京都の朝鮮学校の校門前で行われた在特会の街頭宣伝と、その一連の行動を動画で撮影しインターネットで公開した行為について、7日、京都地裁は「人種差別に該当する」として、在特会側に街宣の禁止と1200万円の損害賠償を命じました。
この判決はいま東京・新大久保や大阪で繰り返されている在日コリアンを標的にした差別街宣への抑止力になり、日本でのヘイトスピーチの法規制議論を促すことになるとみられます。
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京都地裁:在特会に賠償命令…朝鮮学校周辺の街宣も禁止
毎日新聞 2013年10月07日
京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の校門前で行われた学校を中傷する大音量の街頭宣伝などヘイトスピーチ(憎悪表現)で授業を妨害されたとして、同校を運営する京都朝鮮学園(京都市右京区)が、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」と元メンバーら9人を相手取り、3000万円の損害賠償と同校の半径200メートル以内での街宣活動禁止を求めた訴訟の判決が7日、京都地裁であった。橋詰均裁判長は在特会の街宣を「著しく侮蔑的な発言を伴い、人種差別撤廃条約が禁ずる人種差別に該当する」と認定。学校事業に損害を与えたとして在特会側に1200万円を支払うよう命じた。学校周辺の街宣活動についても請求通り禁止を命じた。
裁判所が、ヘイトスピーチとして問題になっている特定の民族に対する差別街宣について「人種差別」と判断したことで、東京・新大久保や大阪で繰り返される在日コリアンを標的にした差別街宣への抑止効果が予想されるほか、日本でのヘイトスピーチの法規制議論を促すことになるとみられる。
判決は、2009年12月〜10年3月、在特会メンバーらが京都朝鮮第一初級学校(当時。現在は京都朝鮮初級学校=京都市伏見区=に移転)に押しかけ、「朝鮮学校を日本からたたき出せ」「キムチくさいねん」「何が子どもじゃ、スパイの子どもやんけ」などと拡声機で怒号を浴びせた演説について、憲法が保障する「表現の自由」の範囲内かどうかなどについて検討した。
橋詰裁判長は、街宣やその様子を撮影した映像をインターネットで公開した被告の行為について「在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図のもとに示威活動及び映像公開をしたものと認められ、人種差別に該当」と判断。そのうえで、表現の自由で保護されるべき政治的主張だったとの被告の訴えについては「公益を図る目的で行われたと評価することはできない」と退け、賠償を命じた。
朝鮮学校側の「民族教育権」が侵害されたとの主張については、言及しなかった。【松井豊】