かが負担しなければならない」と居直る一方、参考人として意見陳述(4月20日)した日本福祉大学の二木立・名誉教授は「医療に受益者負担を適用すべきではない」として、税・保険料で「応能負担」を求めるべきだと強調しました。負担増は大企業・富裕層にこそ求めるべきです。(松田大地)
改憲許さぬたたかいさらに 国民投票法改定案 衆院可決
しんぶん赤旗 2021年5月12日
「(改憲の)手続きを議論することは、手続きの前提となる憲法改正の原案をどのようにつくっていくか、憲法改正の議論をさらに進めていかなくてはいけないという意味で、さらに憲法論議が活発になる前提ができた」
自民党の新藤義孝衆院憲法審査会筆頭幹事は、法案の衆院通過を受けて記者団にこう明言しました。自衛隊明記の9条改憲を含む「改憲4項目」の議論を進める狙いをあからさまに語っています。
菅義偉首相は国民投票法案の成立について「憲法改正に関する議論を進める最初の一歩」(3日、改憲派の憲法集会)と位置づけました。新藤氏は、今後の審査会での議論の進め方について、改憲議論と国民投票法の議論を「どちらかが先とか、一つずつ終わらせたら次に進むのではなく、常に二つの論点は進めていかないといけない」とも語りました。
「呼び水」として
もともと国民投票法案は、安倍晋三前首相が2017年5月に自衛隊の9条明記の改憲を提起するもとで、改憲論議を進める「呼び水」として提出されたもの。国民投票法改定案の衆院通過で、改憲勢力は9条改憲論議の推進へ執念をむき出しにしています。
自衛隊明記の9条改憲は、自衛隊を憲法上の存在に格上げすることで、違憲の疑いを逃れるための「集団的自衛権行使はできない」などの制約を廃し、海外での無制限の武力行使を可能にするものです。9条2項の戦力不保持規定の空文化が狙いです。
いま、自衛隊明記の9条改憲案は新たな危険な段階にあります。
米中対立が激化し、自衛隊が米国の戦争に巻き込まれる危険が強まっています。4月の日米共同声明では「台湾海峡の平和と安定」を日米同盟強化の文脈で強調。台湾有事に自衛隊が「コミット」する方向が合意されました。
「台湾有事」において米軍の軍事行動に自衛隊が加担する根拠は、2015年の安保法制=戦争法です。重要影響事態や存立危機事態を認定し、自衛隊が後方支援や集団的自衛権=武力行使に踏み出す危険があります。そうなれば沖縄や南西諸島が戦場となり破滅的事態となることは明白です。
武力行使が可能
自衛隊を憲法に明記することで、安保法制も含め、自衛隊の海外での武力行使を広く可能にすることが狙いなのです。
国民はこのような9条改憲を求めておらず、その議論の促進、実施のための国民投票法改定など求めていません。軍事対軍事の危険な悪循環ではなく、日本には9条に基づく平和的外交的解決を図る努力こそ求められます。
参院での審議を国民の世論と運動で包囲し、国民投票法改定案の強行を許さないたたかいを急速に広げるときです。(若林明)
国民監視 許さない 国会前 デジタル法案強行抗議
しんぶん赤旗 2021年5月12日
デジタル関連法案の参院内閣委員会での採決強行に抗議する行動が11日、参院議員会館前で行われました。参加者は、「デジタル監視反対」「許すな!『国民』監視」と書かれたプラスターを掲げてアピールしました。
NO!デジタル庁の宮崎俊郎さんは、個人情報を保護するのではなく、利活用の対象にして企業のもうけや国民管理のために使われるのがデジタル関連法案だと強調。「これは私たちの権利を守るたたかいです」と訴えました。
共通番号いらないネットの原田富弘さんは、マイナンバーのさらなる利活用や国民監視が狙われていると紹介。「この法案を認めるわけにはいかない」と話し、個人情報が守られる政治への転換を求めました。
総がかり行動実行委員会の高田健共同代表は、安倍、菅内閣の下で市民や社会に対する国家の統制が強まっていると指摘。「市民と野党の共闘を立て直し、総選挙で政治を変えよう」と呼びかけました。
共産、立民、社民の国会議員が参加。日本共産党の大門実紀史参院議員は、企業の持つ個人情報と国の持つ個人情報を合わせてさらに国民の一元管理、監視を強化する恐れがあると訴え、「最後までたたかいぬいて必ず廃案にしましょう」と語りました。
主催は、共謀罪NO!実行委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、NO!デジタル庁です。