沖縄平和ネットワーク総会が19日開かれ、琉球大学の高嶋名誉教授が記念講演を行いました。
講演では、竹富町の教科書問題は文科省の官僚が政権に迎合したと感じられることや、「はだしのゲン」の閲覧制限問題も含めて、背景に保守系市民組織の動きが読み取れることなどが指摘されました。
そして今後平和教育に対する政治介入が強まる懸念があり、地方自治体や教育委員会に主体性がないとそうした動きに押し流される危険性があることが語られました。
以下に沖縄タイムスの記事を紹介します。
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平和ネット総会 「官僚が政権に迎合」教科書問題で高嶋氏
沖縄タイムス 2013年10月20日
第20回沖縄平和ネットワーク総会と記念講演「平和教育を見直す」が19日、那覇市の教育福祉会館で開かれた。同ネット代表世話人を務める琉球大学名誉教授の高嶋伸欣氏が登壇し、会員ら約30人が耳を傾けた。竹富町の教科書に対する文部科学省の是正要求問題に触れ、「集団自決(強制集団死)」歪曲教科書検定を振り返った高嶋氏は、「いずれも安倍政権に引きずられた官僚の点数稼ぎの迎合を感じる」と指摘した。今後の平和教育に対する政治介入への懸念も示した。
八重山地区で揺れ続ける竹富町の教科書などの問題や、島根県の松江市教育委員会による漫画「はだしのゲン」閲覧制限問題などを例示し、「このような流れの背景には、保守系市民組織の動きがある」と読み解いた。その上で「行政や教育委員会に主体性がないと、押し流される危険性が各地にある」とし、教育現場に関わる同ネットの活動でも、同様の摩擦が起こり得る可能性を示した。
また、日中戦争中の南京大虐殺犠牲者数について論争が絶えないことを挙げ、「日本社会には基本的人権認識の欠落がある。学術論争をする前に、ヒューマニズムに基づいた研究がない」とした。基本的人権認識の欠落は「裏返せば対アジアや沖縄への差別意識につながり、間違った日本のアジア侵略を肯定する認識につながっている」と強調した。