2013年10月16日水曜日

アメリカが安倍政権に警戒

 天木直人氏のブログに、「対米従属に徹しきれない安倍首相の危うさと脆さ」と題した面白い記事が載りました。
 安倍首相は、TPP交渉や秘密保護法案については米国の命じるままに、国益も国民の基本的権利も省みることなく、ひたすらその成立に一路邁進していますが、それにもかかわらず米国から警戒の目で見られているということです。
 そういえばこの頃は殆ど聞かれなくなりましたが「戦後レジームからの脱却」というフレーズに対しても、アメリカは「自分たちへの従属から脱却しようというのか?」と警戒したと言われています。

 天木氏は
 月のG20で、「シリア政府化学兵器使用」とした共同声明を出したのを知って、安倍首相は米国のいうことを無条件信用する外務官僚を叱りつけた
 10月3日の日米2+2会議の共同声明で、日本側が名指しで中国の脅威言及しようとしたのに対し米国側はそれを嫌った
③ 8月のブルネイでの日米二国間国防相会議後の記者会見で、日本側が「敵基地攻撃能力の保有について日米間で検討していくことになった」と説明したことに対して、米側から「日本からそのような言及は一切なかった」と抗議された。
等のことを挙げて、日米同盟を最優先する日本の首相が外交・安保政策で米国の不信を買うというのは、最大のジョークだと述べています。

 ①については、シリアでの化学兵器が「反」政府側によって使用された、という見識を安倍氏が持っていたこと自体は立派なことですが、それまでアメリカの言うことなら何でも従ってきた安倍氏から、思いもよらない理由で叱責をされた外務官僚はさぞかしびっくりしたに違いありません。安倍氏の精神の安定性について疑念を持ったことでしょう。

 ②③については、アメリカが日中間については等距離外交というよりは、むしろ親中国外交に立脚していることを、いまだに理解していない日本政府の幼稚さについて、アメリカが不審(不信)の念を持っていると言った方が正確かもしれません。

 以下に、天木氏のブログを紹介します。
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対米従属に徹しきれない安倍首相の危うさと脆さ
天木直人 2013年10月15日
 日本の首相は誰がなっても対米従属から脱する事は出来ない。もちろん安倍首相もその一人だ。TPP交渉や特定秘密保護法案はまさしく米国の命じるままだ。
 それにも関わらず米国から警戒心をもって見られているところに安倍首相の危うさがある。
 もちろんその最大の理由は彼の歴史認識だ。
 しかしそれだけではない。なんと安倍首相の外交・安保政策が米国を警戒させているというのだ。
 たとえば週刊現代10月5日号が「霞ヶ関24時」というコラムで次のような裏話を明かしていた。五輪東京誘致のためサンクトペテルブルグで開かれていたG20をわずか一日で切り上げてアルゼンチン入りした安倍首相は、その後G20が「化学兵器使用はシリア政府に責任がある」という内容を盛り込んだG-20の共同声明を見て驚いたという。米国のいう事を無条件で信用する外務官僚を叱りつけたというのだ。
 たとえば10月13日の日経新聞「風見鶏」の中に次のような記事があった。10月3日に東京で行なわれた外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の共同声明づくりで日本側は中国の脅威を名指しで言及しようとしたのに対し米国側は中国への言及を嫌った。結果的には中国の名前を入れるが尖閣諸島には触れず、日米共同記者会見で日米が中国にクギを刺すというシナリオで折り合ったが、そのシナリオに反してケリー国務長官が記者会見の場で「中国と協力できる関係をめざす」と突然アドリブでしゃべり始めて日本側を当惑させたという。
 そして発売中の月刊文芸春秋11月号にある「米国も警戒する『安倍のリベンジ』」という記事である。8月28日にブルネイで開かれた拡大国防相会議の際、小野寺防衛相はヘーゲル米国防長官と二国間会談をしたが、その後の記者ブリーフで防衛省側が、「自衛隊による敵基地攻撃能力の保有について日米間で検討していくことが話し合われた」と語った。 これを知った米側が、敵基地攻撃能力についての具体的な言及は小野寺大臣から一切なかったのにそのようなウソ記者発表を行なった事を問題視し、防衛省に抗議したというのだ。米国は安倍首相が自衛隊を独自で軍事行動できるように強化しようとしていることを警戒しているのだ
 日米同盟を最優先する日本の首相が外交・安保政策で米国の不信を買う。
 これ以上のジョークはない。
 対米従属に徹しきれない安倍首相の危うさと脆さがここにある(了)