2013年10月17日木曜日

集団安保参加で武力行使も 5事例の憲法解釈変更を検討

 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が16日、安倍首相も出席して開かれ、現在の憲法解釈では認められていないが、「解釈の変更」によって武力行使ができるものとしてつの事例を示し議論しました。
 
 事例集として示されたのは、
 〈1〉日本周辺有事のために活動する米艦などへの攻撃の排除
 〈2〉日本船舶の航行に重大な影響を与える海上交通路(シーレーン)の機雷除去
 〈3〉同盟国である米国を攻撃した国に武器を供給する船舶の臨検
 〈4〉国連の決定に基づく制裁措置(多国籍軍など)への参加
 〈5〉領海内に潜航する外国潜水艦への対処
です。

 ちなみに第1次安倍内閣の際の安保法制懇に対する諮問事項は、
 「公海での米艦防護」「米国に向かうミサイルの迎撃」
 「国際的な平和活動での武器使用」
 「同じ国連平和維持活動(PKO)などに参加している他国への後方支援」
の4類型に限定されていました。

 北岡副座長は当初「事例分けはしない」と述べていましたが、無限定では世論の支持が得にくいと考えたものと思われます。とはいえ禁忌の解釈改憲であることには変わりはありません。

 いよいよ武力行使に向けての議論が始まりました。
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集団安保参加で武力行使も=憲法解釈変更へ事例-安保法制懇
時事通信 2013年10月16日
 政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は16日の会合で、現行の憲法解釈では認められていないが、解釈変更などにより実施可能とすべき安全保障上の具体的課題を「事例集」としてまとめた。国連決議があれば、武力行使を伴う集団安全保障にも自衛隊が参加できるようにすべきだとの立場を打ち出した。
 会合で示された事例は、(1)日本近隣有事の際の船舶検査や米国などへの攻撃の排除(2)機雷が敷設されたシーレーン(海上交通路)の掃海活動(3)米国が武力攻撃を受けた場合の船舶検査などの対米支援(4)イラクのクウェート侵攻のような武力攻撃が発生した場合の武力行使を伴う集団安全保障措置への参加(5)外国潜水艦の領海侵入など武力攻撃に至らない事態での実力行使-の五つ。会合ではこれらについて、憲法解釈変更や法改正により実施を認めるべきだとの認識で一致した。

 安保法制懇は年内にも提出する報告書で、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使や集団安全保障への参加を包括的に認めるよう提言する方針。現行の憲法解釈では対処できないものの、回避すべきではないと判断される事例を具体的に示すことで、国民の理解を促すとともに、憲法解釈変更に慎重な公明党の説得材料としたい考えだ。 
 会合には安倍晋三首相も出席し、「日本一国の力では日本の安全を全うし得ない。必要があるときには共に守り合い、秩序を守り合うことで、確実に国民の生存と国家の存立を守ることができる」と指摘。自身が掲げる「積極的平和主義」の実現に向け、自衛隊の役割拡大に意欲を示した。

◇事例集要旨 (青字部は事務局が追記)
 政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)がまとめた事例集の要旨は次の通り。
(1) 〔日本近隣で武力攻撃が発生したケース〕
    攻撃国に武器を供給するため航行している船舶への停船・立ち入り検査を実施しなくていいのか。被攻撃国を支援する米軍などが攻撃を受けているときに攻撃排除に協力しなくていいのか。
2 〔日本が輸入する原油の大部分が通過する海峡などで武力攻撃が発生し、攻撃国が機雷でシーレーン(海上交通路)を封鎖したケース〕
   ⇒ 各国共同の掃海活動に参加できない現状でいいのか。
3 〔米国が武力攻撃を受けたケース〕
   ⇒ 船舶への停戦・立ち入り検査を実施し、米国を支援する他の国々を支援すべきではないか。
4 〔イラクのクウェート侵攻のような武力攻撃が発生し、国連安全保障理事会決議が全会一致で採択されたケース〕
   ⇒ 海軍艦船の防護といった武力の行使ができない。安保理の措置に協力することは国連加盟国の責務ではないか。
5 〔日本領海で潜没航行する外国潜水艦が退去要求に応じず、武力攻撃と整理できないケース〕
   ⇒ 自衛隊の実力行使が許されなくていいのか。