アントニオ・グテレス国連事務総長は、24日に開幕した世界保健機関(WHO)年次総会で、世界は新型コロナウイルス感染症との「戦争状態にある」と述べ、コロナ対策に必要な「武器(⇒ワクチン)」の不公平な分配に対し、戦時の論理をもって対処するよう呼び掛けました。
これについて東京スポーツ紙は、フランスのラジオ局「RTL」がローザンヌ大学教授でIOCの要職にもあったジャンルプ・シャプレ氏が、「参加者の安全が深刻に脅かされている場合には開催都市からIOCに対して開催を返上できる規定がある」(具体例:1940年に予定されていた東京五輪が日中戦争のため日本側から開催を返上)と指摘したことを伝え、日本のコロナ禍の現状が「戦時中」と認められれば、日本側から開催を中止できる権利があり賠償金も生じない筈と述べ、国連のトップが新型コロナ禍を「戦時中」との見解を公式に表明したことで、日本側が開催中止へ動ける強力な後押しになると報じました。
道理のあるもので政府を始め関係者は大いに参考にすべきです。しかし何しろ五輪開催こそが唯一の延命策であるとして、それに縋って思考停止に陥っている菅首相には効き目がないかも知れません。
そうした自己中心的な姿勢こそ「反日的」と呼ばれるべきでしょう。
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世界はコロナと「戦争状態」 国連総長、WHO総会で訴え
AFP=時事 2021/5/25
【AFP=時事】アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、24日に開幕した世界保健機関(WHO)年次総会で、世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との「戦争状態にある」と述べ、コロナ対策に必要な「武器」の不公平な分配に対し、戦時の論理をもって対処するよう呼び掛けた。
グテレス氏は総会の冒頭演説で、コロナ危機が「苦しみの津波」をもたらしたと非難。中国で2019年末に新型ウイルスが出現して以降、340万人余りが死亡、約5億人の雇用が失われたと指摘した。
グテレス氏は「最も弱い立場にいる人々が最も苦しんでおり、これが終わりからは程遠いことを危惧している」とし、「2つのスピードによる世界的な対応」による危険が続いていることを強調。「悲しいことに、私たちが今すぐ行動を起こさなければ、富裕国が国民の大部分にワクチンを接種し経済を開放する一方で、最貧国ではウイルスが流行し変異を起こして深い苦難をもたらし続けるという状況に直面する」と警告した。
【翻訳編集】 AFPBB News
東京五輪
賠償金なしでの開催中止に後押しか 国連事務総長がコロナ禍〝戦時見解〟
東京スポーツ 2021/05/24
国連のアントニオ・グテーレス事務総長(72)が新型コロナ禍を「戦時中」との見解を表明し、東京五輪の開催中止につながる可能性が出てきた。
フランスメディア「キャピタル」は、24日に行われた世界保健総会の開会式でグテーレス事務総長が「我々には戦時体制が必要だ」と呼びかけたことを大々的に報道。「我々はウイルスと戦争をしているんだ。戦時体制の論理と緊急性が必要だ」と続けて力説したという。
同メディアがこの発言に注目したのは、東京五輪への風向きが変わる可能性があるからだ。
「多くの専門家によると、新型コロナウイルスはアジアで公式発表よりもはるかに多くの命を奪っている。感染拡大の第4波に直面している日本は東京五輪があと2か月足らずで開幕するが、ワクチン接種の遅さが批判を浴びている。2回接種した人が米国では40%、フランスでは15%であるのに対して、日本はわずか2%だ」と日本の危機的状況を強調する。
日本はもちろん世界のコロナ禍がまさしく「戦時中」というわけだが、国連事務総長が公の場で表明したこの見解が持つ意味は大きい。
フランスのラジオ局「RTL」によるとスイス・ローザンヌ大学行政学教授で国際オリンピック委員会(IOC)の要職にもあったジャンルプ・シャプレ氏は「参加者の安全が深刻に脅かされている場合」には開催都市からIOCに対して開催を返上できる規定があると指摘しており、その具体例として1940年に開催が決まっていた東京五輪が日中戦争のため日本側から開催を返上した例を挙げている。
つまり、日本の現在のコロナ禍が「戦時中」と世界的に認められれば、日本側から開催を中止にできる権利があり賠償金も生じない。国連のトップが新型コロナ禍を「戦時中」との見解を公式に表明したことで、日本側が開催中止へ動ける強力な後押しになるのだ。
国連トップの異例の見解が開催中止へ一気に流れを変えるかもしれない。
渡航中止勧告、大会に影響も 米メディア報じる―東京五輪
時事通信 2021年05月25日
【ニューヨーク時事】新型コロナウイルスの感染状況を受け、米国務省が日本への渡航中止を勧告したことについて、米メディアは24日、開幕が迫る東京五輪に触れ、相次いで報じた。
米国で東京五輪の放映権を持つNBC(電子版)は、米疾病対策センター(CDC)が「日本に行かなければならない場合は、渡航前にワクチン接種を終えるように」と求めていると紹介。国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長が、安全な開催に自信を示していることも伝えた。
一方、CNN(電子版)は「開催に向けて、ますますハードルが高くなった」と報道。大会中止を求める署名が35万筆集まったことや、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が、開催は日本にとって「自殺行為」と述べたことを挙げた。日本でワクチン普及が遅れていることにも触れ、「米国とは対照的」と伝えた。
ブルームバーグ通信(電子版)は「大会開催への準備を国民と国際社会に納得させようとしている日本にとって、新たな打撃になる」と報じた。
米、日本への渡航中止勧告 ワクチン接種済みでもリスク 五輪委は参加前向き
時事通信 2021年05月25日
【ワシントン時事】米国務省は24日、新型コロナウイルスの感染状況を受けた各国の渡航情報を見直し、日本の危険度を最も高いレベル4「渡航してはならない」に引き上げた。東京五輪開幕まで2カ月を切る中、日本の感染状況に米国が厳しい目を向けていることを示した。
米疾病対策センター(CDC)は、国務省の渡航情報に合わせ更新した国別の新型コロナ情報で、日本について「ワクチン接種を完全に終えた者でも、新型コロナ変異株に感染したり拡散させたりするリスクがあるかもしれない」と指摘。「日本へ行かなければならない場合は、渡航前にワクチン接種を終える」よう求めた。五輪には言及していない。
国務省は4月、渡航情報にCDCの分析を反映させ、渡航中止勧告の対象を約150カ国に拡大した。その際、英国、フランス、ドイツなどが追加されたが、日本などはレベル3の「渡航を再考せよ」にとどまっていた。
東京五輪に関しては、バイデン大統領は4月の日米首脳会談の共同声明で、開催に向けた菅義偉首相の努力に支持を表明。サキ大統領報道官も今月19日の会見で「大統領は、公衆衛生の専門家の助言に従って安全に競技を開催しようとする菅首相の努力を引き続き支持する」と発言している。
ロイター通信によると、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、国務省の勧告を受けた声明で「USOPCと東京の組織委員会が選手とスタッフのために講じている感染防止策に加え、渡航前後と大会中の検査によって、米選手団が安全に参加できると確信している」と表明。米選手団の五輪参加に前向きな姿勢を示した。