2021年5月31日月曜日

31- ポンコツ首相は会見で吊し上げるしかない

 「ポンコツ」という言葉は相当昔に中古車をそう呼んだ新聞小説があって、それから普及したように思います。ネットで「ポンコツの由来・語源」を引くと、「役に立たないような人のことを呼ぶ」となっていて、その特性として「話を理解することができない」などが挙げられています。

 国会の答弁や記者会見で、聞かれたことに的確に答えられない菅首相はさしずめそう呼ばれるべきです。それにしても国会答弁の記録は末永く歴史に残るものなのに、全く恥ずかしげもないのはどうしてなのでしょうか。余程「国語」の力が劣っているからとしか考えられません。
 しかし国語力こそはあらゆる学問の基礎であると同時に社会生活上必須の基礎能力なのに国のトップがそんなことでいい筈がありません。安倍前首相がそうであったのに引き続いて菅首相もそうであるだけでなく、改善の兆候は全く見られません。

 そしてそんな状況が温存されたままなのは、偏にメディアが全く政権批判能力を喪失しているからです。そして記者会見でも、官邸が記者の「更問い」(答弁が不十分な場合に更に訊き直すこと)を禁じているからです。これでは「何でもいいから発言さえすれば答えたことになる」ということに他ならず、国語力が落第でもそのまま放置される状況が官邸によって作られたのでした。
 日刊ゲンダイが、「この顔とやり取りに国民の怒りと苛立ち ポンコツ首相は会見で吊し上げなきゃダメだ」とする記事を出しました。
 実際吊るし上げでもしなければ国会や首相会見時の「没論理」状態は改善されません。
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この顔とやり取りに国民の怒りと苛立ち 
    ポンコツ首相は会見で吊し上げなきゃダメだ
                       日刊ゲンダイ 2021年5月29日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 案の定、9都道府県に発令されている「緊急事態宣言」が、6月20日まで延長されることになった。もともと6月20日が期限だった沖縄県も含めて、飲食店の営業は引き続き夜8時までとなり、酒類の提供も禁止される。ルールを破った店舗には、30万円の過料が科せられる。
 しかし、いったい菅政権は、何度「緊急宣言」と「まん延防止等重点措置」を繰り返せば気が済むのか。東京都の場合、1月8日に2回目の「緊急宣言」が発令されて以降、「緊急宣言」と「重点措置」が繰り返され、当たり前の日常は、ほとんどない。しかも、いつ新型コロナの感染拡大が収束するのかメドさえ立たないのだから絶望的であるこの5カ月間、なにをやってきたのか。
 さすがに、国民の我慢も限界に達しているのではないか。政府の無策と、長引く自粛に、とうとうルールに従わない動きも出始めている。しかも、ルール違反に賛同する声が勢いを増している。
<「ルール破りしてごめんなさい」……酒提供で“通常営業”再開 居酒屋の迷いと決断>
 日本テレビが、酒類提供禁止のルールを破る居酒屋について報じると、ネット上には、共感と激励のメッセージが殺到した。
<居酒屋が謝る必要なんてない 謝って責任を取らなければいけないのは無能な政治家連中だ><ろくな補償もせず、ただオリンピックのために無理強いをする政府や東京都のやり方に異議を唱えるとともに、再開するお店屋さんを応援したいと思います>
 以前なら、少しでもルールを破ると「自粛警察」のターゲットになったものだが、怒りの矛先は、無能無策の菅政権に向いている状況だ。
「ここまで失敗を繰り返したら、国民が菅首相に苛立つのは当然です。国民に自粛をお願いするだけで、効果的なコロナ対策をまったく打とうとしない。水際対策に失敗し、PCR検査も拡大しようとしない。しかも、五輪開催だけは強行しようとしている。これでは新型コロナの感染拡大だってストップするはずがありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

国民の声に向き合う気がないのか
 度し難いのは、ここまで国民の怒りと苛立ちが強まっているのに、菅首相が国民の声にマトモに向き合おうとしないことだ。
 28日の会見でも、無表情に手元のメモを読み上げるだけだった。五輪開催の基準を問われても「国民の命と健康を守る」「対策を徹底する」などと、関係ない話を展開。「正面から答えてほしい」との要望にも一切応えなかった
 国民に5カ月間も不自由な暮らしを強いていることをどう考えているのか。なぜ、感染拡大を止められないのか。いつ感染は止まるのか。国民が聞きたいことは、一切語らなかった。
 これでは、国民が怒るのも当たり前だ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)は言う。
「国家が危機に陥った時、一国のトップに求められるのは、国民に誠実に語りかける『言葉』です。科学的根拠に基づき、都合の良いことも悪いことも正直に語れば、国民も納得します。本来、記者会見は、国民に語りかける絶好の舞台のはずです。なのに、菅首相は会見を嫌がっているのがミエミエです。恐らく、最初から国民と向き合う気がないのでしょう。これでは、国民の信頼を得られるワケがない」
 失敗を繰り返してきた菅政権に、また同じ対策を続けさせていいのか。

無策の責任を問う声はなし
 もし、欧米先進国だったら、菅は28日の記者会見で立ち往生していたに違いない。失敗を繰り返すトップが、国民の疑問に答えようともせず、記者会見を終わらせるなど欧米民主国ではあり得ないことだ。記者から質問攻めにあうのは間違いない。それもこれも、日本の大新聞テレビが権力に弱いからだ
 28日の会見でも、宣言延長を繰り返している責任を問う質問は一切なかった。どうして政治責任を問わないのか。
 菅政権に一言モノ申したい国民はゴマンといるに違いない。本来、会見に参加した記者は、そんな国民の代弁者のはずだ。なのに、「半導体確保に向けてどう取り組むか」などと、「緊急宣言」の延長と関係ない質問をして菅をアシストする記者までいるのだから話にならない。
記者クラブに所属する大手メディアは、官邸サイドが作ったルールに、がんじがらめにされている状態です。質問も1人1問に制限されているから、菅首相の答弁が見当外れでも、重ねて質問することができない。本当は、記者クラブがルールを作ればいいのですが、官邸と良好な関係を続けるために、官邸の意向に従っている。ルールを変えない限り、首相を立ち往生させることなど不可能です」(政界関係者)
 追及できない大メディアは、菅政権と共犯と指摘されても仕方がないのではないか。政治評論家の森田実氏が言う。
「戦後のメディアは、今とは比較にならないほど政権に手厳しかった。首相の対応がヒドイと、記者は会見をボイコットしたほどです。ロシアのプーチン大統領だって、会見で約4時間にわたって報道陣の厳しい質問に対応しています。ところが、今の日本の大手メディアは腰が引けている。本来、正面から答えない菅首相に『さっきの〇〇社の質問に答えていない』と何度も追及すべきです。そこまでしなければ国民は納得しません。ゴマすりメディアは、菅首相の横暴に加担しているも同然です」
 ポンコツ首相を会見で吊るし上げなければダメだ。

このままでは社会は荒廃
 このまま無能無策の菅政権に任せていたら、果てしなく「緊急宣言」と「重点措置」を繰り返すことになるのではないか。実際、東京五輪を強行開催したら、五輪終了後、変異株が猛威を振るう恐れがある。感染拡大が続けば、景気も回復せず、国民生活も悪化する一方だ。
 東京商工リサーチによると、コロナ関連破綻は、すでに1539社に達している。なんとか踏ん張っている飲食店やホテル、旅行、小売店も、資金が底を突き始めている状態だ。あと3カ月、半年と国民の自粛生活が続いたら、バタバタと倒産しておかしくない
 足元の失業率もジワジワと上昇している。4月の完全失業率は前月から0・2ポイント上昇し、2・8%だった。失業者は15カ月連続で前年同月を上回っている。
 最悪なのは、このままでは国民が疲弊し、社会が荒廃しかねないことだ。
「健全な社会は、いざという時、国家が助けてくれるという信頼感がなければ成り立ちません。信頼があれば、ギリギリの生活でも、国民はルールを守り、なんとか耐えられるものです。ところが“自助”を強調する菅首相は、国民に自粛を強いるだけで、手を差し伸べようとしない。国民に寄り添う気持ちが見えない。これでは、これまでルールを守り、我慢してきた国民だってバカらしくなりますよ。このまま菅政権が続いたら、日本社会は破壊されかねません」(五十嵐仁氏=前出)
 一刻も早くポンコツ首相を辞めさせないと、この国は取り返しのつかないことになる。