昨年末の総選挙で自民党は、農産品重要5項目の関税の「聖域」は守ると公約し、安倍首相が今年3月に党内の反対を押し切ってTPP交渉参加を表明したときにも、5項目の「聖域」は絶対に守ると宣言しました。
しかし自民党の西川TPP対策委員長は6日、バリ島で記者団に対し「5項目の中で関税維持から抜けるものがあるかどうか、品目ごとの検討はしなければいけない。党幹部と相談しながら関税撤廃検討のピッチを上げていく」と説明しました。
そして10日行われた自民党TPP対策委員会でも、関税撤廃の品目の検討に入ることが了承されました。
早くも党レベルでも 「聖域」の取消し=「公約」の取消し へと進み出しました。
後退につぐ後退、留まるところを知りません。
また10日夜にはTPPの関係閣僚会議が開かれ、安倍首相は、「残された課題は多いが、TPPは国家100年の計であり、年内の交渉妥結に向けて、日本が主導的な役割を果たしていくべきだと考えている」と述べ、年内の交渉妥結に向けて関係閣僚が連携して取り組むよう指示しました。
一体なぜ「年内」なのでしょうか。何が「国家100年の計」なのでしょうか。よくもそうした空疎な言葉が口から出るものです。
一旦締結したが最後、全ての参加国の了承がない限りいつまでも変更はできないというこの協定が、日本に「100年たたる」ことの自覚はあるのでしょうか。
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「聖域」品目ごとに検証 自民方針 関税撤廃可否を判断
東京新聞 2013年10月11日
自民党は十日、環太平洋連携協定(TPP)対策委員会の会合を開き、政府がTPP交渉で関税を守る「聖域」としてきたコメなど農産物五項目を細かく分類した五百八十六品目の中で、関税撤廃できる品目があるかどうか検討する方針を決めた。十一月中には撤廃可能な品目があるかどうかを判断し、党として関税自由化率をまとめる。
会議では、TPP交渉の首脳会合が行われたインドネシアで品目の関税撤廃を検討する考えを示した西川公也(こうや)・TPP対策委員長が発言の真意を説明した。
西川氏は「関税撤廃が前提ではない」と釈明。一方で、政府が年内妥結に向けて交渉を進めていることから「(妥結の)一カ月前には(自由化率の)数字を出さなければならない。案がなくては交渉ができない。政府と歩調を合わせたい」と、検証作業に理解を求めた。
TPP交渉が高い自由化率を目指す以上、検証の結果、関税撤廃を迫られる品目が出てくる可能性は高い。党内には、五百八十六品目全部の関税を維持することが党の公約の趣旨だとの意見が根強い。
このため、この日の会議でも、農業が盛んな地域選出の議員を中心に、西川氏の発言や党の検証作業に批判や懸念が相次いだ。
坂本哲志衆院議員は西川氏の一連の発言について「自民党の信頼失墜は計り知れないものがある」と批判。鈴木憲和衆院議員も「このタイミングの発言にどういう意味があるのか。日本の交渉を後押しするのか」と疑問を呈した。柴山昌彦衆院議員は、党の検証が交渉の年内妥結を想定していることについて「急ぐことにどういうメリットがあるのか説明してもらいたい」と注文を付けた。
ただ、会議では党による検証実施に対する明確な反対意見は出ず、最終的に実施を了承した。(清水俊介)
首相 TPP年内妥結へ連携を指示
NHK NEWS WEB 2013年10月11日
政府は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の関係閣僚会議を開き、安倍総理大臣は、年内の交渉妥結に向けて日本が主導的な役割を果たすため、関係閣僚が連携して取り組むよう指示しました。
安倍総理大臣も出席して今月8日にインドネシアで開かれたTPP=環太平洋パートナーシップ協定の首脳会合では、「年内に妥結するため、残された困難な課題の解決に取り組むことに合意した」などとする首脳声明を採択し、年内の交渉妥結に向けた決意を示しました。
総理大臣官邸で開かれたTPPの関係閣僚会議には、10日夜に外国訪問から帰国した安倍総理大臣のほか、甘利経済再生担当大臣、林農林水産大臣ら関係閣僚が出席し、首脳会合に同席した甘利大臣が会合の結果を報告しました。
このあと安倍総理大臣は「残された課題は多いが、TPPは国家100年の計であり、年内の交渉妥結に向けて、日本が主導的な役割を果たしていくべきだと考えている。関係閣僚にはしっかり取り組んでいただきたい」と述べ、年内の交渉妥結に向けて、日本が主導的な役割を果たすため、関係閣僚が連携して取り組むよう指示しました。