水銀の輸出入などを国際的に規制する「水俣条約」を採択する国連の会議2日目は、熊本市内のホテルで開かれて、10日午前、「水俣条約」を全会一致で採択しました。
条約には、水銀を使っている主な製品の製造や輸出入を2020年以降、原則として禁止することなどが盛り込まれています。
会議には、世界のおよそ140の国と地域から閣僚級を含む政府の代表が参加しました。3年後までに50の国と地域が条約を締結し、発効することを目指しています。
なお前日の9日、水俣市で行われた開会式に安倍首相がビデオメッセージを寄せましたが、その中で「水銀による被害とその克服を経たわれわれだからこそ、云々」と述べたことに対して、水俣病の被害者団体の代表はNHKの取材に応じ、「水銀の被害は全く克服されていない。現場も見ずに述べた発言であり、すべての被害者が納得しないだろう」と批判しました。
政府の隠蔽と不作為とにより被害者が10万人にまで拡大し、世界最大の公害病となったのに国はその救済を殆どおこなって来なかったのですから、被害者たちが怒るのは当然のことです。
あまりにも事実と違うことを放言するのは、いい加減慎んで欲しいものです。
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「水俣条約」 国連会議で採択
NHK NEWS WEB 2013年10月10日
水俣病の原因になった水銀の輸出入などを国際的に規制する「水俣条約」が、熊本県で開かれている国連の会議で採択されました。
この会議は、世界の途上国を中心に水銀による環境汚染や健康被害が問題になっていることを受けて熊本県で開かれていて、およそ140の国と地域から閣僚級を含む政府の代表が参加しています。
2日目の10日は熊本市内のホテルで午前中、会合が開かれ、はじめに議長に就任した石原環境大臣が「40か国、50か国が条約を短い期間の間に締結していただければ、条約に命を吹き込むことになると思う。われわれ一人一人の行動にかかっている」と述べました。
このあと、水銀を国際的に規制することを定めた「水俣条約」が全会一致で採択されました。
この条約には、新しい鉱山からの水銀の産出を禁止することや、水銀を使っている主な製品の製造や輸出入を2020年以降、原則として禁止することなどが盛り込まれています。
条約の発効には50の国と地域の締結が必要で、会議を主催しているUNEP=国連環境計画では3年後の発効を目指したいとしています。
会議は午後から参加国による署名が行われたあと、岸田外務大臣や各国の閣僚などがスピーチを行います。
環境相「多くの国々が条約締結を」
水俣病の原因になった水銀の輸出入などを国際的に規制する「水俣条約」が採択されたことについて、石原環境大臣は「水銀のリスクを最大限減らしていくことに人類が立ち上がった第一歩だ。熊本県で、この条約が採択され、議長を務めさせていただくという歴史的な瞬間に立ち会えたことが感慨深い。これから早く、多くの国々が条約に締結していけるように私たちが頑張っていかなければならないと思っている」と述べました。
「水銀による被害を克服」首相発言に批判
NHK NEWS WEB 2013年10月9日
安倍総理大臣が9日から熊本県で始まった、水銀を国際的に規制する条約を採択するための会議に寄せたビデオメッセージの中で、「日本は水銀による被害を克服した」という趣旨の発言をしたことについて、水俣病の被害者団体の中から「水銀の被害は全く克服されていない」という批判の声が出ています。
安倍総理大臣は9日午後、水俣市で開かれた「水俣条約」を採択する国連の会議の開会を記念する式典にビデオメッセージを寄せ、この中で、「水銀による被害とその克服を経たわれわれだからこそ、世界から水銀の被害を無くすため、先頭に立って力を尽くす責任が日本にはあるのだと思う」と述べました。
これについて、式典に出席した水俣病の最大の被害者団体「不知火患者会」の大石利生会長はNHKの取材に対し、「水銀の被害は全く克服されていない。現場も見ずに述べた発言であり、すべての被害者が納得しないだろう」と批判しました。