愛知県警岡崎署の留置場で勾留中の男性(43)が死亡した問題は、4日で発生から1カ月が経ちました。男性は両手両足を戒具で長時間にわたり拘束され、蹴るなどの暴行を受けた疑いがあるほか、複数の署員が横たわる男性を足で動かしたり、ベルト手錠を持って引きずる様子などが監視カメラに映っていました。男性は糖尿病を患っていましたが投薬も怠っていました。
こうした対応について園田寿・甲南大名誉教授は、「事実であれば、警察官らによる職務上の暴行行為などを禁じた特別公務員暴行陵虐罪に十分該当する」と指摘します。
暴行陵虐罪とは聞くだにおぞましい言葉ですが、全く抵抗できない状態の人間を複数の署員が長時間にわたって虐待して死に至らせたものです。決して身内に甘く対処することなく、厳格に調査の上 厳正に処罰すべきです。
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違反行為が次つぎ判明 愛知県警署員らの立件視野 勾留男性死亡から1カ月
しんぶん赤旗 2022年12月4日
愛知県警岡崎署(同県岡崎市)の留置場で勾留中の男性(43)が死亡した問題は4日で発生から1カ月。男性は長時間身体を拘束され、蹴るなどの暴行を受けた疑いがあり、他にも署員らの法令や内規に違反するとみられる行為が次々と明らかになりました。県警は全容解明に向け調査を急ぐとともに、特別公務員暴行陵虔容疑などでの立件も視野に調べています。
拘束は140時間
男性は昨年11月25日に公務執行妨害容疑で逮捕され、岡崎署に勾留されました。留置場で暴れるなどしたため、左右の手首を腰に固定するベルト手錠と捕縄の「戒具」で両手足を拘束され、28日に保護室に移されました。12月4日未明に室内で動かなくなっているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されました。
刑事収容施設法は、自身や他人を傷つける恐れがある場合などに戒具の使用を認めています。県警は内規で使用は必要最小限とし、対面で監視するなどと定めていましたが、男性への使用は連続約110時間、延べ140時間以上に及び、監視も強化されませんでした。
保護室の監視カメラには、幹部を含む複数の署員が横たわる男性を足で動か。し、ベルト手錠を持って引きずる様子などが映っていました。
医療対応怠る
男性には精神疾患があり、父親は署に繰り返し入院を求めていました。亡くなる5日ほど前から食事を拒み、水分補給も不十分だったとみられます。署員らは糖尿病の持病も把握していましたが、投薬などを怠っていました。
こうした署員らの対応について、園田寿・甲南大名誉教授(刑法)は「事実であれば、警察官らによる職務上の暴行行為などを禁じた特別公務員暴行陵虐罪に十分該当する」と指摘します。同罪には精神的・肉体的に辱めたり苦痛を与えたりすることも含まれるといいます。
勾留男性死亡を巡る経緯
11月25日 愛知県警岡崎署が公務執行妨害容疑で男性逮捕
28日 男性を保護室に収容 男性の父親が署に病状説明、入院を要望
30日 父親と福祉関係者が再び入院求める
12月 4日 男性が死亡
.. 9日 県警、死因と戒具使用を公表
13日 県警調査チーム発足
16日 特別公務員暴行陵虐容疑で同署を家宅捜索
26日 留置場を検証。戒具など押収