2023年1月29日日曜日

僅か1週間の検討でコロナを第5類に 公的責任後退 医療体制強化こそ

 岸田政権は27日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを正式決定しました移行は5月8日)。
 これは専門家に検討を依頼してから僅か1週間のことで拙速の誹りを免れません。
   ⇒(1月28日)新型コロナ「5類」で東京都が本当に心配していること
 岸田首相は、同日の厚労相諮問機関感染症部会で引き下げが了承されたことを根拠にしていますが、同部会では委員から懸念の声が相次ぎ谷口清州・国立病院長は「1年に3回も流行を起こし、そのたびに医療体制が逼迫する疾患を5類に当てはめていいのか」コロナ診ない施設が増えるリスクもある」と述べ、釜萢敏・日本医師会常任理事、山田章雄・東京大学名誉教授も、危険な変異株が出た場合の対応の難しさなどに触れ、本来は新型コロナに特化した類型をつくるべきだと主張しました。
 こうした点をクリアした後でなければ変更すべきではないのですが、それが何もないまま国民の生命に直接関係する事柄がまたしてもズサンなやり方で進められようとしています。

 共産党の田村智子政策委員長は27日記者会見し、政府の決定について「医療提供体制の強化が求められているときに、国の責任を後退させていくことは認めるわけにいかない」医療体制に関する具体策は何も示されていない「5類への移行は、医療に対する公的な財政措置をやめていくことに他ならない」類型の変更ではなく、医療提供体制をどうするのかを示すべきだ」と批判しました。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。

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コロナ5類 政府決定 検討指示からわずか1週間 公的責任後退の姿勢
                       しんぶん赤旗 2023年1月28日
 岸田政権は27日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを正式決定しました。移行は大型連休明けの5月8日の予定です。専門家への検討指示からわずか1週間。1日当たりの死者数が依然高止まりするなか、公的責任を後退させる姿勢を改めて示しました。

 現在は2類以上の対応が可能な「新型インフルエンザ等」に分類され、感染者の全数把握や、医療機関や感染者への公的支援などの根拠となってきました。岸田文雄首相は同日の政府の対策本部で、治療費の公費支援について「期限を区切って継続する」と表明。3月上旬をめどに具体的な方針を示すとし、段階的な縮小・廃止を明確にしました
 マスクの着用は「屋内・屋外問わず個人の判断を基本とする」としました。
 新型コロナの感染力は季節性インフルよりはるかに高く、昨年末からの第8波では感染者数の急増で医療体制が逼迫(ひっぱく)し、1日当たりの死者数が500人を超える日もでています。
 岸田氏は、同日の厚生科学審議会(厚生労働相の諮問機関)感染症部会で引き下げが了承されたことを根拠にしています。しかし、同部会では委員から懸念の声が相次ぎました
 谷口清州・国立病院機構三重病院院長は、5類では国民の自助努力が基本になるとし「1年に3回も流行を起こし、そのたびに医療体制が逼迫する疾患を5類に当てはめていいのか」と指摘。政府が5類化で医療の担い手が増えるとしていることにも、コロナ専用病床を一般病床に戻す動きが出るなど「診ない施設が増えるリスクもある」と語りました。
 釜萢敏(かまやち・さとし)・日本医師会常任理事、山田章雄・東京大学名誉教授も、危険な変異株が出た場合の対応の難しさなどに触れ、本来は新型コロナに特化した類型をつくるべきだと主張しました。


新型コロナ「5類」引き下げ 国の責任後退させるな 田村氏「医療体制強化こそ」
                       しんぶん赤旗 2023年1月28日
 日本共産党の田村智子政策委員長は27日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する政府の決定について「医療提供体制の強化が求められているときに、国の責任を後退させていくことは認めるわけにいかない」と主張しました。
 田村氏は、新型コロナ第8波のもとで、死亡者数が過去最多を更新し、医療崩壊や高齢者施設での集団感染の多発など深刻な事態が続いていると指摘。医療体制を抜本的に強めることが今一番問われているにもかかわらず、医療体制に関する具体策は何も示されていないと述べました。
 医療現場ではすでに困惑の声が上がっているとして、「5類への移行は、医療に対する公的な財政措置をやめていくことに他ならない」と批判しました。

 田村氏はまた、新型コロナはインフルエンザよりも感染力が強い上、後遺症の問題もあり、高齢者の致死率等を見ても「季節性インフルエンザと同等といえるのかという疑問がある」と指摘。感染を広げないためには病院の外来などで発熱した人の動線を区別するための財政措置などが求められるとして「(政府は)医療現場の実態を見ていないと言わざるを得ない。類型の変更ではなく、医療提供体制をどうするのかを示すべきだ」と求めました。