しんぶん赤旗連載の「秘密保護法案Q&A 5」は、「国会議員まで処罰」です。
国権の最高機関であり国政調査権を持つ国会に対し、政府は秘密会を要求でき、そこで知った秘密を議員が漏洩すると懲役5年の処罰を受けることになります。これでは国会を中心とした民主的政治運営が、行政と官僚が支配する「専制」へと逆転しかねません。
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国会議員まで処罰
しんぶん赤旗 2013年10月11日
Q: 秘密指定された情報は、国会ではどのように扱われるのですか?
A: 国会は主権者国民の代表機関であり、国権の最高機関、唯一の立法機関(憲法41条)です。したがって国会には、行政機関が保有する専門的な情報を広く集めて、法案をつくり、それを審議し、行政を監督する活動の基盤とすることが当然求められます。
そのために憲法は、衆参両院に対し国政調査権を保障しています(62条)。それは、少数党が政府・与党を追及、批判することを通じて、国民の知る権利にこたえる重要な役割を果たすものでもあります。
議会政治がマヒ
ところが、秘密保護法案は、秘密を国会に「提供」する前提として、非公開の秘密会であることを要求。国会に提出する場合も、国民の目には触れないという「制限」を課しているのです。秘密会の開催には3分の2以上の議員の賛成が必要なので、これをクリアできなければ、国会には出さないでよいということになります。
その上、秘密会で知った秘密を漏えいした場合には、国会議員さえも懲役5年の処罰を受けるとしています。
これでは、秘密会に参加した国会議員が、自分の所属する政党に持ち帰って議論することも、専門家に意見を聞くこともできなくなります。これでは当たり前の議会政治、政党政治がマヒしてしまうことになります。
重要情報出ない
驚くべきことに、これだけ国会に対する制約を課したうえで、行政機関の長がなお「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼす」と判断すれば、結局“秘密”を公開しないとしているのです。これでは、多数派と行政の判断一つで、国会に重要情報がまったく出てこないことになります。
国会議員には、議院における発言について院外で責任を問われないという免責特権が与えられているので、秘密会で知りえた秘密を国会活動の中で提示しても処罰することはできません。そうなると刑罰の脅しも限界があるため、行政機関の判断で結局、「提供」しないこととしているのです。
国会中心の民主的政治運営が、行政と官僚が支配する「専制」へと逆転しかねません。