岸田内閣による憲法無視の軍備増強と戦争への準備は余りにも極端ですが、歴代の自民党政府は米国のいわゆるジャパン ハンドラー(とそれに呼応する日本国内の安保で喰う人たち)の策動によって、1995年以降着実に憲法9条と相容れない戦争する国家に変貌させて来ました。
櫻井ジャーナルがこの間の経過を簡単にまとめるとともに、米国にいざな(誘)われて中国との戦争を目指す国になったことを憂いる記事を出しました。
併せてウクライナ戦争の近況を伝える記事を紹介します。
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ウクライナ問題で憲法無視、ナチズム容認、言論や信教の自由否定の日本人の将来
櫻井ジャーナル 2023.01.11
岸田文雄内閣に限らず、日本政府は憲法を無視して軍備を増強、戦争の準備を進めている。そうした流れが鮮明になったのは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表された1995年から。1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成されて「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになり、「周辺事態法」が成立した99年にはNATOがユーゴスラビアを先制攻撃した。
2000年にはナイとリチャード・アーミテージのグループによって「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」も作成された。この報告は武力行使を伴った軍事的支援を日本に求め、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張する。「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」というのだ。
そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、人びとがショックで茫然自失になっている間にジョージ・W・ブッシュ政権は国内で憲法の機能を麻痺させ、国外では侵略戦争を本格化させる。
アメリカはアフガニスタンに続いてイラクを先制攻撃するが、それに合わせて小泉純一郎政権は2002年に「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出された。小泉政権は自衛隊をイラクへ派遣する。
2004年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明、05年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」は放棄された。そして2012年にアーミテージとナイが「日米同盟:アジア安定の定着」を発表している。
1992年2月にアメリカの国防総省で作成された「DPG草案」は世界制覇プランでもあった。その時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。その草案はウォルフォウィッツを中心に作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。そのドクトリンに基づいて日本も軍事政策を作成した。
世界を制覇するためには中国とロシアを屈服させる必要がある。アメリカは1991年12月にソ連が消滅してからNATOを東へ拡大させ、ロシアへ迫った。新たなバルバロッサ作戦を始めたとも言える。ウクライナを制圧すればその先はロシアだ。
そのウクライナで2010年に大統領選挙があり、東部や南部を支持基盤にするビクトル・ヤヌコビッチが勝利する。この地域はソ連時代にロシアからウクライナへ割譲されたこともあり、住民の多くはロシア語を話し、東方正教会を信じていた。ロシア文化圏に含まれるとも言えるだろう。ドンバス(ドネツクやルガンスク)では90%以上がヤヌコビッチに投票している。
この結果をアメリカのバラク・オバマ政権は嫌う。2010年7月に国務長官のヒラリー・クリントンがキエフを訪問、ヤヌコビッチに対してロシアとの関係を断ち切り、アメリカへ従属するように求めたが、ヤヌコビッチに拒否される。
そこでオバマ政権はステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチを使ったクーデターでヤヌコビッチ政権を倒すことに決定、その計画は2013年11月に始動する。ネオ・ナチはチェーン、ナイフ、棍棒を手にしながら石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、スナイパーを使って広場にいた警官や住民を射殺、その責任を政府になすりつけた。2月22日にヤヌコビッチ政権は倒される。
オバマ政権は2010年に中東から北アフリカにかけての地域で体制転覆プロジェクトも決定している。そして始められたのが「アラブの春」で、2011年春にはリビアやシリアへの侵略戦争を始める。その工作で傭兵として使われたのがムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)、いわゆるアル・カイダ系の武装集団だ。
アメリカ/NATOはウクライナを支配するためにクーデターを実行、反クーデター派を殲滅するために話し合いを装って軍事力を増強、オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンが大統領になった2021年からロシアに対する軍事的な挑発を強めた。
アメリカを後ろ盾とするウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアとの関係修復を訴えて当選したが、就任するとロシアを敵視する政策を推進、ロシア語の使用を制限し、ロシア語系住民の弾圧を進める。さらに野党を禁止、自分に批判的なメディアを閉鎖、東方正教会の活動を禁止した。
日本にはウクライナのクーデター体制を支持する人が少なくないようだが、それは憲法を無視した政権転覆やナチズムを肯定、言論や信教の自由を否定することを意味する。アメリカの戦争マシーンの一部として日本は進もうとしているが、その過程で憲法は無視され、言論や信教の自由はこれまで以上に認められなくなるのだろう。その先には中国やロシアとの戦争がある。明治維新後と似た道を進んでいる。
ワグナーG:ウクライナ軍の地下要塞があるソレダルをロシア軍が制圧した
櫻井ジャーナル 2023.01.11
ロシアの傭兵会社ワグナー・グループの部隊によると、ウクライナ軍が岩塩の採掘現場に築いた「地下要塞」があるソレダルを制圧、掃討作戦を展開中だという。ウクライナ軍の現地部隊は撤退が許されていないようで、多くの死傷者が出ているようだ。
ここに限らず、ウクライナ軍は「玉砕戦法」を繰り返してきた。昨年11月30日に欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長はウクライナの将校(将兵?)10万人以上が戦死したと語ったが、これはロシア側の推定とも合致する。
アメリカ/NATOはウクライナへ兵器を供給、兵士を訓練、軍事情報を提供、アメリカやイギリスは自国の特殊部隊を戦闘のために潜入させていると言われている。ポーランドやバルト諸国からも戦闘員が来ているようだが、ウクライナ兵の死傷者が多く、45歳以上の男性だけでなく子どもが兵士として投入されていると伝えられている。
ウクライナのネオ・ナチは2014年2月のクーデター直後から年少者に対する軍事訓練を始めていた。その時に13歳だった少年少女はミンスク合意で稼いだ8年間に21歳に成長しているが、それでも足りなくなっていることになる。富裕層を除き、ウクライナから若い男性がいなくなりそうだ。
ウクライナ軍/親衛隊の敗北が決定的になっていた昨年4月5日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は自国を大きなイスラエルにすると宣言している。自分たちに都合のいい人びとを移住させるつもりなのかもしれない。