しんぶん赤旗連載の「秘密保護法案Q&A 6」は、「身辺調査で国民監視」です。
行政機関の職員だけでなく、民間人も調査の対象になり、本人にとどまらず家族や父母、子ども、兄弟、配偶者の親族、同居人も対象になり、広い範囲でプライバシーがおかされます。
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身辺調査で国民監視
しんぶん赤旗 2013年10月14日
Q: 秘密保護法案では国民への身辺調査を行うのですか?
A: 政府の原案では、「秘密」にたずさわる人物が漏えいする恐れがないかを調べる「適性評価」として、身辺調査を行うとしています。
民間人も対象に
適性評価は、行政機関の職員だけでなく、民間人も対象となります。例えば軍事や原子力にかかわる企業の社員や、共同研究などを請け負った大学の研究者らに対しても身辺調査が行われることが考えられます。
政府原案では、(1)「特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項」(2)犯歴や懲戒歴(3)情報の取り扱いについての非違歴(4)薬物の影響(5)精神疾患(6)飲酒(7)信用情報や経済状況―について身辺調査するとしています。
身辺調査は、本人にとどまらず家族や父母、子ども、兄弟、配偶者の親族、同居人も対象としており、多くの市民のプライバシー情報を侵害します。調査のために、例えば病院や金融機関などに照会することも可能です。
調査で具体的にどんなことを聞くのか―。手がかりになるのが、国の行政機関で2009年から行われている「秘密取扱者適格性確認制度」です。
本紙が入手した「身上明細書」と書かれた防衛省・自衛隊の内部文書(本紙3月15日付既報)では、プライバシー侵害の実態が明らかになりました。
同明細書は、「適格性確認制度」に基づいて、調査対象の自衛隊員に19項目にわたる個人情報をたずねています。このなかで家族や親族、知人の職業や勤務先の記入が求められ、知人にいたっては「交友交際の程度」を回答しなければなりません。
自衛隊に情報が
記入方法のマニュアル文書には「記入に際しては、本人に問い合わせて確認してはならない」としており、本人の知らないところで個人情報が自衛隊に知られることになります。
「所属団体」については「政治、経済等の団体及び出身学校関係の親睦団体からスポーツクラブその他あらゆるものについて、現在過去問わず記入する」としています。思想信条の自由を侵すだけでなく、「秘密」と無関係の国民の活動を監視するものといえます。