元外務省幹部の孫崎氏が24日都内で講演し、安倍首相の「積極的平和主義」は自衛隊に集団的自衛権を与え、軍事行動を取る意味が含まれると指摘したことを新華社が伝えました。
また講演で尖閣諸島(日本名)問題については、「日中両国間では1972年の日中国交正常化時も、1978年の日中平和友好条約締結時も取り上げられたが、各自が領土主権を主張し、係争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで両国政府は同意した。これは共同声明や条約には盛り込まれていないがれっきとした政府間の約束であり、順守すべきである」と述べたことも紹介しました。
これが尖閣諸島問題の到達点であり原点で、安倍首相や外務省が好んで使う「領土問題は存在しない」などとする言い方は、日中間で積み上げてきた事実に反するものです。
孫崎氏はまた「安倍政権は中国との対立関係が日米軍事関係の強化に資すると考えている」とも分析しました。
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日本の元外務省幹部:安倍首相の「積極的平和主義」は危険
「人民網日本語版」2013年10月25日
日本の元外務省幹部、孫崎享氏は24日の東京都内での講演で、安倍晋三首相の提唱するいわゆる「積極的平和主義」について、自衛隊に集団的自衛権を与え、軍事行動を取る意味が含まれ、危険な考え方だと指摘した。新華網が伝えた。
釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題について、外務省国際情報局局長の経歴を持つ孫崎氏は、日中両国間には係争棚上げの共通認識が存在すると指摘。孫崎氏がその例証として引用した1979年5月31日付「読売新聞」社説は「『尖閣諸島』の領有権問題は、1972年の日中国交正常化時も、1978年の日中平和友好条約締結時も問題になったが、各自が領土主権を主張し、係争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで両国政府は同意した。これは共同声明や条約には盛り込まれていないが、れっきとした政府間の約束である。約束した以上は、順守すべきである」とした。
孫崎氏は、釣魚島紛争を解決するには、まず係争棚上げの状態に戻る必要があると指摘。中国とASEAN諸国が領土係争解決のためにまとめた「南中国海における関係国の行動宣言」も釣魚島問題解決の1つの考え方になりうるとの認識を示した。
中日関係の現状について、孫崎氏は「安倍首相は中国との対話のドアはオープンだとしているが、釣魚島問題で新たな行動を多く起こしており、後者の方が重視される必要がある」と指摘。「現在の両国関係の緊張の背後には2つの要因がある。1つには、米国の軍関係者の一部は日本を利用してアジア太平洋戦略を実現しようとしており、釣魚島問題の存在は日本側の理解と支持を得るのに役立つ。もう1つには、安倍政権は中国との対立関係が日米軍事関係の強化に資すると考えている」と分析した。(編集NA)