2021年5月22日土曜日

米国は停戦を求める国際社会の努力に背を向けるな(しんぶん赤旗)

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスによる攻撃の応酬で、イスラエルとハマス20日夜、仲介役のエジプトが示した無条件の相互停戦案に合意し21日午前2時(日本時間同8時)に停戦が発効しました。
 ただし残念ながら終戦ではなく「停戦」であり、期間は決まっていません。
 10日以降続いた攻撃で、ガザではこれまでに232人、イスラエル側では12人が死亡し、その他にパレスチナ自治区ヨルダン川西岸も抗議活動が広がり、治安部隊との衝突で20人以上が死亡しました(合計 双方で260人以上の死者

 まだ停戦が決まらない20日、共産党の志位和夫委員長は談話「イスラエルは即時停戦に応じよ 米国は停戦を求める国際社会の努力に背を向ける姿勢をあらためよ」を発表しました。
 短いものですが問題の本質が分かりやすく示されています。
 そこでは今回の衝突の直接的なきっかけは、イスラエルが占領下の東エルサレムの旧市街近くでパレスチナ人居住者に迫った強制立ち退きであること、問題の根源は、イスラエルによるパレスチナ人に対する迫害、国際法違反の占領にあるとしています。
 そして事態を打開するには、イスラエルによる占領の継続と入植地の拡大を中止することが必要であり、中東和平をめざすうえで国際的なコンセンサスとなっている、(1)イスラエルの占領地からの撤退、(2)パレスチナ独立国家樹立を含む民族自決権の実現、(3)両者の生存権の相互承認 が必要であると述べています。
 それに対して米国は一貫してイスラエルに肩入れして、上記の国際的なコンセンサス」に反した言動を取っています。
 しんぶん赤旗の記事と東京新聞の記事を紹介します。

追記)イスラエルは1948年5月、英国がそれまで委託統治していたパレスチナの統治を諦めたのを機に人為的に設立されたため、そこに居住していた人たちは難民となりイスラエルの両側に設立されたパレスチナ自治区内に移住しました。
 イスラエルの西側境界と地中海に挟まれた狭小な土地がガザで、イスラム組織ハマスが実効支配しています。
 東側はイスラエル境界とヨルダン川に挟まれた相対的に広い土地で、そこには聖地エルサレム(旧市街地)が含まれています。イスラエルは1950年に広義のエルサレムの西側を軍事力で奪取し、1967年の第3次中東戦争で聖地である狭義のエルサレム旧市街地を奪取しました。
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イスラエルは即時停戦に応じよ 米国は停戦を求める国際社会の努力に背を向ける姿勢をあらためよ  志位和夫委員長が談話
                        しんぶん赤旗 2021年5月21日
 日本共産党の志位和夫委員長は20日、談話「イスラエルは即時停戦に応じよ 米国は停戦を求める国際社会の努力に背を向ける姿勢をあらためよ」を発表しました。

 一、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの武力攻撃で、病院を含む建物が次々と破壊され、子どもや女性をはじめ200人を超える市民が命を落とし、多数の新たな避難民が生まれている。日本共産党は、イスラエルが即時停戦に応じるよう強く要求する。
 また、イスラエルの占領政策を支援し、今回も国連安保理での停戦を求める声明の採択に反対している米国政府に対し、停戦実現への国際社会の努力に背を向ける姿勢をあらためるよう要求する。

 一、今回の衝突の直接的なきっかけは、イスラエルが占領下の東エルサレムの旧市街近くでパレスチナ人居住者に迫った強制立ち退きである。この国際法違反の行為にパレスチナ側が抗議するなか、ガザのイスラム組織ハマスがイスラエルに向けてロケット弾を発射し、これにイスラエルが圧倒的優位の軍事力を行使して、深刻な事態を招いている。
 民間人を犠牲にする無差別攻撃は、ハマスの行為を含め、いかなる理由であれ、許されない。
 同時に、問題の根源は、イスラエルによるパレスチナ人に対する迫害、国際法違反の占領にある。事態を打開するには、イスラエルによる占領の継続と入植地の拡大を中止することが必要である。

 一、日本共産党は、(1)イスラエルの占領地からの撤退、(2)パレスチナ独立国家樹立を含む民族自決権の実現、(3)両者の生存権の相互承認 という三つの原則を主張してきた。これらは、国連の一連の決議にみられるように、中東和平をめざすうえでの国際的なコンセンサスとなってきた。
 この原則にそって、国際社会が結束して取り組むことを、強く求める。

 日本政府は、2国家の平和共存によるイスラエル・パレスチナ問題の解決を支持してきた。日本政府として、即時停戦の実現に向け、イスラエル政府、米国政府双方に積極的に働きかけるよう求める。


イスラエルとハマスの無条件停戦が発効 10日からの攻撃応酬で260人以上犠牲
                          東京新聞 2021年5月21日
【カイロ=蜘手美鶴】イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスによる攻撃の応酬で、イスラエルとハマスが20日夜、停戦することで合意し、21日午前2時(日本時間同8時)に発効した。期間は決まっていない。10日以降続いた攻撃では、双方で260人以上の死者が出た。ロイター通信などが伝えた。
 仲介役のエジプトが示した無条件の相互停戦案に双方が合意した。イスラエルのネタニヤフ首相の内閣安全保障会議では全員一致で停戦案を支持。ハマスも合意し、「イスラエルが停戦を守る限り、(ハマス側も)合意を守る」と述べた。
 双方の攻撃が始まって以降、国際社会や中東諸国から停戦を求める声が強まっていた。イスラエルの同盟国である米国のバイデン大統領も12日以降、ネタニヤフ氏に計4回電話し、イスラエルの自衛攻撃に理解を示しつつも、停戦を促していた。
 20日も双方の攻撃は続き、パレスチナ保健省などによると、ガザではこれまでに232人、イスラエル側では12人が死亡。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にも抗議活動が広がり、治安部隊との衝突で20人以上が死亡した。
 イスラエル占領下の東エルサレムでは今月上旬以降、パレスチナ人とイスラエル側の衝突が続き、10日にイスラム教とユダヤ教共通の聖地にあるアルアクサ・モスクに警官隊が催涙弾を撃ち込んだことで、ハマスがエルサレムを攻撃。双方の衝突に発展していた。