2013年10月26日土曜日

秘密保護法案を閣議決定 日本版NSC法案審議入り

 基本的人権を奪い憲法の基本的原理を脅かすものとして、各界が反対している秘密保護法案が25日、閣議決定されました。
 政府は25日に審議入りする日本版NSC設置法案を11月初めに衆院通過させ、その後 秘密保護法案の本格審議に入り、12日の会期末までにわずか一カ月で成立させたい考えです

 秘密保護法案には、多数の憲法学者や刑事法学者、弁護士会が「国民主権、基本的人権尊重、平和主義といった憲法の基本原理を脅かす」として反対を表明しているもので、法学者がこのように一致して反対するのは珍しいことです 

 また日本版NS国家安全保障会議)を創設する法案、25日衆議院本会議で審議入りしました。
 総理大臣を議長とする「4大臣会合」や、内閣官房に「国家安全保障局」を新設することなどが盛り込まれており、安倍首相は「外交・安全保障政策の司令塔機能を強化するために必要不可欠だ」と述早期成立を目指す考えを示しています。
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秘密保護法案を閣議決定 国民の懸念 置き去り
東京新聞 2013年10月25日
 機密情報を漏らした公務員らに対する罰則を最高で懲役十年に強化することなどを柱とした特定秘密保護法案が二十五日午前、閣議決定された。公務員や記者だけでなく、情報を得ようとする市民も厳罰の対象になりかねず、国民の「知る権利」を侵害する恐れがある。安倍政権は懸念を置き去りにしたまま、国民を政府の情報から遠ざけようとしている。 

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十五日の記者会見で、同法案について「秘密保全に関する法制整備は喫緊の課題だ。早期に成立できるよう努力したい」と述べた。
 法案によると、(1)防衛(2)外交(3)スパイ活動の防止(4)テロ活動の防止-の四分野のうち「国の安全保障に著しい支障のある情報」を行政機関の長が特定秘密に指定する。
 公務員らが漏えいした場合、最高懲役十年の罰則を科す。欺(あざむ)きや脅迫など不正な手段で取得した側も懲役十年。漏えいや取得をそそのかし、あおりたて、共謀した場合も罰則の対象となる。行政情報を得ようとする市民団体やNPO法人などのメンバーが罪に問われる可能性がある。
 指定は第三者のチェックを受けないため、政府が恣意(しい)的に不都合な情報を隠す危険性もある。厳罰に萎縮して公務員らが隠す必要のない情報の提供まで拒むことも懸念される。
 政府は当初なかった国民の「知る権利」や報道・取材の自由への配慮を盛り込んだが、強制力のない努力規定にとどまり、権利が守られる保証はない。
 特定秘密を扱う公務員らには「適性調査」を行い、漏えいの心配がないと評価された者だけが機密情報に接する。その際、政府は公務員らの犯歴、病歴、飲酒、借金、家族の国籍などを調査するため、プライバシー権を侵害するとの指摘もある。

 政府は二十五日に審議入りする国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案を十一月初めに衆院通過させ、その後、秘密保護法案の本格審議に入り、十二月六日の会期末までにわずか一カ月で成立させたい考え。多数の憲法学者や刑事法学者、弁護士会が「国民主権、基本的人権尊重、平和主義といった憲法の基本原理を脅かす」として反対を表明している。

◆市民ら官邸前で抗議
 「勇気ある内部告発を封じ込めるものだ」。「特定秘密保護法案」が閣議決定された二十五日朝、危機感を抱いた市民団体のメンバーらが降りしきる雨の中、官邸前で反対を訴えた。
 約八十人のメンバーらは歩道の両脇に立ち、黄色いビラや「原発事故もひみつ!」と書いたプラカードを掲げ、知る権利が損なわれる懸念を表明。その間を足早に出勤する省庁関係者らや、国会議員らへ向かって交代でマイクを握り、「国会議員の皆さん、あなたたちにも情報が知らされなくなる」「公務員の良心を殺す法律。一生さいなまれてもいいのか」などと訴えた。


衆院、日本版NSC法案審議入り 安保の司令塔、今国会成立へ
東京新聞 2013年10月25日
 外交・安全保障政策の司令塔となる日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設のための関連法案は25日午後、衆院本会議で審議入りした。民主党も賛成する方向で検討しており、今国会で成立する公算が大きい。政府は年内の発足を目指す。

 安倍晋三首相は衆院本会議でNSCについて「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、首相官邸の司令塔機能を強化するため必要不可欠だ」と述べた。
 中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル問題など東アジアの安全保障環境の変化に対応し、官邸主導で外交・安保政策を推進するのが狙い。

“日本版NSC法案”審議入り
NHK NEWS WEB 10月25日 16時46分
国家安全保障会議を創設するための法案が、25日の衆議院本会議で審議入りし、安倍総理大臣は「外交・安全保障政策の司令塔機能を強化するために必要不可欠だ」と述べ、『特定秘密保護法案』とともに今の国会での早期成立を目指す考えを示しました。

外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCを創設するための法案には、総理大臣を議長とする「4大臣会合」や、内閣官房に「国家安全保障局」を新設することなどが盛り込まれています。
法案は、午後の衆議院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。
この中で安倍総理大臣は「安全保障環境が一層厳しさを増しているなか、官邸における外交・安全保障政策の司令塔機能を強化するために必要不可欠だ」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は「国家安全保障会議の審議を効果的に行うためには、情報保全システムのほか、秘密保全に関する法制や体制の整備が重要だ」と述べ、25日閣議決定した『特定秘密保護法案』とともに今の国会での早期成立を目指す考えを示しました
そして、安倍総理大臣は、新たに設けられる4大臣会合では、安全保障環境の根幹に影響があると考えられる場合には、テロ対策、自然災害、TPP=環太平洋パートナーシップ協定などについても審議することもあり得るという考えを示しました。
さらに安倍総理大臣は「国家安全保障局」について「設立時点で60人程度の規模が必要になると考えている」と述べるとともに、事務レベルのトップとなる「国家安全保障局長」には、高度な専門性を備え、関係省庁の実務に精通している人物を起用する考えを示しました。
これに関連して菅官房長官は「国家安全保障局には、地域や各種の安全保障政策のテーマに応じて、企画立案や総合調整に従事する班を複数置くことを考えている」と述べました。


秘密保護法案に反対声明=ペンクラブ、雑誌協会
時事通信 2013年10月25日
 日本ペンクラブ(浅田次郎会長)は25日、同日の特定秘密保護法案の閣議決定に抗議する声明を発表した。
 ペンクラブはこれまでも、「特定秘密」に指定できる情報の範囲が広すぎる上、知る権利や取材・報道の自由が侵害されるとして反対を表明。問題点を指摘する声が大きいにもかかわらず、閣議決定に至ったことに「厳しく反省を迫る」とし、国会審議で廃案にするよう求めた。
 記者会見した吉岡忍専務理事は「政権が描く日本の将来像は、国家が市民社会を統括する国家主義へと向かっている印象だ。この法案をどうするかに、日本社会の未来像が問われている」と強い懸念を示した。
 日本雑誌協会も同日、「政府に不都合な情報が闇から闇へと葬られることになりかねない」などとして、反対する声明を出した。