政府が臨時国会に提出を目論んでいる「秘密保護法」案は、政府にとって不都合なものを任意に秘密として指定でき、国民から「知る権利」を奪い、メディアに与えられている「報道の自由」を侵すものです。さらには秘密を漏洩した公務員には最高懲役10年の重罰を科すとして、恐怖政治を敷こうとするものです。「戦争をする国」への足音を秘めているものです。
そうした動きに対して日弁連や日本新聞協会をはじめ、国民各階層の反対の声は一段と強まっています。
先に行われた超短期の意見公募でも、約9万件の意見が寄せられ、そのうちの約8割が反対でした。
しんぶん赤旗は7日、「秘密保護法案 国会への提出自体断念せよ」と題する「主張」を掲げました。政府は国民の意思を尊重し、「秘密保護法」案の国会への提出を断念すべきです。
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主張 秘密保護法案 国会への提出自体断念せよ
しんぶん赤旗 2013年10月7日
安倍晋三政権が、15日から開会予定の臨時国会に、国民の「知る権利」を侵害する「秘密保護法」案を提出、成立させようとしています。臨時国会に特別委員会を設置し、有事の体制強化に備えた日本版「国家安全保障会議」(NSC)を設置する法案と一体で、強行をもくろんでいます。
「秘密保護法」の狙いは、国民の「知る権利」やメディアの「報道の自由」を踏みにじり、政府の恣(し)意(い)的な判断で、「防衛」「外交」などの「国家秘密」を隠すことです。国民の多くが反対している「秘密保護法」は、法案の国会提出自体、断念すべきです。
秘密漏えいは懲役10年
「秘密保護法」は、行政機関の長の判断でどこまでも広げることができる「国家秘密」を漏らした国家公務員などに、最高で10年にも上る重罰を科す法律です。メディアの自由な取材も侵害し、国会審議でさえ行政側が「秘密」と判断すれば資料の提出や審議の公開が妨げられる危険があります。文字通り、国民の「知る権利」や「報道の自由」を侵害する法案に対して、日本弁護士連合会や日本新聞協会をはじめ、国民各階層の反対の声は強まるばかりです。
政府が法案の「概要」を出しただけで全体像を示さず、9月3日から17日までというわずかな期間でおこなった意見公募(パブリックコメント)でも、寄せられた約9万件の意見のうち、約8割が反対で、賛成は1割強にすぎませんでした。最近の世論調査などを見ても、国民が「秘密保護法」に反対しているのは明白です。
こうしたなか、菅義偉官房長官が「知る権利」について「検討を進めていく必要がある」と、「知る権利」や「報道の自由」に「配慮」する考えをのべ、法案審議を担当する森雅子国務相も「知る権利」を法案に「規定することを視野に検討中だ」と言い出しました。
国民の反対が強いからなのは明らかですが、行政機関の長の判断だけで保護の対象が広がり、国家公務員などに重罰を科す希代の悪法が、「知る権利」に「配慮」するなどと一言書き加えたぐらいで変わるわけがありません。国民だましはやめるべきです。
「秘密保護法」が、範囲もはっきりしない「国家秘密」を漏えいしたというだけで、国家公務員などに最高で10年という重罰を科すのは、基本的人権の侵害としても重大です。国家公務員などに対しては「国家秘密」を取り扱う資格があるかを調べるためと称して、外部団体への加盟や家族関係などを含む調査が進められていることも明らかになっており、プライバシーの侵害からも重大問題です。
「戦争する国」づくりに
安倍政権がこうした危険な「秘密保護法」を、日本版「NSC」の設置法案と一体で進めているのは、日本を「戦争する国」に変えようとしていることとの関係でも見過ごせません。3日発表された日米の外交・軍事の閣僚合意は、日本の「情報保全」の取り組みを「歓迎」すると明記しました。まさに本格的な有事の体制づくりであり、日本版「NSC」にアメリカから膨大な情報が提供されても、「秘密保護法」で知ることさえできなくなる恐れがあります。
国民の目と口をふさぎ戦争に突入した誤りを繰り返さないためにも「秘密保護法」阻止が重要です。