2013年10月29日火曜日

秘密保護法案は憲法の3原則を否定するもの

 「秘密保護法案は憲法の三つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する (反対声明)」

 学者たちの間で秘密保護法案の制定に反対する動きが広まっています。28日の段階で約270人の学者たちが反対声明に賛同しました。
 「秘密保護法案は軍事立法だ」という学者もいます。
 国民の間でもようやく反対運動が盛り上がって来ました。憲法の三つの原理が秘密保護法案で簡単に壊されようとしているのですから当然のことです。

 政府はこれまで秘密保護法案の内容を秘密にしてきました。それは法案が憲法に違反し、国民の主権と基本的人権を制限するものであることが明らかになれば、国民の間に広範な反対運動が起きることを恐れたからです。
 24日に上野で行われた街頭シールアンケート(約2時間)では、結果が「賛成23票」「反対105票」「わからない133票」で「わからない」がトップだった(田中龍作 BLOGOS24日)ということですから、政府の目論みは成功したといえます。
 しかし憲法をないがしろにする法律が成立するなどは許されることではないので、内容が明らかになれば必然的に反対運動も盛り上がります。

 もうひとつ政府には企みがありませす。
 それは国家安全保障基本法のなかで集団的自衛権の行使をうたうことです。これも法律の制定によって、結果として憲法(9条)をないがしろにすることであ、許されない暴挙です。

 世論の盛り上がりで先ずは秘密保護法案の成立を阻止したいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
秘密保護法案 265人反対 憲法の3原則侵害
東京新聞 2013年10月29日
 憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、それぞれ特定秘密保護法案に反対する声明を発表した。声明に賛成する研究者は憲法・メディア法が百四十人、刑事法が百二十人を超えた。憲法の「知る権利」や「国民主権」を損なう法案の実態が明らかになるにつれ、成立を急ぐ政府とは逆に反対の声が広がっている。

 反対声明は憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、国会内で合同で記者会見して発表した。
 憲法・メディア法研究者の声明は呼び掛け人が二十四人、賛同者百十八人の計百四十二人。刑事法は呼び掛け人二十三人、賛同者百人の計百二十三人。
 会見で、憲法・メディア法の呼び掛け人の山内敏弘一橋大名誉教授は「法案は憲法の三つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」と指摘。刑事法の呼び掛け人代表の村井敏邦一橋大名誉教授は「(軍事機密を守る目的で制定された)戦前の軍機保護法と同じ性格。戦前の影響を考えれば、刑事法学者は絶対反対しなければならない」と呼び掛けた。

 声明はいずれも法案の問題点として、特定秘密を第三者の点検を受けず政府の判断で指定し、漏えいや取得に厳罰を科して、調査活動をする市民や記者も罪に問われる点を挙げた。その上で「国民の『知る権利』を侵害し憲法の国民主権の基盤を失わせ、憲法に基づいて国民が精査すべき平和主義に反している」などと批判した。憲法・メディア法は奥平康弘東京大名誉教授、東北大や東大などで教授を歴任した樋口陽一氏、杉原泰雄一橋大名誉教授、刑事法は斉藤豊治甲南大名誉教授ら研究者が呼び掛け人、賛同者に名を連ねた。


秘密保護法案研究者271氏「反対」 憲法・メディア法、刑事法
しんぶん赤旗 2013年10月29日
 国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法案に反対―。憲法・メディア法研究者と刑事法研究者が28日、国会内の記者会見で声明を明らかにし、秘密保護法案反対を訴えました。憲法・メディア法研究者による声明には142氏、刑事法研究者の声明は129氏、合わせて271氏が賛同(28日現在)しています。

 呼びかけ人の田島泰彦上智大学教授(憲法・メディア法)は、「メディアや市民の情報発信・抗議などで世論も変化してきたが事態はかなり緊迫している」と危機感を表明。「(秘密保護法案が通れば)極端な秘密主義国家、情報独裁国家になってしまう。秘密を官僚が独占するだけでなく、国民が知らなければならない情報を官僚が決め、差しさわりがあれば国民を処罰する仕組みだ。形の上での民主主義も崩される」と訴えました。

 会見で「秘密保護法案は『軍事立法』だ」と述べたのは村井敏邦一橋大学名誉教授(日本刑法学会元理事長)。刑事法研究者による声明の呼びかけ人代表として、「国家安全保障会議設置法案とあわせて審議されるところに(軍事立法としての)意図は明確だ。戦前の軍機保護法と性格を一にしている。そもそもこういう法律を作っていいのか」と述べました。

 山内敏弘一橋大学名誉教授(憲法学)は、「この法案で市民生活が警察の取り締まり対象になれば、市民生活の自由とダイレクト(直接的)に抵触する。マスメディアの手足をもぎとるような法案であり、この法案が通れば、『集団的自衛権の行使』という既成事実がつくられてしまう。戦前の大本営発表と同じ事態になる」と批判しました。

 新倉修青山学院大学教授(刑事法)は、「(盗聴で)アメリカが情報を集めて世界を操作していることが明らかになっているときに、アメリカと歩調を合わせて情報を秘匿して国民を操って、何から安全を守るのかわからない社会をつくろうとしている」と述べました。
----------------------------------------------------
秘密保護法案反対 声明の呼びかけ人
 (学者の名簿は省略)