2023年1月24日火曜日

薬も効かないという衝撃の報告 ~ (世に倦む日々)

 世に倦む日々氏が、現下のオミクロンコロナは東アジアに限定してパンデミックを引き起こしていることを明らかにし、ワクチンも効くはずがないと述べました。
 その当事者で、死者数で世界2位を占めている日本の岸田首相は例によってこの感染爆発を等閑に付していますが、あり得ないことです。
 コロナを5類に下げるという議論についても、いまはそれを前面に出すようなことではありません。
 この分野で米国至上主義で対応しているのも勿論間違いです。
 衝撃のレポートです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
薬も効かないという衝撃の報告 - 児玉龍彦と山中伸弥は閥を超えて協力を
                       世に倦む日日 2023年1月24日
最初に重大な情報を見つけたので、その紹介から始めたい。昨年12月8日に、「抗体薬、効果期待できず、オミクロン株BQ.1」という記事を産経が発していた。効果があると言われてきた飲み薬の「モルヌピラビル」「パキロビッド」が、新変異種BQ.1株には効果がないという実験結果が出て、東大医科研の河岡義裕らが米医学誌に発表していたのである。衝撃の事実だ。この報道はテレビで見た覚えがない。ほとんどの日本国民は知らないだろう。私の note の読者の皆様は、1月20日の報道1930をご覧になったはずである。久しぶりに倉持仁が登場した。番組の中で経口薬の話題も出て、薬があるはずなのになぜ第8波の患者は投薬に辿り着けないのだろうという議論がなされていた。

松原耕二が感染したのは昨年8月初旬である。4回目のワクチンを接種して3週間後のことだった。おそらく株はBA.5だろう。復帰した松原耕二が強調していたのは、ウィルスの増殖を抑える有効な薬が開発提供されているのに、発症から5日以内という縛りがあり、自分は制限時間を超えたため投薬治療を受けられなかったという遺憾の証言だった。多くの視聴者がそれを聞いて、コロナにはもう特効薬が準備され流通しているのだと理解し、5日以内に辿り着ければ大丈夫だという安心感を持っただろう。先週20日の放送を見たかぎり、松原耕二の認識はそのままであり、河岡義裕の報告は耳に入ってなかった様子である。第8波の主役であるBQ.1には薬は効かないのだ。厚労省はそれを知っているから、現行の経口薬を大量流通させないのだろう。

■ モルヌピラビルとパキロビッドが効かない
河岡義裕らの報告に接していなかった私は、なぜ政府は「モルヌピラビル」と「パキロビッド」を市中の薬局に大量流通させないのだろう、その手段で医療崩壊を予め防ぐことをしないのだろうと訝しんでいた。抗体検査キットと解熱剤を大量流通させ、NHKの報道を通じて国民一般に備えを促しているのだから、経口薬も薬局に置いて(厚労省の補助金で安く)購入させればよいではないか、そうすれば5日以内の縛りの問題もなくなるのにと不審に思っていた。だが、真相はどうやら違っていたのだ。今の経口薬はBQ.1の増殖を防げないのであるだから、厚労省はその措置を採らないのだろう。税金が無駄になるから。結局のところ、現在は薬のなかった2年前に戻っているのだ。そこから演繹すれば、薬が効かなくなるほど変異しているのだから、ワクチンが効かなくなるのも当然だという見当になる。

科学的には、そうした疑問を持つのは妥当だと言える。抗体薬として効果を認定されていたものが、その効能を失うほどウィルスが変異したのだから、同じ原理と法則はワクチンにも当て嵌まっておかしくない。だが、マスコミも政府も専門家も、河岡義裕の実験結果をワクチンに適用して類推することはなく、2価ワクチンの検証をすることはない。相変わらず、mRNAワクチンは感染予防の切り札とされていて、5回目、6回目の接種が奨励されている。高齢者も若者も、オミ株対応の米国製ワクチンを打てと勧告され、その効果を政府が保証している。重症化したのは接種を怠ったからだと理由づけしている。中国の感染爆発はmRNAワクチンがなかったからだと原因説明し、中国を貶め辱め、米国製ワクチンで防護された「民主主義陣営」の優越を宣伝して悦に入っている。

■ 韓国と台湾もオミクロン株に襲われて瀕死
前回の続きを書こう。オミクロン株と東アジアのファクターXの問題意識である。12月から1月にかけて日本と中国で感染爆発と医療崩壊が起き、空前のコロナ死者数が出る惨事となった。3年間のコロナ禍で(数字的には)最も凄絶で過酷な被害状況となった。さてそれでは、同じ東アジアの韓国と台湾はどうだったのだろう。実は、韓国と台湾も同じだったのだ。韓国・台湾も、2022年にオミクロン株によって猛烈な打撃を受け、過去2年間になかった死者数を出し、それまで世界から評価された「コロナ対策優等生」の看板を外さざるを得ない事態に直面していた。日本のマスコミが正しく焦点を当てて注視しなかったため、われわれにはその認識がない。われわれは、22年は世界中でコロナ禍が一段落したという、安易で誤った認識になっている。

韓国は、昨年3月に感染者数1日62万人、死者数1日470人という恐ろしい地獄を経験している。人口比で日本に置き直せば、1日の感染者数151万人、1日の死者数1150人の勘定になる。原因はオミクロン株である。この時点で、韓国は国民の87%が接種を終了し、67%がブースター接種も済ませていた。時間的に、株の種類はBA.1かBA.2だろう。日本では報道されなかったが、3月9日に行われた大統領選でそれまで与党だった革新系の候補が敗北したのは、このオミクロン禍の影響が小さくない。親米保守政権が誕生したことにより、韓国ではここで対コロナ政策も転換され、ゼロコロナの「K防疫」が否定され、mRNAのワクチン接種を軸にして経済活動を優先するウィズコロナへと舵を切った。「自由民主主義陣営」の「世界標準」の防疫体制に切り替えた。

■ 東アジアの惨状を無視してオミ株禍を過小評価したWHO
台湾は、昨年6月に最大の危機に遭遇、感染者数1日8万3000人、死者数1日124人を記録している。台湾の人口は2300万人で日本の18%なので、日本に換算すると1日の感染者数46万人、1日の死者数690人の水準になる。株は韓国と同じBA.2だろうか。台湾でBA.5が初めて検出されたのが7月だから、それ以前のオミ株の感染となる。台湾も韓国と同じく、21年まではゼロコロナの模範国だったが、22年4月頃からウィズコロナに転換し、コロナによる膨大な死者数を出しながらコロナと共生する路線を選んだ。2月にウクライナ戦争が始まり、台湾有事を控えた情勢の中で、蔡英文がアメリカに追随する防疫体制にしたのだろう。中国と同じ防疫政策では具合が悪く、何もかもアメリカの言う「世界標準」に準拠しなくてはならないのである。

かくの如く、韓国、台湾、日本、中国と、2022年は東アジアの諸国で過去にない感染爆発が起き、重大な被害を蒙った年だった。東アジア諸国のコロナ死者数は、2022年から23年1月にかけての数がほとんどを占めている。コロナ禍3年目の2022年は、東アジアがウィルスの標的になり餌食となった1年だった。欧米はオミクロン株による蹂躙を免れた。2月に起きたウクライナ戦争により、欧米の注目と関心はそちらに集中し、その欧米の関心が世界の関心として固定づけられ、WHOもそうした西側報道に引き摺られたため、コロナ禍の被害は世界から消えたような錯覚に陥ったのだ。けれども、3年目の主役のオミクロン株は東アジアで猛威をふるい、東アジアで死屍累々の悲劇を現出させた。中国での感染者数の推計は9億人。この数は、22年8月までの世界の感染者数累計6億人をはるかに超える。

■ mRNA2価ワクチンへの疑問を言えない世界
韓国と台湾のデータは、前回の記事で上げた「オミクロン株のファクターX」の仮説を補強する材料と言える。2022年の東アジアでのオミクロン株は、2021年のインドのデルタ株に匹敵する悪魔だった。オミクロン株は弱毒性と言われているが、中国の今回の死者数を正確にカウントすれば、2021年のインドの死者数と同程度となっておかしくない。2022年の韓国・台湾・日本で使われたワクチンは、ファイザー・モデルナのmRNAワクチンである。有効とされたブースター接種の後でオミクロン株の襲来を受け、韓国・台湾・日本では阿鼻叫喚の地獄となった。救急搬送体制が不全化し、病床が満杯となり、患者を自宅か施設に押し込めたまま臨終させた。マスコミはその科学的事実に目を向けない。明らかに、疑問として浮上するのは、mRNAワクチンが東アジア人にオミクロン株の抗体を必要十分に作り得たのかという問題だ。

mRNAの2価ワクチンはオミクロン株に効いていない。少なくとも東アジア人のオミクロン株の感染予防には役立たなかった。成分が不十分だったか、ウィルスの変異のスピードが速く、治験の時間がなく、製品対応が間に合わなかった点が原因だろう。そのことをWHOは気づいているはずだし、FDAも、ファイザー・モデルナも了解しているに違いない。だが、真実を言わないのは、言えばアメリカの威信が崩れるからであり、アメリカが行っている「中国との競争」なり、「民主主義と専制主義との戦い」に悪影響を及ぼすからである。政治的理由だ。現在、コロナ防疫は世界の安全保障の問題になっていて、アメリカ主導の下で万事が仕切られ、子分たる同盟諸国の政府と研究者とマスコミはアメリカに従うしかない環境に固まっている。だから、ワクチンに疑問を向けると「陰謀論者」とされ、無条件に魔女狩りの刑を受ける。今、WHOはジレンマの中で戦々恐々に違いない

■ 児玉龍彦と山中伸弥はナショナルチームを
本当は、アメリカと中国が仲良く協力すればよいのである。中国はゲノム解析に能力を発揮するスパコンを持っている。アメリカが中国と情報を共有し、変異の速度に負けない解析と探知の研究体制を築けば、アメリカ単独でワクチン開発するよりも素早く変異に追いつける。欧米だけでなくアジア・アフリカの人種民族の免疫属性に対応したワクチンを開発できる。アメリカだけが「開発権」を独占するのはナンセンスの極みで、英米だけをコロナ知見の権威と見なすのは愚の骨頂だ。そうした後ろ向きで帝国主義的な政治を進めているから、武田邦彦のような陰謀論が「説得力」を持って浸透するのである。本来なら、山中伸弥のような著名な日本人科学者が、アメリカと中国を橋渡しし、コロナ防疫で協力する関係に仕向けないといけないのだろう。それがないのは残念なことだ。天国で手塚治虫はどんな目で下界を見ていることだろうか。

アメリカと中国の関係の問題だけではない。日本の中にも妙な壁がある。タコ壺の弊がある。具体的に言えば、東大の児玉龍彦と京大の山中伸弥だ。閥を感じる。閥で隔ててコロナ問題に取り組んでいる。学閥の存在と角逐が学問や科学にとって必ずしもマイナスというわけではないが、国民の立場からすれば、ここは閥の垣根を取り払って協力し合い、ナショナルチームの責任あるアカデミーを組むべきだろう。山中伸弥のファクターXの着想と国際的知名度と、児玉龍彦のゲノム解析の知見と洞察力が組み合わされば、そしてそこに倉持仁や岡秀昭や鹿野晃や相良博典らの現場臨床医の経験判断の蓄積とサポートが加われば、アメリカに負けない対コロナ科学力を日本が持ち得るのではないか。理Ⅲ⇒東大医学部はひたすらプライドが高い。一方、ノーベル賞は京大だという伝統と自負と結界がある。庶民から見て空しい。閥を超えて対話して、知見と発想と資源を交換し合ってもらいたい。

ファウチが23日のNHKのNW9で語っていたように、未だ世界はコロナ禍の真っ只中にある。パンデミックは終わっていない。釜萢敏も、第8波について「分からないところが多く、まだエビデンスを持っていない」と言っている。要するに、われわれはまだコロナについて何も正体を掴めていないのだ。ウィルスの予測不能な変異は今後も続く可能性が高く、どの地域(人種民族)がどういう新変異種で壊滅的な打撃を受けるか分からない。mRNAワクチンを6回7回8回接種すれば、感染や重症化を確実に回避できるわけではない。その保証はない。今の米国製ワクチンは、逆に打てば打つほど免疫を弱め、予防効果を薄める疑いを拭えず、このままだと、3か月に1回、2か月に1回という滅茶苦茶な頻度の接種が要請されることになるだろう。しかも、5類移行の場合は有償で。