菅首相は発足早々に「Go Toがコロナを拡大させたエビデンスはない」としてそれに走り出し、記者からの疑問に対して「約1年を経てコロナという病気の正体がほぼ分かった(要旨)」とも豪語しました。何が分かったのかは誰も聞いていませんが、コロナを甘く見たことは間違いありません。
菅政権が発足した去年9月16日のコロナ死者数累計値は1,472人でした。それが今月の22日には累計12,232人に、8ヵ月余りで実に10,760人も増加しました。
その間コロナについて菅政権は一体どんな対策をしてきたのか、何もして来なかった の一語に尽きます。
日本共産党の小池晃書記局長は22日、東京・目黒区内の街頭演説で、IOCのジョン・コーツ調整委員長による、緊急事態宣言下での五輪開催の表明に対し、「感染が拡大しても、医療崩壊をしていても、五輪をやるというのか。世論の8割以上が中止や延期を求めている。五輪さえできるなら、日本国民にどんな被害が出ても構わないと言わんばかりのコーツ氏の発言に断固抗議する」と表明しました。
一民間団体に過ぎないIOCは、オリンピックの莫大な放映権料が基本的な収入源なので、オリンピックが開かれないことには商売になりません。ですから現地でコロナの感染爆発が起きていて緊急事態であろうが何であろうが、「断固として開く」というのが至上命題です。
そうした営利団体の主張自体は分からなくはありませんが、それによって仮に日本で変異株が蔓延してどんな悲劇に陥ろうとも何一つ責任を負うことはありません。偏にそれは日本政府の責任に帰すものです。政府はその責任をどのように自覚しているのでしょうか。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
感染拡大しても医療崩壊しても五輪やるのか IOC副会長に抗議
小池書記局長「政府は中止決断を」
しんぶん赤旗 2021年5月23日
日本共産党の小池晃書記局長は22日、東京・目黒区内の街頭演説で、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長(調整委員長)による、緊急事態宣言下での五輪開催の表明(21日)に対し、「感染が拡大しても、医療崩壊をしていても、五輪をやるというのか。世論の8割以上が中止や延期を求めている。五輪さえできるなら、日本国民にどんな被害が出ても構わないと言わんばかりのコーツ氏の発言に断固抗議する」と表明しました。
小池氏は、「コーツ氏の会見には五輪組織委員会の橋本聖子会長も同席したが、抗議すらしなかった」と批判。「日本は独立、主権国家であり、IOCの下部組織ではない。身勝手なIOCに任せていたら国民の命が守れない」と述べ、「国民と都民の命に責任を持っているのは日本政府と東京都であり、今こそ『都民とアスリート・ファースト』『命ファースト』で五輪は中止し、コロナ対策に集中すべきだ」と訴えました。
演説を聴いていた男性は、「コロナの中で東京五輪はやるべきじゃない。優先順位が間違っている。自分は今17歳だから投票は1年先。いま投票できないのがもどかしく、悔しい」と語りました。
「宣言下でも可能」IOC副会長
しんぶん赤旗 2021年5月23日
国際オリンピック委員会(IOC))のジョン・コーツ調整委員長は21日、東京五輪の準備状況を確認する大会組織委貴会とのオンライン会合後に記者会見し、今夏に新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が日本国内で発令されている場合でも、7月23日開幕予定の五輪を開催する姿勢を示しました。コーツ氏は「世界保健機関(WHO)などから、緊急事態宣言下であってもなくても十分安全で安心な大会を開催できると助言を受けている」と理由を示しました。
組織委の橋本聖子故長も「医学的、科学学的な知見を結集して、安全安心の大会ができる努力をしていくのが私たちの考え。(国内の)医療に支障をきたさないように、どこまで徹底策を購じていけるかに尽きる」と述べ、コーツ氏に同調する見解を示しました。
コーツ氏はまた、日本国内で東京大会開催に反対する声が高まっている状況に関し、「ワクチン接種が(国内で)増えていけば、世論調査の結果も良くなっていくのではないか。もし(支持率が)改善しなければ安全な大会になるようにわれわれの仕事をやるだけだ」との認識を語りました。
「フェアな大会」前提崩壊 コロナで選手間に格差 予選出場できない国も
しんぶん赤旗 2021年5月23日
政府が「安心・安全」を呪文のように繰り返し、国際オリンピック委員会(IOC)が「緊急事態宣言下でも開く」と暴走する東京五輪。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は、各国選手の競技環境に大きな影を落としています。
過酷な感染が続くインドは深刻です。5月上旬、タイで五輪予選を兼ねたカヌーの大会がありました。しかし、インドは同国のコロナ入国制限国にあたるため、選手は入国も大会出場もできず、五輪の可能性が消滅しました。
4月にはインド国内の強化施設で陸上5選手の陽性が発覚。2018年アジア競技大会1500m優勝の強豪選手は、症状が回復した後も体力が戻らず、東京での活躍より来年を見据えて調整していると地元紙が報じています。
インド陸上競技連盟のアディル・スマリワラ会長は、「国内は猛暑に入り、ヨーロッパ諸国はインド人への検疫を課している。適切な練習場所を探すのも困難だ」と訴えています。
感染を抑え込む国にも影響が及んでいます。今月上旬、東京で行われた水泳・飛び込みの五輪最終予選で、オーストラリアは「現況を踏まえれば、公平で安全な五輪の予選は可能ではない」と全選手の出場を辞退しました。
3月のバドミントン・全英オープンでは、航空機の同乗者に感染者が出たため、インドネシアの全選手が途中棄権となりました。五輪本番でも、対戦相手やスタッフの陽性で、濃厚接触者となり、試合に出られなくなる可能性もあります。
パラリンピック出場予定の選手で、ドイツ日本研究所(東京)のバーバラ・ホルツス副所長は「世界が苦しんでいるパンデミックの最中に五輪を開催しないでほしい」と訴えます。
現状をみれば、世界の選手間に格差が生まれ、すでにフェアな大会になる前提は失われています。