2023年1月3日火曜日

03- 22年:アメリカ覇権の終焉を告げた年(マスコミに載らない海外記事)

 日本の政府は言うに及ばずマスコミや言論界にとって、米国はあたかも神聖にして冒すべからざる存在であるかのようです。実際に米国は第二次世界大戦後世界に対して覇権国家として君臨してきました。

 日本は米国に服従する点において極端でしたが、米国は日本に対してだけでなく、そうした服従を世界中の国々に要求しているのでした。
 ブログ:「マスコミに載らない海外記事」が「2022年:アメリカ覇権の終焉を告げた年」とする記事を出しました。
 2022年に勃発した最大の出来事はロシアのウクライナ侵攻で、いまもその真っただ中にあります。バイデンはロシアにウクライナ侵攻をさせるうえで決定的な役割を果たしましたが、米国の関与は決してその時点だけではなく、そこに至る入念な仕掛けに一貫して関わってきたのでした。
 その米国がやがて覇権を失うのは歴史の必然でしょうが、それは決して簡単なことではなく、多分その後もNATOのリーダーとして西欧における火種として長く君臨し続けるように思われます。
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2022年:アメリカ覇権の終焉を告げた年
               マスコミに載らない海外記事 2022年12月31日
           論説 Strategic Culture Foundation 2022年12月30日
                                              
 この一年ウクライナでの戦争で持ちきりだった。エネルギーや食料品の急騰する価格や他のグローバル危機はウクライナでの紛争の副次的被害だ。
 この紛争はヨーロッパの中心でロシアの戸口に局地化されたキーウの反動反ロシア政権が関与しているだけのものではない。この紛争はアメリカとそれが率いるNATO軍事同盟の同盟諸国とロシア間の歴史的対決だ。この対決が起きるのはとうの昔から分かっていた。
 それはこうした猛烈な法外な形で起きなくともよかった。
 ロシアは長年アメリカとNATO同盟諸国にロシア国境への同盟拡大は不適切で戦略的安全保障上の脅威だと警告していた。モスクワのこの警告は長年見過ごされてきた
 ほぼ一年前ロシアは以前受け入れらていた「個別の安全保障」の原則に基づいた包括的安全保障条約を主張して紛争を避けるため最後の外交的方法を提示した。この外交構想はワシントンとヨーロッパ同盟諸国に即座に却下された
 ネオナチを奉じるキーウ政権のそれ以上の軍国化は許容できないとモスクワは繰り返し警告していた。南東ウクライナのロシア語話者の人々に対する8年間の低強度戦争は終わらせなければならなかった。NATOによるウクライナ軍国化と、同盟候補としてもてはやされることはロシアにとって超えてはならない一線だった。その一線を越えると決めたのはアメリカとNATO加盟諸国だった。その場合軍事措置をとるとロシア大統領ウラジーミル・プーチン誓っていた。2月24日に始まったキーウ政権の軍事的無力化はその結果だった。

 起きているのはNATOとロシア間の準戦争だ。ウクライナはNATOの武器弾薬であふれていた。攻撃はロシア内深く行われ、ロシア指導部を暗殺し、モスクワに政権交代を要求するという欧米政治家や評論家連中の無謀なむかつくような話がある。
 ウクライナはアメリカが長年抱き続けたロシアを攻撃する帝国計画を放つ機会だったのは明白だ。ロシアの自然な富はワシントンの世界覇権野心で皆欲しがるものだ。ウクライナでの戦争はワシントンに部分的利益をもたらした。ヨーロッパはこれまで以上にアメリカ指導に従属させられた。ガスと兵器のヨーロッパへの販売は激しく揺れるアメリカ資本主義経済に役立った。第二次世界大戦の直後にNATO創設者構想した通り、アメリカが入り込み、ロシアを締め出し、ドイツ人(ヨーロッパ人)は抑え込まれたのだ。
 アメリカ/西欧とソ連/ロシア間の地政学関係は長い間緊張緩和のエピソードによって中断されていたと尊敬される碩学の故スティーヴン・F・コーエンが最後の著書「War with Russia? (ロシアとの戦争?)」で指摘した。
 1930年代、アメリカが最終的にソ連の主権を認めるのに同意して緊張緩和があった。その緊張緩和はナチスドイツを破るため便宜的同盟を生み出した。だが第三帝国が征服されるとすぐアメリカと同盟国イギリスは即座に冷戦として知られる敵意の新時代に移行した
 1960年代ジョン・F・ケネディ大統領任期中に核戦争による相互確実破壊の恐れに起因し緊張緩和が再開した。その後数十年にわたりいくつか画期的軍縮協定が交渉された。
 だが1991年ソ連崩壊後、アメリカはロシア連邦に対し素早く新たに帝国の尊大さと軽蔑方針をとった。唯一の超大国と完全支配という傲慢な概念が定着した。
 先の約束にもかかわらずアメリカとアメリカ軍の手先NATOは容赦なく、30年間にわたり加盟国を2倍以上にしてロシア国境を侵害した。ロシアを標的にする軍事演習や、ヨーロッパ中に新しいミサイル施設を設置し、軍縮協定を破棄し、意図的に旧ソ連共和諸国を取り込みは全て一つのことの兆しだった。ロシアは数十年前ナチスドイツが目的を実現できなかった形で征服されするはずだった。
 アメリカがモスクワに対して緊張緩和したりやめたりという手口は常に身勝手な便宜的ゲームだった。冷戦が終わったとされた後、尊重する必要があったロシアはもはや大国ではないというのがワシントンの体系的見方になった。ロシアは征服の標的だった。
 だが問題があった。ロシアは言う通りに屈服するのを拒否した。モスクワは戦略的安全保障を主張し、アメリカの野心を受け入れるのを拒否した。テロリスト代理人を使うアメリカ主導の政権転覆戦争から同盟国シリアを守る2015年末のロシア軍事介入は大胆な示威行動だった。
 戦争を解決する外交をモスクワが懸命に求めた時があった。だがワシントンはゼロサムで、勝者総取りという世界支配の野心は執念深く飽くことを知らないというのが今の認識だ。ワシントンとアメリカのうぬぼれが強いメディアはナルシシズムと美徳のふりが得意だ。彼らが「ルールに基づく世界秩序」について語る時、実際には常にうぬぼれて温和とされるアメリカ覇権下での本当の完全支配を意味するのだ。
 要するに、国はアメリカ帝国の権益に奉仕する属国か、攻撃と究極的には破壊の標的に定められる敵になるかのいずれかだ。
 戦略的権益の擁護にロシアが固執したことがアメリカ権力の愛想良い仮面の下の醜い顔を暴露した。それは単なる一年の終わりではなくアメリカ帝国とされるものの傲慢さの世紀の終焉だ。アメリカ権力の独善さは暴露された。世界の国々に対するワシントンの要求は服従だ。それは常にそうだったが、目には見えない形のものだった。
 アメリカ権力の極悪非道な本性はロシアと中国との益々狂乱する関係で、むき出しの野蛮さが今や明らかに見えている。
 ウクライナの砂の中のロシア戦線はアメリカ権力を下から支える暴力を曝した。その権力は国連憲章に基づく世界では持続不可能で不適格だ。ウクライナでの紛争は岐路だ。第二次世界大戦の灰の中、国際連合で構想されたような国際法と平等な関係に基づく多極世界が出現するか、あるいはワシントン帝国主義者のゼロサム覇権のため世界が戦争を運命づけられているかのいずれかだ。
 ロシアや中国や益々多くの国々は国際法に基づく平等な関係の多極世界を求めている。アメリカは例外的特権という幻想的概念を抱く、これまで以上に自称至上主義政権であることが暴露された状態だ。その主流政治条件の下のアメリカは多極世界にとどまれず、またそれを好まない。平和な関係の世界はワシントンにとって基本的に忌み嫌うものなのだ。それ故その戦争挑発の実績は史上他のどの国と比較しても傑出している。

 ウクライナでのロシアの抵抗は世界の戦争屋の正体をあばいた。その傲然とした姿勢はアメリカ覇権とされるものの終焉を告げている。
記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2022/12/30/2022-the-year-that-marked-end-of-america-hegemony/